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『特別な人』18
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話を聞き終えた茂が花に訊く。
「花、どうする? おじいちゃんはいい方法だと思うが」
「おじいちゃん、それで今の胸の痛みが取れるのだったらぜひ
セラピー受けたい」
これでGOサインは放たれた。
増井医師より母親の花乃子に同室して花を見守りリラックスさせてあげてほしいとの要望があり、花乃子は花のセラピーに付き添うこととなる。
家族の予想に反してセラピーはそんなに時間はかからず、施術は完了した。
「どうだ、花」
「不思議な感覚。
胸の痛みが嘘みたいだけど取れたよ、おじいちゃん。
おじいちゃんと先生のお蔭です。
おじいちゃん、ありがとう。
先生、ありがとうございました」
「花、匠吾くんのことは覚えてる?」
母親からの質問に……
「記憶は大丈夫、覚えてる。
バカだよねぇ~、あんな根性ババ子に唆されてさぁ~、ふふふ」
「あなた……」
花乃子は夫の智久に驚嘆の言葉を口にした。
夫と互いの視線を絡ませ二人は安堵の吐息を吐いた。
「いやぁ~すごいですなぁ。流石増井くんだ、ありがとう。
後日改めて礼に伺わせていただきますよ」
「よかったです。
花さんから明るい言葉を聞けて私も安堵しました」
花自身も半分疑心暗鬼だったものの、施術後
『はぁ~い、終わりました。ゆっくりとこちらの世界へ戻りましょう』
と言われ目を開けたわけだが。
不思議な感覚としか言いようがない。
セラピーに入る前に感じていた悲しみ苦しみが嘘のように消えていたのだから。
そして気付いたことがあった。
匠吾の名前を聞いても相手を弄れるほど他人事なのだ。
自分の中から匠吾に対する恋焦がれるほどの好きという気持ちが
なくなっていることに。
しかし、あんな苦しみを味わうことに比べれば瑣末なことだ。
花はそれを残念だとは思わなかった。
話を聞き終えた茂が花に訊く。
「花、どうする? おじいちゃんはいい方法だと思うが」
「おじいちゃん、それで今の胸の痛みが取れるのだったらぜひ
セラピー受けたい」
これでGOサインは放たれた。
増井医師より母親の花乃子に同室して花を見守りリラックスさせてあげてほしいとの要望があり、花乃子は花のセラピーに付き添うこととなる。
家族の予想に反してセラピーはそんなに時間はかからず、施術は完了した。
「どうだ、花」
「不思議な感覚。
胸の痛みが嘘みたいだけど取れたよ、おじいちゃん。
おじいちゃんと先生のお蔭です。
おじいちゃん、ありがとう。
先生、ありがとうございました」
「花、匠吾くんのことは覚えてる?」
母親からの質問に……
「記憶は大丈夫、覚えてる。
バカだよねぇ~、あんな根性ババ子に唆されてさぁ~、ふふふ」
「あなた……」
花乃子は夫の智久に驚嘆の言葉を口にした。
夫と互いの視線を絡ませ二人は安堵の吐息を吐いた。
「いやぁ~すごいですなぁ。流石増井くんだ、ありがとう。
後日改めて礼に伺わせていただきますよ」
「よかったです。
花さんから明るい言葉を聞けて私も安堵しました」
花自身も半分疑心暗鬼だったものの、施術後
『はぁ~い、終わりました。ゆっくりとこちらの世界へ戻りましょう』
と言われ目を開けたわけだが。
不思議な感覚としか言いようがない。
セラピーに入る前に感じていた悲しみ苦しみが嘘のように消えていたのだから。
そして気付いたことがあった。
匠吾の名前を聞いても相手を弄れるほど他人事なのだ。
自分の中から匠吾に対する恋焦がれるほどの好きという気持ちが
なくなっていることに。
しかし、あんな苦しみを味わうことに比べれば瑣末なことだ。
花はそれを残念だとは思わなかった。
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