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第9章 外伝2 〜英雄〜

第三百四十四話 勇者の魔の手…

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「…相変わらず気持ち悪いわね、カイト•クルージー」

支えてくれているエイトと
抱きしめているアリアの2人に聞こえる程度の小さな声で、ミュウは悪態をつく。

「…あれが…勇者…?」

「ああ、カイト•クルージー、ミュウと同じで公爵家の長男…確か妹がいた筈だ。」

アリアの呟きにエイトは詳しく説明する。
エイト自身も少し確認をしている節が見えるが多分それは妹の存在の事だろう。

「はい、名前は忘れましたが貴族同士の社交会やアイツカイトが来る時についでいたりしました。」

「お主が名前を覚えておらんとは…相当嫌っておるな。」

「嫌ってはいませんよ?ただ興味がないだけです。」

シルフィはそう言ってカイトの妹の事について話す、エルがそこまで驚いているのはメイドであるシルフィが同じ公爵家の貴族の子供の名前を覚えていないと言う事にだ。

普通の人間…と言うか、何回か会えば自然と名前は覚える筈だ。

「まぁ、今後も会う事はないだろうし、そこは別にどうでもいいんだけど…」

「問題はこっちね。」

「久しぶりだね?元気にしてた?さ、僕と一緒に旅をしよう!こんなモブなんてさっさと捨てて…ね?」

と、エイトとミュウは日本でもこの世界でもずっとついてくる本物のストーカー男、勇者カイトの方を見る。

学生時代、ミュウ達はエイトに洗脳されている、と叫んで、思い込んで、「僕が君達を救う!」とか言っていたのに、既にその設定も忘れたのだろうか?

「嫌よ」

「え?」

と言ったの、貴方の様な人の事を考えないクズと一緒にいたくないって言ってるのよ。」

と、ミュウはカイトを拒絶する。
この旅の中で人見知りが治り、カイトに対してもやっと強く言えるようになった。

とは知らずにカイトはいつも通り困惑する。
メグミはミュウの発言に怒る。

「ちょっと貴女!折角カイト君が助けに来たのにその言い方はないんじゃないの!」

「貴女…メグミ…だったかしら?エイトの義理の姉の」

「ええ…ムカつくけどそうよ…って、そんな事どうでも良いでしょ!」

メグミにとってカイトは絶対、そのカイトを侮辱したミュウの事が心底ムカつくのだろう、胸ぐらを掴もうと歩み寄る。

「アリア」

「はい、"術式"重力操作グラビティ

その前にミュウはアリアに頼んで、メグミを重力で無力化させる。

「ふぐっ!?」

「メグミ!…テメェ…モブの癖にメグミに何をした!殺すぞ!」

「俺のミュウに手を出そうとしたんだ、こうするに決まってるだろ?」

やったのはアリアだが、カイトにとっては全てエイトの所為になっている、それにも慣れている為、エイトは呆れながらそう言う。

「俺の…僕の!婚約者だぞ!ミュウは僕の物だ!ミュウもだ!いい加減戻って来い!まだ洗脳されてんのか!?」

「だから洗脳はされてないから…後…」

どうやら洗脳の設定は覚えているらしく、既に自分の力で解けていると思い込んでいたらしい。

「私はエイトのものだから、ミュウ•、これが私の名前だから。」

と、睨みつけているカイトに冷たい眼でそう言う、カイトは「…は?」と口をあんぐりさせて、その場で固まる。

「まぁ取り敢えずさぁ、退

「ゴフッ!?」

宿屋の入り口でずっと揉めているわけにもいかない、エイトはカイトを蹴り飛ばして外に出る。

メグミはアリアの重力操作グラビティの魔術でカイトの所に投げ捨てる。

「きゃ!?」

「重!?」

「ありがとう、アリア」

「はい、兄様のお役にたてて良かったです♪」

カイトとメグミを無視してアリアの頭を撫でる、アリアは気持ちよさそうに目を細める。

「しかし、あれが勇者か…確かにワシ達よりも遥かに弱いのぉ」

「うん、あたしやエルちゃんでも簡単に汚物の消毒が出来そうだね?」

「…アリア?」

エルは先程の行動で大体のステータスを確認して、アリアは既に殺る気マンマンで、エイトが少し驚いている。

——————————————————————
「と言うか、ミュウ様はまだフローラですよね?」

「良いじゃん別に、なんならエイトがフローラを名乗っても良いんだよ?」

「エイト•フローラか、全てが終わったら決めるよ。」


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