1 / 8
魔道帝国学院 入学①
しおりを挟む
鼻歌を歌いながら、少女が軽い足取りで歩く。
毛先につれて水色になっていき、緩くカーブのかかった銀髪はハーフアップにされ、青と白で刺繍された黒いリボンで結ばれている。左にかけて長くなっていく前髪の下からは空の色をした目が覗き、胸元には小さな上から下にかけて夕空のように青から赤に変わっていく石の嵌められたネックレスが揺れていた。
黒を基調としたワンピース型の制服に瞳と同じ青色のリボンを胸元と腰に結び、魔導科の象徴である月光花が描かれたバッジが歩く度に左胸でキラリと光を反射した。
左手には手のひらと甲しか覆わず、指を隠さない黒い手袋をつけており、人差し指には装飾の無い黒い指輪が嵌められている。
エミリアンヌ・M・へーヴェル。今日から魔道帝国学院に通う新入生だ。
彼女は両手で寮に持っていく軽い物を詰めた革製の旅行鞄を大切そうに持ち、服や本などのかさばる物は後で業者が届けてくれるのだと隣を歩く少年に話している。
少年は旅行鞄を代わりに持とうかと提案したが、エミリアンヌは自分で持ちたいと断った。
隣を歩く少年はエミリアンヌを微笑ましそうに見守り、制服の上に黒のマントを羽織っている。全国魔道戦の優勝者を示す耳飾りが歩くのに合わせ左耳で揺れている。
少年の名前はダークライド・ヴァーライヌ・ヴォルフ。
エミリアンヌの一つ上の学年で、兄と慕われているが、黒髪に赤目で顔立ちもエミリアンヌに似ていなく、血も繋がっていない。
だが、エミリアンヌを見つめる目には慈愛が見て取れ、絵になる二人が醸し出す家族の雰囲気に、登校している生徒達は注目し、全く似ていない兄妹だと納得してしまう。
「ダーク兄は今日お仕事無いの?この時間に一緒に来ても間に合う?」
機嫌良く鼻歌を歌っていると、確か案内役になるって言ってたよね?と、ふと気付いたようにエミリアンヌは首を傾げた。
「大丈夫。俺の仕事は皆がホームルームを受けてからだからね。それまでの俺の仕事はエミリーをクラスに送り届ける事だ。」
にかりと笑ってダークライドは言った。
髪型を崩さない程度に撫でるとエミリアンヌは花開くようにふわりと笑う。
それを見ていた登校中の生徒達、特に弟妹のいる生徒はぐぅっと胸を押さえた。「反抗期中の弟のデレを思い出した。」と呟いた男子生徒に周りは同調し、ダークライドに羨ましそうな視線を向ける。
男女関係なく向けられる羨望と嫉妬にダークライドは苦笑した。
視線に気付かなかったエミリアンヌは、苦笑するダークライドを不思議そうな目で見ると首を傾げた。
正門をくぐり抜け、十分ほど歩くと、校舎が見えてきた。
寮から登校してくる上級生や、家が学院から離れており、寮の来客用の部屋を一時的に借りている新入生も合流して、校舎に着く頃には先程の倍くらいの人数が歩いていた。
「あの棟がエミリーのホームルーム教室がある棟だ。魔法学を教えてるから、魔法学棟。で、反対の左の棟は普通授業を教えてるから、座学棟。」
「おおぅ。安直なネーミングセンス。分かりやすいね。」
「だな。」
正面は3階まであり、左右は7階まである立派な建物を二人は見上げる。流石大陸随一の魔導帝国学院と言うべきか、城のように大きく、装飾がしっかりとしている。
「授業は選択制なんだっけ?」
ダークライドが学校生活の話をしていたのを思い出して尋ねた。ダークライドはこくりと頷いてそうだな、と言う。
「魔士、剣士、技士って分けた後に更に魔術科、魔導士だとか分けてるけど、受けられる授業には特に制限はかかってないんだ。
強いて言うと、例えば錬金術で、上級、中級、下級って分けられてる時に上の級の授業を受けたい時は、先に試験を受けないといけないってところかな?細かいところは更に下級A、下級B、下級Cって分けられてる。
こういうのは知識や実力が足りないまま受けると危険だからある措置なんだ。ほら、錬金術って爆発する事があるだろう?爆発の可能性を減らすために、試験では授業で使う薬草と混ぜちゃいけないものが分かっているか試すんだ。」
「へえ。」
詳しくは学校のしおりに書いてあるから読んでみるといいよ、とダークライドは付け足した。
新入生に配られるしおりには全学科の授業が一覧になって載っている。ダークライドも昨年はお世話になった。
それに加え、しおりには学園の地図や教室の説明、図書室や闘技場の利用方法なども載っているので、最初の数ヶ月は新入生は必ず持ち歩いている。
エミリアンヌは分かった。後で読むね、と頷いて頬を緩める。
そして、これからは同じ学校に通うんだよね?と目を輝かせて今日だけで何回もした質問をするエミリアンヌにダークライドは微笑み、楽しみだなと答える。
こくこくとエミリアンヌは嬉しそうに頷いた。
立派な玄関を通り二人は校舎に足を踏み入れた。
「はい、到着。魔導科の教室だよ。」
ダークライドに案内されて着いたのは、魔法学棟の2階にある教室。入り口には『魔術21』の札が掛かっていた。
「教室にはそれぞれ名前が付いていて、基本的には魔術、技術、そして武術の3種類の教室があるんだ。魔術の教室には魔法耐性がかかっていたりして、授業が受けやすいようにそれぞれ造りが違う。
番号は十の位に階の数、一の位は見分けるために適当に数字が振られてる。」
一階あたり最大で9つの教室があるって事だな、と言いながらダークライドは扉をガラリと開けた。
教室は黒板を背後にした教卓を中心に弧を描くように60個ほど机が並べられ、後ろの列に行くにつれて高い位置になっていき、黒板が見やすくなっている。
「わぁ、広いね。」
魔導科は魔術科などの他の科より人が少ないが、他の科はいくつかの教室に生徒を分けている為、結果的に魔導科の教室が一番生徒数が多くなる。
そして一の位の数は部屋が大きい教室に“1”の数字が振られる事が多いため、これから学年が変わっても魔導科は6年間“1”の数字のついた教室でホームルームを受ける事になる。
そう説明したダークライドだったが、別にそこまで重要じゃないから忘れても良いと数ヶ月前に話していた事をエミリアンヌは思い出した。
「これが2階で一番大きい教室って事かな?」
ダークライドはよく知ってるな、と驚いていたが、エミリアンヌはダーク兄から聞いたんだよ、と答えた。
既に6人程ちらほらと座っていた。ホームルームまでの過ごし方はそれぞれで、机に置いてある学校のしおりを読む人も居れば、しおりに手を触れずに本を読む人や、きょろきょろと周りを見回す人もいる。
「席が黒板に書かれてるから、確認しよう。」
そう促されてエミリアンヌは教卓に近づき自分の名前を探した。
どうやら席は名前順では無いようで、エミリアンヌは一つずつ四角に囲まれた名前を確認していった。
「んーっと...あった。」
先に声をあげたのはダークライドだった。ダークライドは指を窓側の列の方へ指した。
一番窓側の、後ろから3つ目の席だった。
席に着いたエミリアンヌは持っていた旅行鞄を机の横に置いた。
「じゃあ、俺は行くよ。また後でな。」
軽くエミリアンヌの頭を撫でて教室から出て行ったダークライドを見送り、エミリアンヌは席に着いた。
窓の外を見ると、登校している生徒達が歩いている姿が見えた。
エミリアンヌは机に置いてあったしおりを開き、これからの学校生活に思いを馳せた。
新しい学校、新しい生活。楽しみだと思いながらエミリアンヌは口元を緩めた。
毛先につれて水色になっていき、緩くカーブのかかった銀髪はハーフアップにされ、青と白で刺繍された黒いリボンで結ばれている。左にかけて長くなっていく前髪の下からは空の色をした目が覗き、胸元には小さな上から下にかけて夕空のように青から赤に変わっていく石の嵌められたネックレスが揺れていた。
黒を基調としたワンピース型の制服に瞳と同じ青色のリボンを胸元と腰に結び、魔導科の象徴である月光花が描かれたバッジが歩く度に左胸でキラリと光を反射した。
左手には手のひらと甲しか覆わず、指を隠さない黒い手袋をつけており、人差し指には装飾の無い黒い指輪が嵌められている。
エミリアンヌ・M・へーヴェル。今日から魔道帝国学院に通う新入生だ。
彼女は両手で寮に持っていく軽い物を詰めた革製の旅行鞄を大切そうに持ち、服や本などのかさばる物は後で業者が届けてくれるのだと隣を歩く少年に話している。
少年は旅行鞄を代わりに持とうかと提案したが、エミリアンヌは自分で持ちたいと断った。
隣を歩く少年はエミリアンヌを微笑ましそうに見守り、制服の上に黒のマントを羽織っている。全国魔道戦の優勝者を示す耳飾りが歩くのに合わせ左耳で揺れている。
少年の名前はダークライド・ヴァーライヌ・ヴォルフ。
エミリアンヌの一つ上の学年で、兄と慕われているが、黒髪に赤目で顔立ちもエミリアンヌに似ていなく、血も繋がっていない。
だが、エミリアンヌを見つめる目には慈愛が見て取れ、絵になる二人が醸し出す家族の雰囲気に、登校している生徒達は注目し、全く似ていない兄妹だと納得してしまう。
「ダーク兄は今日お仕事無いの?この時間に一緒に来ても間に合う?」
機嫌良く鼻歌を歌っていると、確か案内役になるって言ってたよね?と、ふと気付いたようにエミリアンヌは首を傾げた。
「大丈夫。俺の仕事は皆がホームルームを受けてからだからね。それまでの俺の仕事はエミリーをクラスに送り届ける事だ。」
にかりと笑ってダークライドは言った。
髪型を崩さない程度に撫でるとエミリアンヌは花開くようにふわりと笑う。
それを見ていた登校中の生徒達、特に弟妹のいる生徒はぐぅっと胸を押さえた。「反抗期中の弟のデレを思い出した。」と呟いた男子生徒に周りは同調し、ダークライドに羨ましそうな視線を向ける。
男女関係なく向けられる羨望と嫉妬にダークライドは苦笑した。
視線に気付かなかったエミリアンヌは、苦笑するダークライドを不思議そうな目で見ると首を傾げた。
正門をくぐり抜け、十分ほど歩くと、校舎が見えてきた。
寮から登校してくる上級生や、家が学院から離れており、寮の来客用の部屋を一時的に借りている新入生も合流して、校舎に着く頃には先程の倍くらいの人数が歩いていた。
「あの棟がエミリーのホームルーム教室がある棟だ。魔法学を教えてるから、魔法学棟。で、反対の左の棟は普通授業を教えてるから、座学棟。」
「おおぅ。安直なネーミングセンス。分かりやすいね。」
「だな。」
正面は3階まであり、左右は7階まである立派な建物を二人は見上げる。流石大陸随一の魔導帝国学院と言うべきか、城のように大きく、装飾がしっかりとしている。
「授業は選択制なんだっけ?」
ダークライドが学校生活の話をしていたのを思い出して尋ねた。ダークライドはこくりと頷いてそうだな、と言う。
「魔士、剣士、技士って分けた後に更に魔術科、魔導士だとか分けてるけど、受けられる授業には特に制限はかかってないんだ。
強いて言うと、例えば錬金術で、上級、中級、下級って分けられてる時に上の級の授業を受けたい時は、先に試験を受けないといけないってところかな?細かいところは更に下級A、下級B、下級Cって分けられてる。
こういうのは知識や実力が足りないまま受けると危険だからある措置なんだ。ほら、錬金術って爆発する事があるだろう?爆発の可能性を減らすために、試験では授業で使う薬草と混ぜちゃいけないものが分かっているか試すんだ。」
「へえ。」
詳しくは学校のしおりに書いてあるから読んでみるといいよ、とダークライドは付け足した。
新入生に配られるしおりには全学科の授業が一覧になって載っている。ダークライドも昨年はお世話になった。
それに加え、しおりには学園の地図や教室の説明、図書室や闘技場の利用方法なども載っているので、最初の数ヶ月は新入生は必ず持ち歩いている。
エミリアンヌは分かった。後で読むね、と頷いて頬を緩める。
そして、これからは同じ学校に通うんだよね?と目を輝かせて今日だけで何回もした質問をするエミリアンヌにダークライドは微笑み、楽しみだなと答える。
こくこくとエミリアンヌは嬉しそうに頷いた。
立派な玄関を通り二人は校舎に足を踏み入れた。
「はい、到着。魔導科の教室だよ。」
ダークライドに案内されて着いたのは、魔法学棟の2階にある教室。入り口には『魔術21』の札が掛かっていた。
「教室にはそれぞれ名前が付いていて、基本的には魔術、技術、そして武術の3種類の教室があるんだ。魔術の教室には魔法耐性がかかっていたりして、授業が受けやすいようにそれぞれ造りが違う。
番号は十の位に階の数、一の位は見分けるために適当に数字が振られてる。」
一階あたり最大で9つの教室があるって事だな、と言いながらダークライドは扉をガラリと開けた。
教室は黒板を背後にした教卓を中心に弧を描くように60個ほど机が並べられ、後ろの列に行くにつれて高い位置になっていき、黒板が見やすくなっている。
「わぁ、広いね。」
魔導科は魔術科などの他の科より人が少ないが、他の科はいくつかの教室に生徒を分けている為、結果的に魔導科の教室が一番生徒数が多くなる。
そして一の位の数は部屋が大きい教室に“1”の数字が振られる事が多いため、これから学年が変わっても魔導科は6年間“1”の数字のついた教室でホームルームを受ける事になる。
そう説明したダークライドだったが、別にそこまで重要じゃないから忘れても良いと数ヶ月前に話していた事をエミリアンヌは思い出した。
「これが2階で一番大きい教室って事かな?」
ダークライドはよく知ってるな、と驚いていたが、エミリアンヌはダーク兄から聞いたんだよ、と答えた。
既に6人程ちらほらと座っていた。ホームルームまでの過ごし方はそれぞれで、机に置いてある学校のしおりを読む人も居れば、しおりに手を触れずに本を読む人や、きょろきょろと周りを見回す人もいる。
「席が黒板に書かれてるから、確認しよう。」
そう促されてエミリアンヌは教卓に近づき自分の名前を探した。
どうやら席は名前順では無いようで、エミリアンヌは一つずつ四角に囲まれた名前を確認していった。
「んーっと...あった。」
先に声をあげたのはダークライドだった。ダークライドは指を窓側の列の方へ指した。
一番窓側の、後ろから3つ目の席だった。
席に着いたエミリアンヌは持っていた旅行鞄を机の横に置いた。
「じゃあ、俺は行くよ。また後でな。」
軽くエミリアンヌの頭を撫でて教室から出て行ったダークライドを見送り、エミリアンヌは席に着いた。
窓の外を見ると、登校している生徒達が歩いている姿が見えた。
エミリアンヌは机に置いてあったしおりを開き、これからの学校生活に思いを馳せた。
新しい学校、新しい生活。楽しみだと思いながらエミリアンヌは口元を緩めた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
アリシアの恋は終わったのです。
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる