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46 ソーサリー・ハルシオン砦

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46 ハルシオン砦

※時間は少し戻ります(作者)

登場人物

ヤマト(砦の隊長・主役)
サクラ(士官・ヤマトの恋人)
ムサシ(副長)


ハルシオン砦・早朝六時半。

《ドン! ダン! ドン!》
「隊長ーー!」
俺は兵卒の叫び声とドアを叩く音で起こされた、
「どうした?」
昨夜の深酒で頭が痛んだ、上に乗っかって寝ているサクラを横に退かしベットから出て、ドアを開ける。兵卒が立っていたがその兵卒は顔は真っ青だった……
「隊長、敵が……」
兵卒は倒れ、俺に寄りかかって来た、背中に矢が刺さっていた!
「この矢は!」
矢に付いている羽でそれがガールダーの物と分かった、兵卒はもう息絶えていた、俺は革鎧を身に付けながらサクラを起こし、
「敵襲だ起きろー!」
サクラは飛び跳ね!
「え! 本当にうそーー!」
「じゃねいよー、早く鎧着ろ」
俺は槍を持って部屋から階段をカケ上がり砦の屋上に向かって走った、屋上に出た、俺がそこで目にした光景は、周囲の彼方此方に矢や鋭い羽が落ち、矢が数本、背や肩に刺ささりながらも戦っている味方や残念ながら倒れてもがく者や明らかに死んでる様に感じる味方の姿もあった、鳥人兵も結構な数が倒れていた……その中で鳥人三人かがりに襲われいる副長の姿が目に入った!
俺はすぐに副長の元に走り、一人の鳥野郎の背に突きを放った! 槍は刺さった!
直ぐに副長に襲いかかっていた一匹が俺に素早く突きを放って来たが俺は素早くかわし腰の剣を抜き打ちで相手の腹に突き刺してやった!「う、けぇぇぇー」残りは後一人と思ったがもう副長が口から槍で串刺しにしていた。
「大丈夫か?」
「はい」と言った、副長の肩に矢が刺さった!
「グッワ!」
空を見上げたら空には鳥人の群れが! 直ぐに小隊が急降下して俺の方に向かって来た、俺は死を覚悟したその時、
《バーン》
炸裂音がし上空の鳥人達か散った、見たら砦唯一の厚い装甲で覆われた円形型の三百六十度回る砲台が火を吹いていた《バーン》
《バーン》
《バーン》
先月支給された新型のクラスター弾が効き時間は稼げている、俺はその隙に少し離れた鳩小屋に走り緊急自体を知らせる赤い鳩が数十匹入っている鳩小屋を開けた、中から一斉に鳩が飛び出てユーリ城の方に飛び立った、一匹でも城迄たどり着いてくれれば、この危機知らせる事ができる。後は近隣の砦でに知らせる為の青い鳩小屋も開けた、中から赤鳩同様青い鳩達も大空に向けて飛び立っていった。 
『これで良し』
俺は少し義務的な事を果たせた事に安心した。
砲台まだ放射を続けていた、俺は小手と一体型の小型の盾で空から飛んで来る、矢を跳ね返しつつ、
「全員、砦の中で自由に戦え! 外はダメだー!!」と大声で指示を飛ばしながら砲台小屋(トーチカ)の方に向かった。

 なんとか矢の雨を掻い潜り、砲台へと通じる通路の扉を開け、中に滑り込んだ、直ぐに階段をカケ上がり再び長めの通路を走り、砲台真下の階段を上る、中では俺の補佐役士官で恋人でもあるサクラが狙撃席に座っていた、横では一人の若い兵卒が弾込めを担当していた、
「あっ!」
サクラは俺を見て笑顔を浮かべ、
「隊長、焼き鳥共にあるだけの弾を喰らわしてやりますよ!」
「頼もしいな」
「任して下さい、隊長は入り口を見張っていて下さいな」
「おう任せろ」
俺は砲台下の通路に戻り、階段の少し前で敵の襲撃に備えた……
此処なら上空からの攻撃は気にする事は無い、狭い一歩道だ! 敵に囲まれる事もない! 来た奴から順番に王国一と言われた俺の突きで味方に希望を繋げる為、力の限り出来るだけ沢山殺してやると決心した。
少しして階段を上がってくる者の足音がした、
その姿は副長だった!
「………」
何かを言ったようだが声が小さくて聞き取れなかった、そしてフラフラしながら、少し近寄って来て倒れ込んだ。
「副長ー!」
俺の声に対して反応は無い……。
直ぐにまた階段を上がって来る足跡がした、俺は槍を構える、上がって来たその者は鳥人ではなかった……
見かけは人間に見える……が手に持っている金色の槍も身に付けているシルバーの鎧も見た目は知っている味方の物では無い、それに見た事が無い程の美しい白髪の女だった、見た感じ一般兵士では無い、将に間違いないと感じた、それに副長をやった事からも油断はできない!!
女は少し笑みを浮かべ槍を構えた、そして俺に向けて左右に揺れながら滑る様にプレッシャーを俺に与えてつつ突撃して来た!  
俺は神経を全集中して迎え打った!
女は俺の少し前で突き放って来たが、見切れ無い速度ではない!
イケる!、と思った時、槍先が光った! 俺は目の前が真っ白になり気づいたら胸を貫かれていた……俺は呼吸が、しにくくなり力が抜け倒れんこんだ……見上げたら女は俺をジーと見つめていた……
その女の瞳は縦に割れていた。『なんだトカゲか』そして女は俺を跨ぎ、奥の砲台部屋の方に走って行った、「にげ……」声が出なかった、身体も動いてくれなかった……少しして悲鳴が聞こえてきた……スマン皆んな許せ……。

* * * *
 
意識が遠のく最中、砲台の方から誰かがこちらに片足を引きずりながら向かって来る姿が見えた、サクラだった、が、俺から少し離れた所でうつ伏せに倒れて込んでしまった、意識はまだあるらしく俺の方を見ている、俺は手を伸ばした、サクラは笑みを浮かべ、床を張って俺の方へ再び向かって来てくれたが少し離れた所で俺の方に手を伸ばし動かなくなった、今度は意識は無い感じて顔は伏せていた、俺の方からなんとか手を繋ごうとしたが、もう身体が完全に言う事を聞いてくれなかった、その時、砲台の方から、もう一人フラつき、壁に手を着きながら引き返して来る姿が見えた、あのトカゲ女だった……そのトカゲ女は俺とサクラの間で立ち止まった、脇腹には桜の特徴のある果物ナイフが刺さっていた……俺もサクラもトドメを刺されるかと思ったが、その女はサクラの手を掴み引っ張り、俺の手と重ねてくれた……。
そして一言「お見事」と言って去っていった……

サクラ、サクラ……。47へ続く。
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