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はじまり

1.

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病院の一室。静かに息を引き取った女性。幼い頃に両親と死に別れ、その後親代わりに育ててくれた祖母も10年前に他界。38歳にして本人も病気には敵わず、この世を後にした。
はずだった。

「あれ、ここどこ?」
入院して病院で治療を受けていたが、だんだん衰えていく事に抵抗できずついさっき力尽きた記憶がある。

でも、どう見ても周りは草原?森?
ふと手に紙があたったので視線を落とす。
『特に代わり映えのない人生だったかも知れない前世の知識。今回の役に立つかも。ここは地球とは別の世界。魔法と剣の世界へ異世界転生と言えばわかるかしら。生活に困らない程度の知識や能力とちょっとした特典をつけておいたわ。気楽に楽しめる様に身内はいない。一応跡取りの居ない貴族の遠い親戚にしてあるから定住したいならその人を探してね。念の為、家紋の入った指輪を無限収納にいれてあるから。あとは5歳にしておいたから今世楽しんでね。神より』

なんだコレ。異世界転生?
病室で暇潰しに読んでた小説が確かにこの手の作品だったゲド。
「まっ、いっか」
頭の中には、この世界の知識がある様でちょっと集中すりとまるで感覚にインストールされるかの様に流れ込んできた。

とりあえずステータスを見ればよいか。

「ステータス」
名前?
年齢5
レベル1
HP150
MP450
体力15
魔力75
知力80
俊敏50
運 70
属性 全属性
スキル 無限収納 テイム 料理 マップ 調合 鑑定
所持金 10000000G
お金一杯だ。名前が?って好きにして良いのかな。後で考えよう。この世界の平均が分からないけど、最高が150らしいから体力以外は高めかな。

マップがある。頭に思い描くと何もない空間に地図が出てきた。
現在地となんとなく街の様な印がある。通ったらどんどん追加されるのか。
で、無限収納には食料と服、武器と防具ポーションにテント、日用品が入っていた。
「とりあえず深く考えても仕方がないし、街に向かって歩いて行くか」
身体は5歳でも頭は38歳。
魔物がいるかも?街まで歩ける?
まっ、なんとかなるっしょ。
地図を脳内に展開してテクテク歩きはじめた。

2時間後、そろそろ街道に出る頃はじめての魔物に遭遇する。
「なにこれ、かわいい。スライムだ」
つぶらな瞳でプルプル動く青い物体を発見。それも一匹。
「なんかテイムとかあったな。どうやったらできるの?あっ、成る程。えっと一緒にいこ?こっちにおいでよ」
力でも説得でもとりあえず仲間になりたいと意識して相手が納得したらテイムできる様だ。
しばらく左右にプルプル揺れてる。手を差し出すとぴょっこり手のひらに乗ってきた。
「後は名前をつけたらテイム完了ね」
なんてつけようかな。うーむ、青いし、プルプルだしスライムだし
「君の名前はプルでどお」
プルプルと震えて一瞬光に包まれた。光が額?の処にあつまり収まる。契約紋が薄っすらと浮かぶ。
「やったー。今日からよろしくね」
#ヨロシク、アルジ、ナマエオシエテ#
頭に言葉が入ってくる。意思疎通ができるんだ。
「そっか名前ね。私はククル。よろしく」
#ククル、ヨロシク#
咄嗟にでたククルで私の名前も決まった。
プルを肩に乗せて街道に出た。
街に向かって歩いていると時々馬車が横を通る。
何台目かの馬車が横を通りすぎた時、1人の男性が馬車から飛び降りて来て此方に歩いてくる。
当たり前だが知り合いは居ない。私には関係ないと気にせず歩いていると目の前に立ち止まった。
「おい、ちびっ子。お前1人か、保護者はどこだ」
あら、私に用事だったか。
良く考えたら小さい子供が1人、歩いているのも不自然か。お節介か怪しい人かわからん。
反応に困って無言で相手の顔を見ていると向こうが話し出した
「しゃべれないのか。こんなところで1人で居たらとっつかまって売られるぞ。保護者は居ないみたいだな。街に行くのか」
コクリ。首を縦にした。
「1人か」
コクリ
「オレが連れて行ってやる」
ブルブル
「大丈夫だ。一応冒険者だし、お前を売りはしない」
ブルブル
「信用できんか」
コクリ
「中々面白いな。ほら、大丈夫だから」
無理矢理抱き上げられた。
ポカポカ男の肩を叩くが全く気にせず歩き出す。多分お節介なのだろう。悪い人では無さそうだが強引ではある。
「オレはカイトだ。フリーの冒険者で丁度この先の街が故郷でな。久しぶりに帰って来た。そんなに警戒するな。いくあてはあるのか」
ない。特に考えてもいないし、どうしようかな。とりあえずついて行って大丈夫かな。
「私はククル。あてはないよ。1人だし。身寄りもない」
急にしゃべったからびっくりしたみたい
「なんだ、ちゃんとしゃべれるんだ。よし、あてがないならとりあえずついてこい。」
強引ではあったけどカイトに抱っこされたまま一緒に街まで行く事にした。
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