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Chapter14*オオカミなんて怖くない!ドラトラだってどんと来い!(※個人の見解です)
オオカミなんて怖くない!ドラトラだっ(以下略)[1]ー②
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「あの日……あなたが僕のところにバレンタインを届けに来てくれていたなんて、まったく思いもよらなかった。ホテルに戻ってから置いてあるものを見て、自分の間違いに気付いたんだ。自分に失望した。勝手に誤解してあなたを責めたりなんかして……」
彼が言っているのは、バレンタインの朝に言い合いになった時のことだ。
でも、それで言ったらわたしだって。
彼の話も訊かず、彼が森と一晩過ごしたと決めつけた。彼からの連絡を散々無視し、直接謝りに来てくれた彼にひどい言葉を投げつけて。
口に出して謝りたいのに、喉元から込み上げる熱い塊が邪魔をする。
何も言わないわたしを抱きしめたまま、アキは言葉を続けていた。
「どうしてもう少し気持ちに余裕を持つことが出来なかったんだろう。そのことをあなたに謝ろう。なんとしてでも許してもらえるまで謝り続けよう。そう思って会いに行った。だけど――」
アキだけが悪いわけじゃない。その気持ちを込めて首を左右に振った時、信じられない言葉が耳に飛び込んで来た。
「あなたはすでに結城課長を選んだ後だった」
――え?
どういうこと!? いつわたしが晶人さんを選んだって言うの?
「こんなふうに余裕のない僕なんかより、結城課長のような大人の男性の方があなたには合うのかもしれない――」
「っ、」
「その方が、面倒なことの多い僕の世界に巻き込むよりもあなたにとって幸せかもしれない──」
『わたしの幸せ』を、勝手に決めつけないで!
そう叫びたくて彼の腕の中でもがくけど、もがけばもがくほど背中に回る腕は締まるばかり。まるで『逃がさない』『何も聞きたくない』とでも言うように。
アキはわたしが晶人さんと付き合っていると思い込んでるの?
最後に会った時にうちに晶人さんが来ていたから? でもあのあとすぐに森が来たのを、彼も見ているはずなのに――。
言いたいことは山ほどある。だけど、今はとにかく彼の胸から顔を上げて、早く誤解を解かなくちゃ。
そう思って、彼の体を押し返そうと両手に力を込めた時。
「――そう思ってみたけど全然ダメだったんだ」
わたしは思わず動きを止めた。アキはまるで縋るように強くわたしを抱きしめる。
「他の男を好きになったのなら仕方ない。僕といるよりも幸せになれるかもしれない。あなたが幸せならそれでいい……何度も自分にそう言い聞かせたんだ。でも全然ダメだった……あなたを諦められない。心変わりした相手に縋るなんてスマートじゃない、ダメなヤツのすることだ。ずっとそう思っていた。だけど――」
不意に背中に回された腕がゆるんだ。アキが首を傾げ、わたしの顔をのぞき込む。
「あなたのことだけは諦められない。他には何も要らない、あなたが居てくれるならそれだけでいい。――だからもう一度僕を好きになって、吉野」
アキはわたしに愛を乞うた。
――まるで敬虔なクリスチャンが神に許しを請うように。
思いがけない言葉の数々に、胸が震えて声が出せない。開いたままの両目に、みるみるしずくが盛り上がっていく。
「返事は今すぐじゃなくていい。僕はその間、精いっぱいあなたの気持ちを取り戻す努力をするから」
硬い決意のこもった瞳で真っ直ぐにそう言われ、わたしは唇を噛みしめた。
今日こそは言いたいことを全部言う。それまでは絶対泣かない。そう誓ったじゃないか。
初志貫徹、不撓不屈、心頭滅却……年上意地!!
「今すぐ……するっ!」
両目を見開いて勢いよく顔を上げた。
泣きぼくろが絶妙な色香を添える瞳が、みるみる見張られていく。それを半ば睨みつけるように見つめながら、わたしはありったけの想いを込めて口を開いた。
「アキのことが好き! わたしが好きなのはアキだけよ! ……ずっと気持ちは変わっていないし他に好きな人なんていない!!」
アキの両目が更に大きく見開かれる。何か言いたげに口を開こうとした彼を遮るように言葉を続けた。今はわたしの番だ。
「アキが何を勘違いしたか分からないけど、晶人さんとは何もない。彼とはただの上司と部下で先輩と後輩。それ以上の関係になったことなんて一度もないっ……好きなのはアキなのに他の人と付き合ったりしないし、フラれたからってすぐに別の人に乗り換えたりなんてできない。わたしの気持ちは……わたしはそんなにチョロくない!」
一気に言い切って、息が上がった。呼吸を整えようと大きく息を吸い込んだところでアキがポツリと言った。
「……勘違い? でもあの時、あなたが結城課長とキスしているのを見て、僕はてっきり……」
「キッ、キス!?」
「ああ。僕が最後にあなたに会った時、あなたは玄関で彼とキスを、」
「キスなんてしてないっ!」
わたしの大声にアキが目を見張った。
「あの日は具合が悪くなって早退して……森と色々あった後だったから、森が心配してわたしに謝りたいって……だから晶人さんは森を連れて来てくれただけ。玄関のあの時は、たまたま熱がないかおでこに手を当てられただけなの!」
「おでこに手を……僕のところからはキスをしているように見えたけど」
「すぐに彼の手を外したんだけど、顔色が悪いってのぞき込まれて……」
「……そう、だったんだ……」
呆然と呟いたアキに力強く頷き返す。すると彼はガックリと項垂れた。
彼が言っているのは、バレンタインの朝に言い合いになった時のことだ。
でも、それで言ったらわたしだって。
彼の話も訊かず、彼が森と一晩過ごしたと決めつけた。彼からの連絡を散々無視し、直接謝りに来てくれた彼にひどい言葉を投げつけて。
口に出して謝りたいのに、喉元から込み上げる熱い塊が邪魔をする。
何も言わないわたしを抱きしめたまま、アキは言葉を続けていた。
「どうしてもう少し気持ちに余裕を持つことが出来なかったんだろう。そのことをあなたに謝ろう。なんとしてでも許してもらえるまで謝り続けよう。そう思って会いに行った。だけど――」
アキだけが悪いわけじゃない。その気持ちを込めて首を左右に振った時、信じられない言葉が耳に飛び込んで来た。
「あなたはすでに結城課長を選んだ後だった」
――え?
どういうこと!? いつわたしが晶人さんを選んだって言うの?
「こんなふうに余裕のない僕なんかより、結城課長のような大人の男性の方があなたには合うのかもしれない――」
「っ、」
「その方が、面倒なことの多い僕の世界に巻き込むよりもあなたにとって幸せかもしれない──」
『わたしの幸せ』を、勝手に決めつけないで!
そう叫びたくて彼の腕の中でもがくけど、もがけばもがくほど背中に回る腕は締まるばかり。まるで『逃がさない』『何も聞きたくない』とでも言うように。
アキはわたしが晶人さんと付き合っていると思い込んでるの?
最後に会った時にうちに晶人さんが来ていたから? でもあのあとすぐに森が来たのを、彼も見ているはずなのに――。
言いたいことは山ほどある。だけど、今はとにかく彼の胸から顔を上げて、早く誤解を解かなくちゃ。
そう思って、彼の体を押し返そうと両手に力を込めた時。
「――そう思ってみたけど全然ダメだったんだ」
わたしは思わず動きを止めた。アキはまるで縋るように強くわたしを抱きしめる。
「他の男を好きになったのなら仕方ない。僕といるよりも幸せになれるかもしれない。あなたが幸せならそれでいい……何度も自分にそう言い聞かせたんだ。でも全然ダメだった……あなたを諦められない。心変わりした相手に縋るなんてスマートじゃない、ダメなヤツのすることだ。ずっとそう思っていた。だけど――」
不意に背中に回された腕がゆるんだ。アキが首を傾げ、わたしの顔をのぞき込む。
「あなたのことだけは諦められない。他には何も要らない、あなたが居てくれるならそれだけでいい。――だからもう一度僕を好きになって、吉野」
アキはわたしに愛を乞うた。
――まるで敬虔なクリスチャンが神に許しを請うように。
思いがけない言葉の数々に、胸が震えて声が出せない。開いたままの両目に、みるみるしずくが盛り上がっていく。
「返事は今すぐじゃなくていい。僕はその間、精いっぱいあなたの気持ちを取り戻す努力をするから」
硬い決意のこもった瞳で真っ直ぐにそう言われ、わたしは唇を噛みしめた。
今日こそは言いたいことを全部言う。それまでは絶対泣かない。そう誓ったじゃないか。
初志貫徹、不撓不屈、心頭滅却……年上意地!!
「今すぐ……するっ!」
両目を見開いて勢いよく顔を上げた。
泣きぼくろが絶妙な色香を添える瞳が、みるみる見張られていく。それを半ば睨みつけるように見つめながら、わたしはありったけの想いを込めて口を開いた。
「アキのことが好き! わたしが好きなのはアキだけよ! ……ずっと気持ちは変わっていないし他に好きな人なんていない!!」
アキの両目が更に大きく見開かれる。何か言いたげに口を開こうとした彼を遮るように言葉を続けた。今はわたしの番だ。
「アキが何を勘違いしたか分からないけど、晶人さんとは何もない。彼とはただの上司と部下で先輩と後輩。それ以上の関係になったことなんて一度もないっ……好きなのはアキなのに他の人と付き合ったりしないし、フラれたからってすぐに別の人に乗り換えたりなんてできない。わたしの気持ちは……わたしはそんなにチョロくない!」
一気に言い切って、息が上がった。呼吸を整えようと大きく息を吸い込んだところでアキがポツリと言った。
「……勘違い? でもあの時、あなたが結城課長とキスしているのを見て、僕はてっきり……」
「キッ、キス!?」
「ああ。僕が最後にあなたに会った時、あなたは玄関で彼とキスを、」
「キスなんてしてないっ!」
わたしの大声にアキが目を見張った。
「あの日は具合が悪くなって早退して……森と色々あった後だったから、森が心配してわたしに謝りたいって……だから晶人さんは森を連れて来てくれただけ。玄関のあの時は、たまたま熱がないかおでこに手を当てられただけなの!」
「おでこに手を……僕のところからはキスをしているように見えたけど」
「すぐに彼の手を外したんだけど、顔色が悪いってのぞき込まれて……」
「……そう、だったんだ……」
呆然と呟いたアキに力強く頷き返す。すると彼はガックリと項垂れた。
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