75 / 212
8歳
72 貴族side
しおりを挟む
宮殿そのものが揺れる。さっき陛下が外にほおり出された2人のせいだろう。
宮殿で働いている貴族は何事もないように会話に花を咲かせ、皇后陛下ですら陛下とダンスを始めてしまった。
皇宮に慣れてないであろう貴族は帰ることもできずに壁に集まって天井を見上げてる。
私もその1人。
あぁまた雷のようにピカっと光った。その後の揺れ。
誰が魔法大会の優勝者と皇族の暴れ馬が戦っているところに割り込みたいんだろう。帰ろうとして馬車をひっくり返されたらたまったものではないし、馬も怖がって暴れるかもしれない。
でもこのままじゃ皇宮が壊れたら私たちは道ずれだ。
…帰りたい。
「クラウス!!!お前、お前なぁ!!!なんで全部の魔法跳ね返せるんだよ!!」
「空間魔法だからねぇ!!反射魔法じゃないよ!新しく作った!の!!《ダークカッター》」
やはりどれだけ大人ぶっても子供は子供らしい。あのシルヴェスター公子が声を上げながらバカスカ打ってる。と、同時に殿下の怒鳴り声。恐らく殿下の魔法も当たってはいるんだろう。公子の笑い声が消えた時に今度は殿下の高笑いが響くから。
これは…子供らしい、、だろうか。そもそも魔法は作るものだったのか?あるものを改良するのは分かる。空感魔法の応用だろうか。…自分の感性が心配になってきた。
帰りたい。こんな現在進行形で災害が起きてるところにいたくない。
帰りたいなぁ…。
公子がいなくなったときにしれっと皇族立ちから離れた公爵夫人と新しい公子様。
夫人は壁の花になってワインを飲んでいる。もう誰も近寄らない。さっきコテンパンに振られた男たちをたくさん見たし、なんなら公子様に扇を振り上げているのを見た。下手したら本当に殴られるのはダンスを申し込んだ人になる。
…揺れが止んだ。
そういえば外から聞こえる声も消えている。
終わったのか?
少しずつ壁から離れていつものパーティのように楽しみ始めだした。良かった。これで帰らなくてすむ。私としても皇族主催のパーティなどまたとない機会だ。
人脈を広げてこれからの商売に繋げたい。
相も変わらず壁の花になっている夫人の観察は置いておいてフロアへと躍り出る。
公爵夫人は本当に目を引く容姿だな。どこにいても目に入る真っ赤な髪に夜のように美しい顔。
正直に言おう。羨ましい。
美人な奥さんを貰えた公爵も。綺麗な顔に生まれた夫人や公子達も。
貴族がそれぞれ人脈を伸ばすために動き始めた時、外から目が痛くなるほどの光と殿下の大声がここまで届いた。
「すっげえぇ!!!さすがクラウスだな!!」
今度はなにをしたのだろう。揺れなんかはなかったから攻撃魔法では無さそうだ。
そしてドンッと扉が開かれ、薄汚れた皇子と身綺麗な公子が入ってきた。仲直りはしたのだろうか。
「父様!クラウスが魔法の作り方教えてくれました!!」
魔法を作り出す?そんなこと宮廷魔法師や魔法塔の熟練魔法師ができることだ。
子供ができることじゃない。
「なんの魔法を作り出したんだ?」
「予知!!」
フロアを何度目かの静寂が包んだ。
「数秒しかできねぇけど…。」
「すごいですよ。私はできませんから。理論は理解していても技量がありませんから。さすが殿下です。わたしがやり遂げてみたかった…。」
仰々しく第1皇子を褒め称える。嘘っぽいけれど最後のは本音だろう。
プライド高そうだもんな。あの公子。
宮殿で働いている貴族は何事もないように会話に花を咲かせ、皇后陛下ですら陛下とダンスを始めてしまった。
皇宮に慣れてないであろう貴族は帰ることもできずに壁に集まって天井を見上げてる。
私もその1人。
あぁまた雷のようにピカっと光った。その後の揺れ。
誰が魔法大会の優勝者と皇族の暴れ馬が戦っているところに割り込みたいんだろう。帰ろうとして馬車をひっくり返されたらたまったものではないし、馬も怖がって暴れるかもしれない。
でもこのままじゃ皇宮が壊れたら私たちは道ずれだ。
…帰りたい。
「クラウス!!!お前、お前なぁ!!!なんで全部の魔法跳ね返せるんだよ!!」
「空間魔法だからねぇ!!反射魔法じゃないよ!新しく作った!の!!《ダークカッター》」
やはりどれだけ大人ぶっても子供は子供らしい。あのシルヴェスター公子が声を上げながらバカスカ打ってる。と、同時に殿下の怒鳴り声。恐らく殿下の魔法も当たってはいるんだろう。公子の笑い声が消えた時に今度は殿下の高笑いが響くから。
これは…子供らしい、、だろうか。そもそも魔法は作るものだったのか?あるものを改良するのは分かる。空感魔法の応用だろうか。…自分の感性が心配になってきた。
帰りたい。こんな現在進行形で災害が起きてるところにいたくない。
帰りたいなぁ…。
公子がいなくなったときにしれっと皇族立ちから離れた公爵夫人と新しい公子様。
夫人は壁の花になってワインを飲んでいる。もう誰も近寄らない。さっきコテンパンに振られた男たちをたくさん見たし、なんなら公子様に扇を振り上げているのを見た。下手したら本当に殴られるのはダンスを申し込んだ人になる。
…揺れが止んだ。
そういえば外から聞こえる声も消えている。
終わったのか?
少しずつ壁から離れていつものパーティのように楽しみ始めだした。良かった。これで帰らなくてすむ。私としても皇族主催のパーティなどまたとない機会だ。
人脈を広げてこれからの商売に繋げたい。
相も変わらず壁の花になっている夫人の観察は置いておいてフロアへと躍り出る。
公爵夫人は本当に目を引く容姿だな。どこにいても目に入る真っ赤な髪に夜のように美しい顔。
正直に言おう。羨ましい。
美人な奥さんを貰えた公爵も。綺麗な顔に生まれた夫人や公子達も。
貴族がそれぞれ人脈を伸ばすために動き始めた時、外から目が痛くなるほどの光と殿下の大声がここまで届いた。
「すっげえぇ!!!さすがクラウスだな!!」
今度はなにをしたのだろう。揺れなんかはなかったから攻撃魔法では無さそうだ。
そしてドンッと扉が開かれ、薄汚れた皇子と身綺麗な公子が入ってきた。仲直りはしたのだろうか。
「父様!クラウスが魔法の作り方教えてくれました!!」
魔法を作り出す?そんなこと宮廷魔法師や魔法塔の熟練魔法師ができることだ。
子供ができることじゃない。
「なんの魔法を作り出したんだ?」
「予知!!」
フロアを何度目かの静寂が包んだ。
「数秒しかできねぇけど…。」
「すごいですよ。私はできませんから。理論は理解していても技量がありませんから。さすが殿下です。わたしがやり遂げてみたかった…。」
仰々しく第1皇子を褒め称える。嘘っぽいけれど最後のは本音だろう。
プライド高そうだもんな。あの公子。
222
お気に入りに追加
2,371
あなたにおすすめの小説
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる