113 / 202
王都
113.
しおりを挟む
怒涛の1日だった。
すっかり顔見知りだけになり気が抜けたのか家に着くまでもなく寝てしまった様だ。
「ククル様、お疲れのところすいません。起きていただいても良いですか」
ハナの声で意識が覚醒していく。
「んー、はーい」
起き上がるとハナがそこにいた。
「ククル様、昨日の事は覚えてますか」
コクンと頷く。
「昨日、一緒にこちらに来た女の子の事でマーサス様がお見えです。」
私はハナに着替えを手伝ってもらいとりあえず応接室に向かった。
向かいながらハナに聞くと昨日家についてからはユミンはハナが見てくれていた様だ。
「おう、朝から悪いな」
マーサスの向かいに座るアイザックの横に行く。
ユミンはまだ寝てるようだ。
「昨日は大変だったな。あの後捕らえた奴を調べたら色々出てきたな。それでだ、昨日こっちに来た女の子についてだがどうやら家族を殺されている。馬車での移動中に襲ったようで流れの旅商人だったみたいだ。」
本人にも話を聞きたくて来たんだがとりあえず先に伝えておこうと私を起こしたらしい。
今、ハナがユミンを迎えに行った。
暫くしたらユミンが部屋に入って来た。
「すまんな朝から。ちょっと話が聞きたいが大丈夫か」
頷き、そこからはマーサスの質問に答えて行く。
30分程続いた話が漸く終わりマーサスがまた来ると帰っていった。
とりあえず朝食にしようと言う事になりリビングに移動する。
4人で食事を済ませてお茶を飲みながらアイザックに聞いてみた。
「ねぇ、アイザック。今後、ユミンはどうなるの?」
「そうだな。一番妥当なのは孤児院で生活する事かな。ちゃんと働けるまで衣食住は守られるからな」
あぁ、やっぱりか。
「あのぉ、私ここに居てはダメですか?」
急にユミンが語りだした。
元々は孤児院で育ったらしく、殺された両親も実は親ではないそうだ。
衣食住の補償の代わりに仕事を手伝っていたらしく話を聞く限りでは扱いが奴隷に近い。
そんな生活に戻るのは嫌だから仕事はするのでここに居させてほしいと訴えてくる。
「アイザック、とりあえずユミンの身体が休まるまでは良いよね」
私達も直ぐには答えが出せないので一旦保留とした。
ユミンは歳が私より上で今年の夏で8歳になるそうだ。
とりあえず、ハナが部屋に連れて行ってくれたのでアイザックと話し合う事にした。
「どうしよう?」
「そうだな。ククルはどうしたい?」
「んー、話だけなら孤児院は可哀想かと思うかな。でもね、雇うとなるとあんな歳の子に仕事させるのもなって思うかな」
「ククルも仕事はしてるだろ」
「うん、確かに。でもね、私の場合は中身が大人だから」
「じゃあ、見習いとして住み込みで雇うのはどうだい?来年からククルと一緒に学校にも行かせて卒業後は好きに進路を決めさせる。見習いだとそんなに給料は出せないけど衣食住と教養は補償して。普段はハナの手伝いをさせてメイドなら働き先も沢山あるから」
そうか、それも良いかも。私には歳の近い友達も居ないし、主人と言うよりは友達として側に居て欲しいかな。
アイザックにそれを伝えるとそれでも良いんじゃないかとの事。
期限を最長でも成人の15歳迄とし、その間住み込みで見習いとして働いてもらう。良いのではないか。
「じゃあ、明日にでももう一度本人と話をしようか」
先の事が決まり、少し安心した。
今日はこの後、昨日の事情を聴きに兵士が家に来る。
それまでの間ゆっくり過ごす事にした。
午後から事情聴取に時間を取られ気がついたら夕食だった。
4人でテーブルを囲みハナの作ってくれたご飯を食べる。
流石に子供2人は疲れも取れずとっとと就寝する事にした。
翌朝、朝食後にユミンと向き合い昨日アイザックと話した内容を伝える。
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
涙目でお礼を言われた。
「そうと決まったら早速部屋を整えないとね」
使用人の部屋が一つ空いているので準備が整ったらそこに住んでもらう事にした。
大体1週間程で家具も届くのでそれまではゆっくり過ごしてもらう。
「折角だし、小物の買い物いこうよ」
アイザックは雇い入れる為の手続きをしてくるとの事でハナと3人で買い物に行く事にした。
大型家具以外の小物や洋服、食器や日用品など沢山買い物した。
段々遠慮して行くのを無視してある程度の買い物も終わり、今日は時間も遅いからと屋台で夕食を購入。
3人揃って家に帰るとアイザックが待ち構えていた。
「おかえり、手続きは無事終了した。明日ギルドに行って身分証かわりに登録するだけだ」
「じゃあ、明日はギルドだね。マーサスのところで登録するの?」
「いや、赤のギルドだな。中央はあまり新人の登録手続きはしてないから」
そうなんだと納得し、夕食を食べる事にした。
4日後に大型家具が届くとのことでユミンの見習いは6日後からスタートする事になった。
すっかり顔見知りだけになり気が抜けたのか家に着くまでもなく寝てしまった様だ。
「ククル様、お疲れのところすいません。起きていただいても良いですか」
ハナの声で意識が覚醒していく。
「んー、はーい」
起き上がるとハナがそこにいた。
「ククル様、昨日の事は覚えてますか」
コクンと頷く。
「昨日、一緒にこちらに来た女の子の事でマーサス様がお見えです。」
私はハナに着替えを手伝ってもらいとりあえず応接室に向かった。
向かいながらハナに聞くと昨日家についてからはユミンはハナが見てくれていた様だ。
「おう、朝から悪いな」
マーサスの向かいに座るアイザックの横に行く。
ユミンはまだ寝てるようだ。
「昨日は大変だったな。あの後捕らえた奴を調べたら色々出てきたな。それでだ、昨日こっちに来た女の子についてだがどうやら家族を殺されている。馬車での移動中に襲ったようで流れの旅商人だったみたいだ。」
本人にも話を聞きたくて来たんだがとりあえず先に伝えておこうと私を起こしたらしい。
今、ハナがユミンを迎えに行った。
暫くしたらユミンが部屋に入って来た。
「すまんな朝から。ちょっと話が聞きたいが大丈夫か」
頷き、そこからはマーサスの質問に答えて行く。
30分程続いた話が漸く終わりマーサスがまた来ると帰っていった。
とりあえず朝食にしようと言う事になりリビングに移動する。
4人で食事を済ませてお茶を飲みながらアイザックに聞いてみた。
「ねぇ、アイザック。今後、ユミンはどうなるの?」
「そうだな。一番妥当なのは孤児院で生活する事かな。ちゃんと働けるまで衣食住は守られるからな」
あぁ、やっぱりか。
「あのぉ、私ここに居てはダメですか?」
急にユミンが語りだした。
元々は孤児院で育ったらしく、殺された両親も実は親ではないそうだ。
衣食住の補償の代わりに仕事を手伝っていたらしく話を聞く限りでは扱いが奴隷に近い。
そんな生活に戻るのは嫌だから仕事はするのでここに居させてほしいと訴えてくる。
「アイザック、とりあえずユミンの身体が休まるまでは良いよね」
私達も直ぐには答えが出せないので一旦保留とした。
ユミンは歳が私より上で今年の夏で8歳になるそうだ。
とりあえず、ハナが部屋に連れて行ってくれたのでアイザックと話し合う事にした。
「どうしよう?」
「そうだな。ククルはどうしたい?」
「んー、話だけなら孤児院は可哀想かと思うかな。でもね、雇うとなるとあんな歳の子に仕事させるのもなって思うかな」
「ククルも仕事はしてるだろ」
「うん、確かに。でもね、私の場合は中身が大人だから」
「じゃあ、見習いとして住み込みで雇うのはどうだい?来年からククルと一緒に学校にも行かせて卒業後は好きに進路を決めさせる。見習いだとそんなに給料は出せないけど衣食住と教養は補償して。普段はハナの手伝いをさせてメイドなら働き先も沢山あるから」
そうか、それも良いかも。私には歳の近い友達も居ないし、主人と言うよりは友達として側に居て欲しいかな。
アイザックにそれを伝えるとそれでも良いんじゃないかとの事。
期限を最長でも成人の15歳迄とし、その間住み込みで見習いとして働いてもらう。良いのではないか。
「じゃあ、明日にでももう一度本人と話をしようか」
先の事が決まり、少し安心した。
今日はこの後、昨日の事情を聴きに兵士が家に来る。
それまでの間ゆっくり過ごす事にした。
午後から事情聴取に時間を取られ気がついたら夕食だった。
4人でテーブルを囲みハナの作ってくれたご飯を食べる。
流石に子供2人は疲れも取れずとっとと就寝する事にした。
翌朝、朝食後にユミンと向き合い昨日アイザックと話した内容を伝える。
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
涙目でお礼を言われた。
「そうと決まったら早速部屋を整えないとね」
使用人の部屋が一つ空いているので準備が整ったらそこに住んでもらう事にした。
大体1週間程で家具も届くのでそれまではゆっくり過ごしてもらう。
「折角だし、小物の買い物いこうよ」
アイザックは雇い入れる為の手続きをしてくるとの事でハナと3人で買い物に行く事にした。
大型家具以外の小物や洋服、食器や日用品など沢山買い物した。
段々遠慮して行くのを無視してある程度の買い物も終わり、今日は時間も遅いからと屋台で夕食を購入。
3人揃って家に帰るとアイザックが待ち構えていた。
「おかえり、手続きは無事終了した。明日ギルドに行って身分証かわりに登録するだけだ」
「じゃあ、明日はギルドだね。マーサスのところで登録するの?」
「いや、赤のギルドだな。中央はあまり新人の登録手続きはしてないから」
そうなんだと納得し、夕食を食べる事にした。
4日後に大型家具が届くとのことでユミンの見習いは6日後からスタートする事になった。
210
お気に入りに追加
2,584
あなたにおすすめの小説

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。
さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。
しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。
7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。
ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。
★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。
皆様応援よろしくお願いします

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる