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最終章 ~彼らの終着点~

最終話 彼女達の出発点

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 ~13年後~

「それじゃあパパ行って来ます!」

「待ってよ!お姉ちゃん!」

「エフィわたくし達も行きますわよ」

「はい、お姉様」

あたしらも行くわよ!」

「うん!姉ちゃん!」

「僕達もいかないとね」

「そうですね姉様」

娘達はそう言うとカルデア学園に向かって走っていく、今日は妹達の「鑑定の儀式の日」だ

姉達とは学年が違う為、妹達の職業が分かるのはおそらくお昼の時だろう

そしてその親であるエイト達は夜に聞く事になる

「まさかまたここで暮らす事になるとはな」

「仕方ないでしょ?娘達がカルデア学園に入学したいって言うからよ」

エイトは自分達がカルデア学園に通っていた頃に住んでいた別荘地を見てそう言葉をこぼす

ミュウの言う通りで、娘達は本来ミュウの故郷である本国の学園に通う予定だったのだが「私達もパパ達と同じ学園に通いたい」と言う要望があり、

カルデア学園の卒業生兼
同盟国兼
英雄パーティ兼
世界を救いし者達と言う事もあり、他国との友好関係を築く為にミュウ達がやっていた留学生を今回はミュウ達の娘がやる事になったのだ

「それにしても私達の娘達がもうあんなに大きくなるなんてね」

「子供の成長は早いって聞くけど、本当なんだな」

その子供の頃は本当に大変だった
結婚して1年目には子供が産まれ(4人)、その次の年には更に増えた(8人)、母親が4人いるので自分の娘達を中心に育てて、他の娘達にも同じ様に愛情を注いでいる

そしてエイトは更に大変だった、母親は4人だが、父親は1人エイトだけだ

「抱っこ」「おんぶ」「たかいたかい」等を求められた時には8人全員見ないといけないので本当に疲れていた

「そうですねぇ、お食事の準備も増えて、好き嫌いも多くて、毎日大変でしたよ」

シルフィが隣にやって来てそう呟く、シルフィはメイドの仕事兼子育てもやっていた、夜泣きの子供をあやしたり、3時間に1回は母乳をあげて、ゲップをさせて、おしめを取り替えて…とかなりの重労働で、それを2人、下手したら8人やっていたのだ

「本当に子供って寝顔は天使だけど育てるとなると本当に大変でしたね」

「ワシの尻尾の毛…どれだけ抜き取られたか」

アリアとエルもやって来て「あははは」と渇いた声で笑った

ずっと部屋に居させるのも身体に悪いのでベビーカーで散歩させたり、日に日に大きくなる子供達を抱えて買い物や子育てをしているので、その親であるアリアも疲弊していた

エルも自分の尻尾を使って子供達をあやしたり、遊ばせたりして、疲れてお昼寝してくれたりしたが、その分尻尾の毛を抜かれたり、しゃぶられたりと毛並みが悲惨な事になっていたりした

「でも、自慢の娘達に成長してくれたな」

「そうねぇ…なんやかんやあったけど、元気に育ってくれたからそれでいいわ」

「私の娘達もメイドとしてかなり助かっています」

「魔術の心得も熟知してくれたし」

「皆んな可愛いのじゃ!」

まだ16歳だが、それでも胸を張って言える程可愛く、そして強く育ってくれた
もし何か起こっても大丈夫だろう

「さて、俺達は仕事に戻るよ、まだまだ書類が残ってるし」

「じゃあシルフィ、お昼にサンドイッチ持って来てね」

「かしこまりました」

「あたし達は今日ギルドへ行ってくるわ」

「主様、何か依頼はあるか?」

エイトとミュウは1週間交代で今週は公爵家の者としてのやるべき仕事を

シルフィは部屋の掃除から食事の準備などのメイドとしての仕事を(偶に冒険者をやりに)

アリアとエルは1週間交代で今週は冒険者として公爵家の依頼とその他の依頼をやりに

今の自分達が成すべき事をやりに向かって行った

「…父さん、俺1つ不安な事があるんだ」

ミュウの隣を歩きながらエイトはそう口に溢す

「みゅ?」

「俺の一族は特定の女性(達)に死ぬ程愛されるか、一族以外の異性を死ぬ程愛する…」

つまり…

「…8…(意味深)」

「娘はやらん!とは言わないのね」

「娘を俺とミュウ達の関係の様に互いに想い、どんな事があっても一生愛するのならどんな男でも認めるよ」

「そうね、私もそうじゃなかったら認めないわ」

そう言ったエイトがこれが恐ろしいフラグだと言う事に気付くのは、今から1ヶ月後の話だ

「…なぁミュウ」

「どうしたの?エイト?」

部屋に戻る前にエイトはミュウの手を握る
それに驚きつつもミュウも微笑みながら握り返す

「俺達の望んだ世界が、今あるんだよな」

「ええ、そうね日本にいた頃に夢見た生活…には程遠いけどね?」

くすりと笑いながら「それでも」と続けて話す

「私が、私達が命をかけて叶えた望みが今こうして目の前に広がっていると考えると心が躍るわ」

子育ては確かに難しいし、大変だし、疲れる、でも愛する人ととの愛の結晶が新しい希望が未来へと進んでくれると思うと頑張った意味がまたもう一つあったのだと理解出来た

「私達がいる限り」

「大切な家族を傷つけさせたりしない」

そう胸に誓って、新しい人生の新たな道へと進み続けた

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最終章~彼らの終着点~   完
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…nextエピローグ(外伝)

娘達や過去作の主人公達のその後を書きます

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