55 / 78
ドレスの試着とお義母様とのお茶会
しおりを挟む
花嫁修行でバタバタしていたら、あっという間に挙式の1ヶ月前になった。招待状はエリアスと相談してすでに送ってあるし、領民にも挙式のお知らせも出しておいた。勉強も思ったより捗ったから先生たちも合格点をくれた。
あとは、式で踊るエリアスとのティールザードのダンスだけね。
ティールザードのタンスは足技をたくさん使うので私の祖国のものよりも技能が要求される。それを優雅に踊るのは
難しい。
たまに王宮にお呼ばれに招待される他はダンスの練習にエリアスと明け暮れていたけれど、ドレスがほぼ仕上がったという知らせを聞いて、王宮に向かうことになった。
「セシリア、お久しぶりね」
綺麗に着飾られた王妃様は若々しくセシリアの姉といっても差し支えはない。
「お義母様、お招き頂いてありがとうございました」
セシリアが淑女の礼を取ると、王妃は、もうすぐ家族になるのだから、リラックスするようにと付け加えた。
「あなたのお家でやるよりもここでなら、一緒に時間が過ごせるでしょう?」
王妃様はご機嫌でいった。
「そうですね」
「男の子を3人も産んで、やっと女の子ができたけれど、あの子はまだ小さいし、あなたのような娘がもう一人できて嬉しく思っているのよ?」
「私も、お義母様のような優しい方と家族になれることを幸運に思います」
ドアがノックされると侍女がデザイナーの来訪を告げる。
「王妃様、セシリア様、バルバラが参りました」
「時間通りね。通して頂戴」
バルバラは王家御用達のデザイナーで、王家以外にも公爵家のドレスもデザインしている。
「王妃様、セシリア様、結婚式のドレスが仕上がりました」
「思ったより早く出来上がったのね?」
「はい。王妃様。このバルバラ、王家の久しぶりのお祝い事ゆえ全力をかけて作り上げました」
「早くセシリアに試着させたいから、すぐに取り掛かって頂戴」
王妃の一声にバルバラと侍女たちがドレスを持って、別室に急ぐ。
「それではお義母様、着替えて参ります」
セシリアも礼をすると、侍女たちの後についていく。
王宮への訪問の服装は正装であるため、コルセットも装着しているセシリアはドレスを脱がせてもらって、ウエディングドレスに着替えるだけでいい。それでもドレスの下に履くボリュームを出すためのアンダースカートをつけて、後ろの真珠でできたポタンを留めるのに時間がかかり、着替えは30分を要した。
「セシリア様、できました」
ウエディングドレスは上は首筋のチョーカー型の装飾がつけられる範囲のみ肌が見えているが、襟ぐりは深くはない。腕も透けるレースの素材で手首まで覆われている。バレリーナのようなふんわりしたドレスのスカートはもちろん床まである。ウエストが細く作られているので、スカートのボリュームが余計あって、花が咲いたようだ。
「ぴったりですね。これなら調整も必要ないでしょう」
バルバラがセシリアの周りを回って、チェックをする。
「最高の出来です」
「良かったわ。ありがとう、バルバラ」
この日までにもう4回もいろいろ手直しを加えて、セシリアの魅力がふんだんに出るように作られたドレスはとても可憐で清楚な印象を与えた。
「さあ、王妃様にお見せしましょう」
「ええ」
王妃はお茶を飲みながら、待っていた。テーブルには色とりどりのお菓子やケーキがセッティングされてある。
セシリアのドレス姿を見ると立ち上がった。
「まあまあまあ!白薔薇の妖精のようだわ!」
「ありがとうございます。お義母様」
「とても綺麗よ。エリアスに当日まで見せられないのが残念なぐらい」
「ええ」
花嫁姿を式の当日まで見せてはいけないという決まりがあるのだ。そして、式の前日は別の家から出かけなければならない。よってセシリアは公爵家で支度を、エリアスはお城から出かけて教会に行くことになる。
ドレスはため息が出るぐらい豪華に可憐に市仕上がっていた。
「バルバラ、ご苦労様」
「ありがとうございます。王妃様。王妃様のお式でのご衣装ももうすぐ仕上がりますので、数日後にお持ちします」
「ええ。楽しみにしているわ」
王妃に会釈すると、王家のデザイナーは部屋を後にした。
◇ ◇ ◇
元の服に着替えて、王妃のお茶にジョインすることにしたセシリアにレティシア王妃は紫の瞳をキラキラ輝かせて、エリアスの子供の頃の話をしてくれた。
「こんなに可愛らしいと、感動してあの子は泣くかもしれないわね?」
「エリアス、がですか?」
「ええ。今は騎士だから男らしくしてるけれど、女の子と間違うぐらい可愛らしかったのよ?小さい頃はドレスを着せていたの」
「それは、王族の慣習…で、ですか?」
「ああ、そういった国もあるようだけど、うちはあくまで私が女の子に餓えていたからよ。あの子も嫌だといわなかったし。だから7歳までドレスとリボンをつけて育ったの。まあ、それからだんだん上の二人に影響されて、騎士になるっていいだしたんだけど。その頃までは本当に泣き虫で可愛らしかったのよ?」
いつもセシリアを守ってくれるエリアスが女の子の格好をして育ったなんて、信じられない。
「ほら、これ」
王妃が手のひらサイズの小さな絵画のポートレートを見せる。
「これは?」
「エリアスよ。ねっ可愛いいでしょう」
エリアスは王妃に似たのだろう。紫の大きな瞳に長くて黒い髪、白い肌のお人形のような子がラベンダーのドレスを着ている絵をセシリアは見つめる。
「ええ。可愛らしいですね」
「ふふふ。あの子には秘密よ。これ、あなたにあげるわ。もし、あの子が悪さをしたら、これをばら撒くといいわ」
「ええええ?」
「もしもの時のお守りよ」
王妃はセシリアの手を取って女装した息子のポートレートを手渡した。
そうして、エリアスの失敗談や小さな頃の話を王妃がしてくれたので、楽しいお茶の時間を過ごした。
あとは、式で踊るエリアスとのティールザードのダンスだけね。
ティールザードのタンスは足技をたくさん使うので私の祖国のものよりも技能が要求される。それを優雅に踊るのは
難しい。
たまに王宮にお呼ばれに招待される他はダンスの練習にエリアスと明け暮れていたけれど、ドレスがほぼ仕上がったという知らせを聞いて、王宮に向かうことになった。
「セシリア、お久しぶりね」
綺麗に着飾られた王妃様は若々しくセシリアの姉といっても差し支えはない。
「お義母様、お招き頂いてありがとうございました」
セシリアが淑女の礼を取ると、王妃は、もうすぐ家族になるのだから、リラックスするようにと付け加えた。
「あなたのお家でやるよりもここでなら、一緒に時間が過ごせるでしょう?」
王妃様はご機嫌でいった。
「そうですね」
「男の子を3人も産んで、やっと女の子ができたけれど、あの子はまだ小さいし、あなたのような娘がもう一人できて嬉しく思っているのよ?」
「私も、お義母様のような優しい方と家族になれることを幸運に思います」
ドアがノックされると侍女がデザイナーの来訪を告げる。
「王妃様、セシリア様、バルバラが参りました」
「時間通りね。通して頂戴」
バルバラは王家御用達のデザイナーで、王家以外にも公爵家のドレスもデザインしている。
「王妃様、セシリア様、結婚式のドレスが仕上がりました」
「思ったより早く出来上がったのね?」
「はい。王妃様。このバルバラ、王家の久しぶりのお祝い事ゆえ全力をかけて作り上げました」
「早くセシリアに試着させたいから、すぐに取り掛かって頂戴」
王妃の一声にバルバラと侍女たちがドレスを持って、別室に急ぐ。
「それではお義母様、着替えて参ります」
セシリアも礼をすると、侍女たちの後についていく。
王宮への訪問の服装は正装であるため、コルセットも装着しているセシリアはドレスを脱がせてもらって、ウエディングドレスに着替えるだけでいい。それでもドレスの下に履くボリュームを出すためのアンダースカートをつけて、後ろの真珠でできたポタンを留めるのに時間がかかり、着替えは30分を要した。
「セシリア様、できました」
ウエディングドレスは上は首筋のチョーカー型の装飾がつけられる範囲のみ肌が見えているが、襟ぐりは深くはない。腕も透けるレースの素材で手首まで覆われている。バレリーナのようなふんわりしたドレスのスカートはもちろん床まである。ウエストが細く作られているので、スカートのボリュームが余計あって、花が咲いたようだ。
「ぴったりですね。これなら調整も必要ないでしょう」
バルバラがセシリアの周りを回って、チェックをする。
「最高の出来です」
「良かったわ。ありがとう、バルバラ」
この日までにもう4回もいろいろ手直しを加えて、セシリアの魅力がふんだんに出るように作られたドレスはとても可憐で清楚な印象を与えた。
「さあ、王妃様にお見せしましょう」
「ええ」
王妃はお茶を飲みながら、待っていた。テーブルには色とりどりのお菓子やケーキがセッティングされてある。
セシリアのドレス姿を見ると立ち上がった。
「まあまあまあ!白薔薇の妖精のようだわ!」
「ありがとうございます。お義母様」
「とても綺麗よ。エリアスに当日まで見せられないのが残念なぐらい」
「ええ」
花嫁姿を式の当日まで見せてはいけないという決まりがあるのだ。そして、式の前日は別の家から出かけなければならない。よってセシリアは公爵家で支度を、エリアスはお城から出かけて教会に行くことになる。
ドレスはため息が出るぐらい豪華に可憐に市仕上がっていた。
「バルバラ、ご苦労様」
「ありがとうございます。王妃様。王妃様のお式でのご衣装ももうすぐ仕上がりますので、数日後にお持ちします」
「ええ。楽しみにしているわ」
王妃に会釈すると、王家のデザイナーは部屋を後にした。
◇ ◇ ◇
元の服に着替えて、王妃のお茶にジョインすることにしたセシリアにレティシア王妃は紫の瞳をキラキラ輝かせて、エリアスの子供の頃の話をしてくれた。
「こんなに可愛らしいと、感動してあの子は泣くかもしれないわね?」
「エリアス、がですか?」
「ええ。今は騎士だから男らしくしてるけれど、女の子と間違うぐらい可愛らしかったのよ?小さい頃はドレスを着せていたの」
「それは、王族の慣習…で、ですか?」
「ああ、そういった国もあるようだけど、うちはあくまで私が女の子に餓えていたからよ。あの子も嫌だといわなかったし。だから7歳までドレスとリボンをつけて育ったの。まあ、それからだんだん上の二人に影響されて、騎士になるっていいだしたんだけど。その頃までは本当に泣き虫で可愛らしかったのよ?」
いつもセシリアを守ってくれるエリアスが女の子の格好をして育ったなんて、信じられない。
「ほら、これ」
王妃が手のひらサイズの小さな絵画のポートレートを見せる。
「これは?」
「エリアスよ。ねっ可愛いいでしょう」
エリアスは王妃に似たのだろう。紫の大きな瞳に長くて黒い髪、白い肌のお人形のような子がラベンダーのドレスを着ている絵をセシリアは見つめる。
「ええ。可愛らしいですね」
「ふふふ。あの子には秘密よ。これ、あなたにあげるわ。もし、あの子が悪さをしたら、これをばら撒くといいわ」
「ええええ?」
「もしもの時のお守りよ」
王妃はセシリアの手を取って女装した息子のポートレートを手渡した。
そうして、エリアスの失敗談や小さな頃の話を王妃がしてくれたので、楽しいお茶の時間を過ごした。
0
あなたにおすすめの小説
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる