推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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第3皇子とはいえ随分いい馬車をお持ちで。というか、皇室に挨拶行く前に僕の家に来たの?馬鹿なの?

豪華な馬車から降りてきたのは白い少年。清楚だけど細かな装飾が施されたローブ。

「ようこそいらっしゃいました。シモン・ヨアヒム・ヴァイゲル第3皇子殿下。」

「こちらこそ1ヶ月世話になるよ。シルヴェスター公爵。」

2人で見つめあって吹き出した。
僕らこんなキャラじゃないよね。前にあったのは5歳で久しぶりだけど手紙でやり取りしてたし。

「久しぶりだね、シモン。」

「あぁ。久しいね。クーディ。」

さてと。忘れる前にしてもらうことがる。万が一殺したら国際問題になるし。

「入る前にこれに魔力入れて?」

「これは?」

「警備魔法具を発動させない為に魔力を覚えさせとくの。やらないと死ぬから拒否権ないよ。」

「なんかクーディが物作りに目覚めたのは知ってたけど…便利だねェ。」

そうでしょ~。初めは人件費減らすためだったけどいつ裏切るか分からない人間よりこっちの方が信用できてめっちゃ便利。
こういう風に魔力を貰って分析できるし。
聖魔法の分析なんてしたことないなぁ。楽しみ。


魔力を出したシモンの周りをハラハラ白い光が落ちる。聖魔法ってだけあって神聖な感じがする。


「荷物置いて皇室に挨拶行く?」

「そうするよ。お忍びだからシルヴェスターの馬車貸して。」

人のものは自分のものって思考なんだろうな。一介の貴族である僕は逆らえないから間違ってないけど。

「はいはい。アルフレート、馬車の準備して。メラニー、シモンの部屋に荷物を任せたよ。」

メラニーに魔力認識用の魔法具を渡す。メラニーとアルフレートならこれで分かってくれるからね。
ちゃんと騎士たちの魔力も登録してくれた。

シモンが選んだ騎士だ。信用してるんだろう。それなら身元確認しなくても1ヶ月くらいなら許可してあげる。

「私の部屋を準備してくれたんだ。」

「そりゃあ殿下を変な部屋に泊められないからね。馬小屋が良かった?」

「私に見合った豪華な部屋がいい。」

だよね。僕も馬小屋はやだ。

「お気に召すかどうかは分からないな…。部屋より先に紹介するよ。僕の弟たちだ。父様と義母様は用事があるからディナーで挨拶したいって。」

「分かったよ。」

まぁちょうどいいし弟たちを紹介しておくか。少し体をずらして後ろに控えてた弟たちを見せる。
これで察してくれるかな。

テオ様は当たり前のように察してシモンに騎士の礼をしてご挨拶。可愛い。好き。かっこいい。
ネヴィルが拙いながらも貴族の礼をした。よく出来ました。

「よろしくね。シルヴェスター公子達。クーディ、部屋までエスコートして。」

シモンは名乗りもせずに微笑んでテオ様の可愛らしいご挨拶を無視した。
ぶん殴ってやろうか。

僕の手を握ってた手を抓って微笑み返す。可愛い必死なテオ様に返事を返せ。

シモンは少しだけ目を見開いて僕の怒りを無視した。覚えとけよ。この屋敷じゃシモンより僕が上なんだから。

「馬車待たないの?」

「外で待ってくれるでしょ。私の部屋見たい。」

当然のようにエスコートしろと手を出してくる。仕方ない。面倒だけどやるしかないか。友人とはいえ皇子様だし。テオ様とネヴィルに興味を持たれても困る。

「…分かったよ。仰せのままに。」

シモンも攻略対象だ。
ネヴィルには別の保護魔法と錬金術具を渡しとこうか。


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