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12歳《中等部》
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しおりを挟む馬車にのった時に防音魔法をかける。
絶対に外に漏らしたくない話だから。
「それで?なんでわざわざシモンが来たの?」
外が見える窓もカーテンで隠す。
「実はね、お兄様とお姉様に本格的に殺されそうでね。形だけでもシルヴェスターとの婚約を進めたい。」
「ふぅん。」
それだけ?
シモンなら毒くらい1人で解毒できるし怪我だって致命傷でも治せるでしょ。
表立って皇子達が手を下すとも思えない。
「高等部は婚約者との生活に慣れるためにって建前で学園に通うことになる。」
「殺されかけたから皇位は諦めたの?」
少し気分を害したのかシモンが睨んでくる。
コレに信者が多数いるんだから世界ってよくわかんない。テオ様の方が綺麗で可愛いじゃん。
「私が諦めるわけないでしょ。信者を使ってお兄様もお姉様も殺してもいいんだけどね。どこからバレるか分からない。クラウスなら分かるだろ?」
「やるなら自分の手で?」
「そういうこと。だけど見られるのもダメ。手はない?」
なくはない。そもそも生まれた時から上の立場の人間だ。不祥事の一つや二つはあるだろう。シモン見たいに徹底的に気をつけてたなら別だけど。
「他国の王族殺しに手を貸すつもりは無いよ。」
「そんなに私と結婚したいんだ。」
「シルヴェスターとしては悪くないね。」
最高の利益がある結婚だね。
シルヴェスターとしてもいいし。シモンの能力ならすっごく仕事が楽になる。
「私としては問題があるんだけど?」
「面倒だなぁ。でも、殺すまでもないでしょ。」
シモンなら他の方法もあるだろうに。確かに殺しちゃった方が楽だけどバレたらあとが怖い。
シモンならそこを考えないはずがない。
ニヤってシモンが聖人らしからぬ笑い方をした。本当に腹ぐろい。
「うん。弱み握ってる。」
「使えば?」
「皇位を継ぐ前に遊びたい。」
ワガママだなぁ。
そのワガママのために僕の婚約者って立場を使うのか。僕に迷惑かかりすぎるんだけど。
「ふぅん。僕関係ある?」
関わいたくないなぁ。テオ様と会う前なら別だけどもう可愛い可愛い愛おしい推し様がいるんだ。平和に普通に生きたい。
「いいじゃない。どうせクーディも暇してたでしょ?」
昔もこんな話したなぁ。
あの時は走り回りたいのに貴族だから走れない。遊ぶ暇すらなく勉強を押し付けられる。少し楽しかった剣術だってキツくてキツくて辞めたくなった。母様怖いから言えなかったけど。オマケに仲良くなれと皇族と合わされる。しんどかったんだよね。暇な時間なんて寝てる時だけだ。
そんな時にシモンに出会ってシモンやルディがやけに眩しく見えたんだよね。夢に向かって邁進して、夢を語る2人。
前世から将来の夢なんて考えたこともなかったから眩しくて楽しそうで羨ましかった。
そんな時に持ちかけられたんだ。
『人生が暇なの?なら、私がクラウスの世界を輝かせてあげる。』って。あの時は僕も信者になりかけてたのかなぁ。今じゃ敬虔なるテオ様の信者だけど。
「人生に?」
「うん。昔と同じように私が面白い世界を見せてあげる。」
「ふふ。」
懐かしいなぁ。
いつもキラキラ輝いて。こうやって人に手を差し伸べてるんだろう。そりゃあその手を取りたくなる子も多いだろうなぁ。
「だけど少し遅かったね。」
きっとそこが僕の弱みだったんだろう。
シルヴェスターはそもそも興味を持った人に執着する質らしい。シルヴェスターの図書館の歴史書にそう書かれてた。どこまで本当なんだか。そんなの人の性格によると思う。シルヴェスターにはオタクが多いのかなぁ。
「もう人生の面白いもの見つけたよ。」
僕の推し様みたいに。
全てを捧げたくなっちゃうのかも。ゲームのクラウスは勢い余って主人公を殺してた。人間より死体の方が信用出来たのかなぁ。
「シルヴェスターの弱みを握ったつもりだったんだよね。たしかにシモンは面白い子だったよ。ルディもだけど世界を変えようとする野望。見てて飽きない。2人とも今も好きだよ。」
「…誰。」
初めてシモンが感情を表に出したかも。
「お前を変えたの。」
「見てたらわかるよ。ルディも知ってるからね。」
勘のいい奴らはみんな知ってるんじゃないのかな。
ルディも多分知ってる。知った上でテオ様のことを気に入ってくれてる。本当にルディは僕の友人だよ。
「だけどそれは僕のだから手を出さないでね。手を出したらシモンでも許さない。」
馬車が止まったのを確認してドアを開ける。今日の僕の仕事はシモンのエスコート。はぁ面倒だなぁ。
テオ様とお茶会した方が有意義だ。
▽
▽
▽
「陛下。もう一度伺っても?」
「シモン殿下は皇室の馬車でシルヴェスター公爵の屋敷に送り届けるから安心しなさい。シルヴェスター公爵も忙しいだろう。今日は帰って良いぞ。」
僕に帰れってか?
陛下と殿下のお願いという名の命令だ。
ルディも口出ししないなら元から陛下と話はついてたんだろう。そりゃあ聖皇国の皇子様だ。仲良くなりたいよね。
聖皇国との繋がりなんて教会を通さないとなかなかできないし。
こんなことなら僕が着いてきた意味ないじゃん。先に1人で皇室に寄ってシルヴェスターに来ればよかったのに。
「では陛下のお言葉に甘えましょう。」
僕はさっさと帰って欲しいらしいからお暇しよう。そんでテオ様とお話しよ。
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