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違います!
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朝食が終わったあと、神殿に移動する。
大聖女様が主導し、私たち聖女と神官さんたちで一緒に祈る時間だ。
早朝、私が力をこめて、神殿の床を磨きこんでいるので、ぴっかぴか。
ほら、みんな、見て見て! 私が掃除したんだよ?
言いたいのを我慢して、
「あら、今日の床は、すごくきれい」
と、誰かが言ってくれるのを、わくわくしながら待つ私。
が、結局、誰にも気づかれず、お祈りの時間は終了。
でも、今日の私は、そんなことで、がっかりすることはないの。…ウフフフ。
なんといっても、私の後継者である、ルビーさんをお迎えできるのだから、自らきれいにするのは、当たり前よね? …ウフフフフ。
お祈りのあと、今日の予定の簡単な連絡がはじまる。
まずは、大聖女様から一言。
「今日は、みなさんもご存じのように、先日の聖女試験で合格したルビー・ロランさんが、午後に神殿に入ります。ルシェル以降、10年ぶりに念願の新人聖女を迎えることができます。癒しの力も強く、しっかりしているように見えますが、まだ14歳の少女です。早く、この神殿の暮らしになじめるように、どうぞ、みなさん、助けてあげてください」
はいっ! もちろんですっ!
心の中で返事をし、私は、首をぶんぶんと縦にふった。
次に、ロジャー様から一言。
「今日から、聖女につく護衛の配置を変更する。まずは、筆頭聖女ルシェルの専属護衛騎士に、ジャックがついてくれ。そして、今日から入ってくる新人聖女のルビー・ロランには、ノア。それから、ジャックが護衛していた聖女アリシアだが、神殿をでるまで残りわずか。その間、神殿護衛騎士のデレックをつける。三人ともいいな?」
「はいっ!」
素晴らしいお返事のジャックさん。ノアの同期で、気のいいお兄さんという感じ。
「はい、了解しました」
ノアの先輩騎士のデレックさんは、いつも通り落ち着いた様子で答えた。
「…」
そして、無言のノア。
…ちょっと、ノア! ロジャー様になんて態度!
しかも、鋭すぎる目が怖いし、全身から、どんより真っ黒なオーラが漂っている気がする。
早く、その不満いっぱいの顔、ひっこめて! 浄化するわよ!
そんなノアを見て、エリカ様が楽しそうな笑みを浮かべた。
「一度、ルシェルから離れて、別の聖女についてみるのも、ノアにとって、良い経験になるわね」
エリカ様の言葉に、凛々しいロジャー様のお顔が一気に崩れる。
「ああ、その通りだ! さすが、エリカ! 素晴らしい言葉をかけてもらえて、ノア、おまえがうらやましいぞ」
テンション高く、エリカ様をうっとりと見るロジャー様。
ここは神殿。護衛騎士さんたち、神官さんたちもいる。
が、どこであろうと、誰を前にしても、ロジャー様はエリカ様を褒める。ぶれない…。
そして、そんないつもの見慣れた光景に、みんな、無反応だ…。
慣れって怖いわね。
「では、これで、今朝の連絡は終わる。…あ、ひとつ言い忘れていた」
と、ロジャー様。
ん? なにかしら?
「今日の午後、王太子が、急遽、神殿にくることになった」
「ええええっ?!」
思わず叫んだあと、あわてて口をおさえる私。
ロジャー様が、私の方を見て言った。
「新人聖女が来る日で、ルシェルは忙しいから別の日にして欲しいって言ったんだけどね…。
なんでも、今日、祈りたいことがあるんだって。申し訳ないけど、相手をよろしく」
ロジャー様にとったら、甥にあたる王太子様。そして、恐れ多くも私の立派すぎる婚約者様だ。
「いやです。…じゃなくて、ルビーさんのお世話をしたいので、今日は他の方に…」
と言いつつ、アリシアさんを見る。
お願い、変わって!!
すると、アリシアさんは、人の良い笑顔で、力強くうなずいた。
「大丈夫よ、ルシェル。ルビーさんは、私に任せて。せっかくだもの。婚約者様とごゆっくりね」
いえ、違います! 全然違う! 逆よ、逆!
婚約者様のほうをお任せしたいんですが…。
大聖女様が主導し、私たち聖女と神官さんたちで一緒に祈る時間だ。
早朝、私が力をこめて、神殿の床を磨きこんでいるので、ぴっかぴか。
ほら、みんな、見て見て! 私が掃除したんだよ?
言いたいのを我慢して、
「あら、今日の床は、すごくきれい」
と、誰かが言ってくれるのを、わくわくしながら待つ私。
が、結局、誰にも気づかれず、お祈りの時間は終了。
でも、今日の私は、そんなことで、がっかりすることはないの。…ウフフフ。
なんといっても、私の後継者である、ルビーさんをお迎えできるのだから、自らきれいにするのは、当たり前よね? …ウフフフフ。
お祈りのあと、今日の予定の簡単な連絡がはじまる。
まずは、大聖女様から一言。
「今日は、みなさんもご存じのように、先日の聖女試験で合格したルビー・ロランさんが、午後に神殿に入ります。ルシェル以降、10年ぶりに念願の新人聖女を迎えることができます。癒しの力も強く、しっかりしているように見えますが、まだ14歳の少女です。早く、この神殿の暮らしになじめるように、どうぞ、みなさん、助けてあげてください」
はいっ! もちろんですっ!
心の中で返事をし、私は、首をぶんぶんと縦にふった。
次に、ロジャー様から一言。
「今日から、聖女につく護衛の配置を変更する。まずは、筆頭聖女ルシェルの専属護衛騎士に、ジャックがついてくれ。そして、今日から入ってくる新人聖女のルビー・ロランには、ノア。それから、ジャックが護衛していた聖女アリシアだが、神殿をでるまで残りわずか。その間、神殿護衛騎士のデレックをつける。三人ともいいな?」
「はいっ!」
素晴らしいお返事のジャックさん。ノアの同期で、気のいいお兄さんという感じ。
「はい、了解しました」
ノアの先輩騎士のデレックさんは、いつも通り落ち着いた様子で答えた。
「…」
そして、無言のノア。
…ちょっと、ノア! ロジャー様になんて態度!
しかも、鋭すぎる目が怖いし、全身から、どんより真っ黒なオーラが漂っている気がする。
早く、その不満いっぱいの顔、ひっこめて! 浄化するわよ!
そんなノアを見て、エリカ様が楽しそうな笑みを浮かべた。
「一度、ルシェルから離れて、別の聖女についてみるのも、ノアにとって、良い経験になるわね」
エリカ様の言葉に、凛々しいロジャー様のお顔が一気に崩れる。
「ああ、その通りだ! さすが、エリカ! 素晴らしい言葉をかけてもらえて、ノア、おまえがうらやましいぞ」
テンション高く、エリカ様をうっとりと見るロジャー様。
ここは神殿。護衛騎士さんたち、神官さんたちもいる。
が、どこであろうと、誰を前にしても、ロジャー様はエリカ様を褒める。ぶれない…。
そして、そんないつもの見慣れた光景に、みんな、無反応だ…。
慣れって怖いわね。
「では、これで、今朝の連絡は終わる。…あ、ひとつ言い忘れていた」
と、ロジャー様。
ん? なにかしら?
「今日の午後、王太子が、急遽、神殿にくることになった」
「ええええっ?!」
思わず叫んだあと、あわてて口をおさえる私。
ロジャー様が、私の方を見て言った。
「新人聖女が来る日で、ルシェルは忙しいから別の日にして欲しいって言ったんだけどね…。
なんでも、今日、祈りたいことがあるんだって。申し訳ないけど、相手をよろしく」
ロジャー様にとったら、甥にあたる王太子様。そして、恐れ多くも私の立派すぎる婚約者様だ。
「いやです。…じゃなくて、ルビーさんのお世話をしたいので、今日は他の方に…」
と言いつつ、アリシアさんを見る。
お願い、変わって!!
すると、アリシアさんは、人の良い笑顔で、力強くうなずいた。
「大丈夫よ、ルシェル。ルビーさんは、私に任せて。せっかくだもの。婚約者様とごゆっくりね」
いえ、違います! 全然違う! 逆よ、逆!
婚約者様のほうをお任せしたいんですが…。
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