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21、パーティー
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スオロの城でトラモンタ王達の歓迎会と、武闘会優勝者の祝福パーティーが開かれた。
ホワイト辺境伯も呼ばれている。
シェリーは華やかなパーティーを隅の方でじっと見ていた。
「どうしました? シェリー様?」
「セリシア様……」
シェリーは飲み物をとり、一口飲むとセリシアに向かって微笑んだ。
「いえ、なんでもありませんわ。今日は素晴らしい試合でしたね」
「ええ。ジルの強さが分かったでしょう?」
シェリーとセリシアが話していると、ジルがやって来た。
ジルの後ろを見ると、大勢の女性がジルに声をかけられるのを待っているようだ。
「ふう、人気者は辛いですね。セリシア様、シェリー様、パーティーを楽しまれてますか?」
「ええ。ジル、よく頑張りましたね。親善試合でしたから、やり過ぎたのではないかと心配になりました」
セリシアの言葉を聞き、ジルは苦笑した。
「もう少し、手応えのある相手だと思ったのですが……」
「……それは、私が弱かったと言うことですか? ジル殿」
「アルバート……様!?」
人混みからアルバートが現れ、ジルに声をかけた。
「なるほど。ジル様はシェリー様のお知り合いだったのですね。それなら私の弱点なども知っていて当然……」
シェリーはそれを聞いて、アルバートに反論した。
「ジル様はそんな卑怯な真似はしません! 貴方とは違います!」
「……アルバート様!」
スノーがアルバートの手を引いて、騒ぎから遠ざけようとした。
「貴方がシェリー様? アルバートから、つきまとわれて困ると聞いたことがあります。アルバートが負けるなんて、どんな卑怯な手を使ったのですか?」
スノーの言葉を聞いて、シェリーは怒りで顔が真っ赤になるのが分かった。
「つまらない嘘にだまされないでくださいませ。スノーさん」
シェリーの怒りで震える手を、ジルが強く握りスノーとアルバートに言った。
「何か誤解されているようですが、今夜はお祝いのパーティーですよ? もう少し楽しみませんか?」
「……余裕ですね」
「はい」
ジルは微笑みながら、シェリーの前に立った。
「シェリー様、セリシア様、なにかお食べになって来てはいかがですか?」
「そうですわね。行きましょう、シェリー様」
「……はい、セリシア様」
セリシアとシェリーはピリピリと緊張した、その場から去った。
「では、私たちも交友を深めましょうか」
「は?」
ジルはアルバートの手をとって強く握り、耳元で囁いた。
「アルバート様、無礼なことを続けると私にも考えがありますよ?」
「……っ!!」
アルバートはジルを睨み付けると、その場を去って行った。
「ただいま戻りました。あら? アルバートさん達は?」
セリシアとシェリーは、ジルの分の料理を渡して訊ねた。
「用事を思い出したようですよ」
ジルは受け取った皿から、ほうれん草のキッシュをとると一口食べた。
「これは美味しいですね。シェリー様も食べましたか?」
「いまからいただきます」
セリシアとシェリー、ジルは食事をしながら今日の試合やスオロの町の印象を楽しく話し合った。
ホワイト辺境伯も呼ばれている。
シェリーは華やかなパーティーを隅の方でじっと見ていた。
「どうしました? シェリー様?」
「セリシア様……」
シェリーは飲み物をとり、一口飲むとセリシアに向かって微笑んだ。
「いえ、なんでもありませんわ。今日は素晴らしい試合でしたね」
「ええ。ジルの強さが分かったでしょう?」
シェリーとセリシアが話していると、ジルがやって来た。
ジルの後ろを見ると、大勢の女性がジルに声をかけられるのを待っているようだ。
「ふう、人気者は辛いですね。セリシア様、シェリー様、パーティーを楽しまれてますか?」
「ええ。ジル、よく頑張りましたね。親善試合でしたから、やり過ぎたのではないかと心配になりました」
セリシアの言葉を聞き、ジルは苦笑した。
「もう少し、手応えのある相手だと思ったのですが……」
「……それは、私が弱かったと言うことですか? ジル殿」
「アルバート……様!?」
人混みからアルバートが現れ、ジルに声をかけた。
「なるほど。ジル様はシェリー様のお知り合いだったのですね。それなら私の弱点なども知っていて当然……」
シェリーはそれを聞いて、アルバートに反論した。
「ジル様はそんな卑怯な真似はしません! 貴方とは違います!」
「……アルバート様!」
スノーがアルバートの手を引いて、騒ぎから遠ざけようとした。
「貴方がシェリー様? アルバートから、つきまとわれて困ると聞いたことがあります。アルバートが負けるなんて、どんな卑怯な手を使ったのですか?」
スノーの言葉を聞いて、シェリーは怒りで顔が真っ赤になるのが分かった。
「つまらない嘘にだまされないでくださいませ。スノーさん」
シェリーの怒りで震える手を、ジルが強く握りスノーとアルバートに言った。
「何か誤解されているようですが、今夜はお祝いのパーティーですよ? もう少し楽しみませんか?」
「……余裕ですね」
「はい」
ジルは微笑みながら、シェリーの前に立った。
「シェリー様、セリシア様、なにかお食べになって来てはいかがですか?」
「そうですわね。行きましょう、シェリー様」
「……はい、セリシア様」
セリシアとシェリーはピリピリと緊張した、その場から去った。
「では、私たちも交友を深めましょうか」
「は?」
ジルはアルバートの手をとって強く握り、耳元で囁いた。
「アルバート様、無礼なことを続けると私にも考えがありますよ?」
「……っ!!」
アルバートはジルを睨み付けると、その場を去って行った。
「ただいま戻りました。あら? アルバートさん達は?」
セリシアとシェリーは、ジルの分の料理を渡して訊ねた。
「用事を思い出したようですよ」
ジルは受け取った皿から、ほうれん草のキッシュをとると一口食べた。
「これは美味しいですね。シェリー様も食べましたか?」
「いまからいただきます」
セリシアとシェリー、ジルは食事をしながら今日の試合やスオロの町の印象を楽しく話し合った。
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