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Chapter14*オオカミなんて怖くない!ドラトラだってどんと来い!(※個人の見解です)

オオカミなんて怖くない!ドラトラだっ(以下略)[1]ー⑨

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一瞬ぽかんと呆気に取られたような顔になったアキは、すぐに「くくっ」と笑いを噛み殺すとわたしをギュッと抱きしめた。

「ありがとう! こんなカッコイイ女性ひとが僕の妻だなんて……最高だな!」

力いっぱい抱き着かれて「ぐぇっ」と潰されたカエルみたいな声が出た。

ぎゅうぎゅうと抱きしめられながら、ぐりぐりと額に頬をこすりつけられる。苦しいやらくすぐったいやらで身を捩ったら、鎖骨の下に音を立てて吸い付かれた。

「んっ」

ピリッと電流みたいなものが背中に走り、反射的に彼の背中を握りしめる。
だけどその上質な手触りに、(スーツをシワにしちゃうっ!)と慌てて手を開こうとした時、シャツの下からもぐりこんで来た手に、膨らみを包まれた。

「あ、やっ、……ぁんっ」

大きな手から逃れようと体を捻るも、上に彼の体が乗っていて無理。
そうこうしているうちに、その手は弾力を味わうように胸を揉みしだき始める。

「ちょっ、アっ……やんっ、」

押し返そうにもわたしの両腕は彼の背中側で、そこにしがみ付くことしか出来ない。

ジタバタしている間に、いつのまにか残りのボタンも外され、はだけられたブラウス。あらわになった下着ブラの際、盛り上がっている素肌に音を立てて吸い付かれた。

「んやぁっ……、んんんんっ~~」

思わず上がりそうになった甲高い声を呑み込んだ。

ここ、どこだっけ――って!
そうだった…! ここ、CMOデスクの上だったんだ!

自分が一生座ることのないような最高級のエグゼクティブデスクの上に、仰向けに寝っ転がり、はだけたブラウスの間から下着ブラは丸見え。しかも上にはアキし掛かっているし……。

はしたない・・・・・なんてもんじゃない。ふしだら・・・・極まりないじゃない!
いくら三十路目前だからって、嫁入り前の乙女のすることじゃないでしょうよ!?

「ん? 嫁には僕が貰うから問題ないと思うけど?」

そう言ったアキがわたしの頬に「ちゅっ」と音を立てる。

そっか、じゃあいっか――って、よくないわっ!

ここはCMO室! 本社重役フロア! すなわち会社です! 
そんなところでこんなこと、絶対ダメ! 社畜失格っ!!

お、落ち着け静川! このままこの猛獣ドラネコ御曹司のいいようにされてちゃダメ! いい大人なんだからしっかりしないと!

「アキ、マテ!!」

張り上げた声に、一瞬だけ動きが止まった。その隙を逃すまいと両手で彼の胸を押し返す。

「アキ……いいかげんそろそろここから降ろ、……んんっ!」

言いかけた言葉は、アキの口によって塞がれた。

抗議の声は彼の咥内に呑み込まれ、押し返そうとした手首は逆にアキの手でデスクに押しつけられてしまう。

遠慮の欠片もなく一気に奥まで入ってきたそれは、わたしの舌を根元から深く絡め取り、引き出すように吸いながら動き回った。

一瞬にしてふにゃりと体から力が抜け、鼻からくぐもった声が漏れ出す。
そのことにすぐに気付いたアキが、今度は歯列や頬の裏を舌先で擦るように辿り始めた。

出会った時から変わらない――いや、前にも増して上手くなった“極上のキス”。

彼と交わす久方ぶりのキスに胸が高鳴る。――と同時に、その懐かしさに胸が震えた。

最初こそは抵抗しようとしていたわたしも、あまりに久しぶりにアキと交わすキスに、早々に夢中になった。
『もっともっと』とねだるように彼の舌を追いかけて、そこに自分のものを絡ませる。

いつのまにか、デスクに縫い付けられていたはずの両手は、アキの背中にしがみ付いていた。

『もう二度と彼とキスをすることは出来ないかもしれない』―――そう覚悟を決めてここまできた。

だけど今。その覚悟が泡にしたことを、この“極上のキス”が教えてくれる。

胸の中にじわじわと安堵と喜びが広がり、同時にどれだけ自分が彼のことを好きなのかを思い知った。


すべての想いが結晶になって溢れ出た涙が、ひっきりなしに目尻を滑り落ちていた。

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