転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん

文字の大きさ
上 下
114 / 202
王都

114.

しおりを挟む
さぁ、今日はギルドだ。
と張り切って起きようとしたけど身体が言う事を聞かない。
「ククル様おはようございます」
「ゔーハナおはよう」
私の様子を見て慌てて出ていった。
多分、アイザックを呼びに行ったのだろう。
「ククル、おでこ」
コツンとおでこが当てられてため息をつくアイザック。
「熱だな。まぁ、最近ちょっとバタバタしてたから仕方がないか。今日はククルはお留守番だな」
「はぁい」
「ハナ、ユミンをギルドと屋敷に連れて行ってくれ。俺はククルについているから」
「かしこまりました」
ユミンは来年の入学までに最低限のことは学ばせる様で、アイザックの実家で色々勉強するらしい。
今日は紹介に連れて行くと連絡しているからハナが付き添う事になった。
「では、ククル様ゆっくりお休みくださいね」
ハナが部屋からでていった。
「ククル、とりあえず薬を飲もうか」
あまり食欲も無いので果物を食べて薬を飲んだ。
「ククル、こないだは悪かったな。つい寝てるからと待たせてたせいであんな事になって。無事で良かったよ。」
「アイザックが悪いわけじゃないし、私はなんともなかったから大丈夫だよ」
確かにちょっと焦ったけどこないだのは不可抗力だと思う。
それにハナとマーサスにこってり怒られたアイザックの方が気の毒だ。
それよりも薬の所為か眠たくなってきた。
「今日はゆっくり寝てたら良いよ。俺はここにいてるから」
アイザックの言葉が最後までも聞こえないまま眠りについた。



ククルが攫われた時はかなり焦った。
そこらの奴なら恐らくククルの方が強いからいざとなったら自力で逃げるとは思ったが見た目が子供のあの子に命懸けの対人戦はさせたく無い。
今のところ、精神的に参ってる素振りは無いけど最初の頃の様に毎晩うなされてはみてられない。
ベットでスヤスヤ寝ているククルを眺めながら今日は家でゆっくり過ごす事にした。
「ゔー」
ククルがうなされてる声にハッとした。
どうやら本を読んでいたらそのままソファで寝てしまっていた様だ。

ベットを覗き込むと眉間に皺を寄せて難しい表情で寝ている。

「んー、一度起こすか」

ククルの身体を揺すってやるとうっすら目を開けた。
「ククル、うなされてた様だか大丈夫かい」
此方に目線を向けて目が合った途端泣き出した。
どうやら体調が悪いせいもあり情緒不安定になっているみたいだ。
「ほら、どおした?」
泣きながら起き上がるとしがみついてきたので抱き上げて落ち着かせる。
肩に顔を埋めてグズグズ言っているが暫くすると落ち着いたのか寝息が聞こえてきた。

「はぁ、コレは久しぶりに長引きそうだな」
なんとも無かったかの様に振る舞っていたがやっぱり精神的に無理がかかったかかなり調子が悪そうだ。
前に一度同じ様な事があった時は確か5日程寝込んだ。
「コレは熱が下がるまで同じ部屋で寝起きした方が良さそうだな」


コンコン
「アイザック様、ただいま戻りました」
「ご苦労様。ハナ、ちょっと話があるんだが」
とりあえず今のククルの状態を説明し、この後起こりそうな事について話する。
「この感じだと無理矢理魔力を抜いてやらないと中々良くならないからな、、、今空の魔石が手元にないからちょっと貰いに行ってくる」
寝ている隙に行動してしまおうと急いで出掛けた。



身体が物凄くだるい。
目を開けてまわりをなんとなく見ていると部屋には誰もいて無い様だ。
アイザックの姿が見えない事に気がつくとだんだん寂しくなって来た。
起きた事に気がついたかハナが部屋に入ってくる。
「ククル様、お身体は大丈夫ですか?」
「アイザックは居ないの?」
この言葉を皮切りにどんどん涙が出てきて止める事が出来ない。
「あらあら、どうしましたか?」
ハナが心配そうに横に来てくれるがアイザックじゃないと嫌なのだ。
「アイザックどこぉ、、、」
そのままワンワン泣き出したら収拾がつかなくなった。
ハナが流石に困り果てている。
それからの1時間近くだるい身体で只々アイザックの居ないのが悲しくて泣き続けたのだ。
泣くにも体力を使う為、グッタリ横になった。
泣きすぎたか頭も痛いし身体も動かない。
そこへ玄関の方から足音が近づいてきた。
「ククル、とりあえずこっちに魔力を移すんだ」
アイザックの顔を見たら少し安心し、言われたとおりに魔力を移していく。
そのまま深い眠りについたのだった。
「アイザック様、おかえりなさいませ。」
ハナにこの少しの間で何があったのか 確認し、小さくため息をついた。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。 しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。 7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。 ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。 ★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。 皆様応援よろしくお願いします

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

処理中です...