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71.早朝
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アシュトンたちが来た翌日。シェリーは早朝に目が覚めた。窓を開けてみると夜が明けたばかりの少し冷たい空気が心地よい。
シェリーはナイトウェアに厚めのガウンを羽織り、中庭を散歩することにした。
中庭に出ると、草や木の葉の緑が濃くなってきているように感じた。
シェリーが朝のひんやりした空気を楽しんでいると、誰かがこちらにやってくるのに気づいた。
「こんな早い時間にお会いできるとは……。おはようございます、シェリー様」
張りのある声にシェリーが振り向くと、首元に白いスカーフを巻き深緑色のジャケットを着たアシュトンが立ってお辞儀をしていた。
「まあ。私ったらこんな格好で……恥ずかしいですわ。……おはようございます、アシュトン様。あまりよく眠れなかったのですか?」
アシュトンはニコリと微笑んで首を傾げた。
「昨日は遅くまでホワイト辺境伯や父と話をしていたので、寝坊するのではないかと思ったのですが……。なぜかこんな時間に目が覚めてしまいました。眠りなおすには空が明るかったので、一人で散歩でもしようかと」
「あら、同じですわ」
シェリーとアシュトンは見つめあってから、ふ、と優しく微笑んだ。
「昨日は父とどんな話をされたのですか、アシュトン様?」
「……まあ、色々と」
アシュトンはシェリーの手を取り、指の先にキスをした。
シェリーは赤くなる頬を隠すように顔を背けると、アシュトンに言った。
「体が冷えては大変です。そろそろ部屋に戻りませんか?」
「そうですね」
シェリーはアシュトンと手をつなぎ、屋敷の中に戻っていった。
廊下で「また、後で」と言って別れると、二人はそれぞれの部屋に戻った。
シェリーは部屋に戻るとメイドを呼んで、ドレスに着替えた。
「お嬢様、髪が少し冷えているようですがお部屋の窓を開けていたのですか?」
「いいえ。少し散歩をしていたの」
「まだ朝は冷えますから、体を冷やさないようお気を付けくださいね」
「ええ」
シェリーは着替え終わると、紅茶を部屋に運んでくるようメイドに頼んだ。
メイドが戻ってくるまで、窓から先ほどまでいた中庭を眺める。
「アシュトン様たちとお父様は、いったい何を話していたのかしら?」
ドアがノックされた。
「お嬢様、紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
メイドが熱い紅茶を机の上に置き、部屋を出て行った。
ゆらゆらと湯気の上がる紅茶をシェリーは一口、そっと飲んだ。
「……私だけではなかったのね。アシュトン様も緊張されているみたい」
紅茶を飲みながら、アシュトンと出会ってからのいくつかの出来事をシェリーは思い出し、一人で小さく微笑んだ。
「お嬢様、そろそろ朝食の時間です」
「はい、今行きます」
シェリーは空になった紅茶のカップを机に置き、食堂へ移動した。
シェリーはナイトウェアに厚めのガウンを羽織り、中庭を散歩することにした。
中庭に出ると、草や木の葉の緑が濃くなってきているように感じた。
シェリーが朝のひんやりした空気を楽しんでいると、誰かがこちらにやってくるのに気づいた。
「こんな早い時間にお会いできるとは……。おはようございます、シェリー様」
張りのある声にシェリーが振り向くと、首元に白いスカーフを巻き深緑色のジャケットを着たアシュトンが立ってお辞儀をしていた。
「まあ。私ったらこんな格好で……恥ずかしいですわ。……おはようございます、アシュトン様。あまりよく眠れなかったのですか?」
アシュトンはニコリと微笑んで首を傾げた。
「昨日は遅くまでホワイト辺境伯や父と話をしていたので、寝坊するのではないかと思ったのですが……。なぜかこんな時間に目が覚めてしまいました。眠りなおすには空が明るかったので、一人で散歩でもしようかと」
「あら、同じですわ」
シェリーとアシュトンは見つめあってから、ふ、と優しく微笑んだ。
「昨日は父とどんな話をされたのですか、アシュトン様?」
「……まあ、色々と」
アシュトンはシェリーの手を取り、指の先にキスをした。
シェリーは赤くなる頬を隠すように顔を背けると、アシュトンに言った。
「体が冷えては大変です。そろそろ部屋に戻りませんか?」
「そうですね」
シェリーはアシュトンと手をつなぎ、屋敷の中に戻っていった。
廊下で「また、後で」と言って別れると、二人はそれぞれの部屋に戻った。
シェリーは部屋に戻るとメイドを呼んで、ドレスに着替えた。
「お嬢様、髪が少し冷えているようですがお部屋の窓を開けていたのですか?」
「いいえ。少し散歩をしていたの」
「まだ朝は冷えますから、体を冷やさないようお気を付けくださいね」
「ええ」
シェリーは着替え終わると、紅茶を部屋に運んでくるようメイドに頼んだ。
メイドが戻ってくるまで、窓から先ほどまでいた中庭を眺める。
「アシュトン様たちとお父様は、いったい何を話していたのかしら?」
ドアがノックされた。
「お嬢様、紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
メイドが熱い紅茶を机の上に置き、部屋を出て行った。
ゆらゆらと湯気の上がる紅茶をシェリーは一口、そっと飲んだ。
「……私だけではなかったのね。アシュトン様も緊張されているみたい」
紅茶を飲みながら、アシュトンと出会ってからのいくつかの出来事をシェリーは思い出し、一人で小さく微笑んだ。
「お嬢様、そろそろ朝食の時間です」
「はい、今行きます」
シェリーは空になった紅茶のカップを机に置き、食堂へ移動した。
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