196 / 212
12歳《中等部》
92
しおりを挟む第3皇子とはいえ随分いい馬車をお持ちで。というか、皇室に挨拶行く前に僕の家に来たの?馬鹿なの?
豪華な馬車から降りてきたのは白い少年。清楚だけど細かな装飾が施されたローブ。
「ようこそいらっしゃいました。シモン・ヨアヒム・ヴァイゲル第3皇子殿下。」
「こちらこそ1ヶ月世話になるよ。シルヴェスター公爵。」
2人で見つめあって吹き出した。
僕らこんなキャラじゃないよね。前にあったのは5歳で久しぶりだけど手紙でやり取りしてたし。
「久しぶりだね、シモン。」
「あぁ。久しいね。クーディ。」
さてと。忘れる前にしてもらうことがる。万が一殺したら国際問題になるし。
「入る前にこれに魔力入れて?」
「これは?」
「警備魔法具を発動させない為に魔力を覚えさせとくの。やらないと死ぬから拒否権ないよ。」
「なんかクーディが物作りに目覚めたのは知ってたけど…便利だねェ。」
そうでしょ~。初めは人件費減らすためだったけどいつ裏切るか分からない人間よりこっちの方が信用できてめっちゃ便利。
こういう風に魔力を貰って分析できるし。
聖魔法の分析なんてしたことないなぁ。楽しみ。
魔力を出したシモンの周りをハラハラ白い光が落ちる。聖魔法ってだけあって神聖な感じがする。
「荷物置いて皇室に挨拶行く?」
「そうするよ。お忍びだからシルヴェスターの馬車貸して。」
人のものは自分のものって思考なんだろうな。一介の貴族である僕は逆らえないから間違ってないけど。
「はいはい。アルフレート、馬車の準備して。メラニー、シモンの部屋に荷物を任せたよ。」
メラニーに魔力認識用の魔法具を渡す。メラニーとアルフレートならこれで分かってくれるからね。
ちゃんと騎士たちの魔力も登録してくれた。
シモンが選んだ騎士だ。信用してるんだろう。それなら身元確認しなくても1ヶ月くらいなら許可してあげる。
「私の部屋を準備してくれたんだ。」
「そりゃあ殿下を変な部屋に泊められないからね。馬小屋が良かった?」
「私に見合った豪華な部屋がいい。」
だよね。僕も馬小屋はやだ。
「お気に召すかどうかは分からないな…。部屋より先に紹介するよ。僕の弟たちだ。父様と義母様は用事があるからディナーで挨拶したいって。」
「分かったよ。」
まぁちょうどいいし弟たちを紹介しておくか。少し体をずらして後ろに控えてた弟たちを見せる。
これで察してくれるかな。
テオ様は当たり前のように察してシモンに騎士の礼をしてご挨拶。可愛い。好き。かっこいい。
ネヴィルが拙いながらも貴族の礼をした。よく出来ました。
「よろしくね。シルヴェスター公子達。クーディ、部屋までエスコートして。」
シモンは名乗りもせずに微笑んでテオ様の可愛らしいご挨拶を無視した。
ぶん殴ってやろうか。
僕の手を握ってた手を抓って微笑み返す。可愛い必死なテオ様に返事を返せ。
シモンは少しだけ目を見開いて僕の怒りを無視した。覚えとけよ。この屋敷じゃシモンより僕が上なんだから。
「馬車待たないの?」
「外で待ってくれるでしょ。私の部屋見たい。」
当然のようにエスコートしろと手を出してくる。仕方ない。面倒だけどやるしかないか。友人とはいえ皇子様だし。テオ様とネヴィルに興味を持たれても困る。
「…分かったよ。仰せのままに。」
シモンも攻略対象だ。
ネヴィルには別の保護魔法と錬金術具を渡しとこうか。
324
お気に入りに追加
2,358
あなたにおすすめの小説

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる