先生と俺

春夏

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side 亮太

1年C組。教室に入る前に息を整える。初めてのクラスに入る時にはいつだっていくらか緊張してまうもんやけど、今、ここには幸久が居る。

「入学おめでとう。俺がこのクラスの担任の小林亮太や。口が悪いよって、よく怖いと勘違いされるけどな、そんなことないねんで。仲良うやってこ」小さな笑いが起こる。ちょっと安心して「ほな出席とるで。このクラスは全員が中等部からの進学やけど、名前呼ばれたら一応自己紹介してな」一人一人名前を呼んで「サッカー部に入ります」だの「朝起きるのが苦手です」だのを聞きながら顔と名前を覚えていく。

「…村上幸久」幸久の名を呼ぶ。俺の声はちゃんと出とるやろか。震えとらんやろか。1番後ろの席で、幸久はまっすぐ俺を見て「はい」と返事をした。…あかん、下を向くな。おかしな態度をとるな。「中学では陸上部だったけど、高校の部活はまだ決めてません」「…そか。ゆっくり考えたらええよ。次、目黒…」それからの生徒は正直覚えてへん。

「…よし、これからよろしくな。今日はこれで解散。親御さん達が待っとるやろ、また明日な」ホームルームが終わり生徒達が席を立つ。今日は最後の1人が出るまで見送ろう、と教室に残り「さようなら」「おう」と挨拶を交わす。

「先生、俺のこと覚えてますか」
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