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45 ソーサリー・募集中

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44 ソーサリー・募集中!

 今日はいつもより少し早めに俺はギルドに仕事を得る為に向かう、いつもより早い理由は特にはない。
何やらギルドの入り口である酒場の前が騒がしい、俺はも中に入り、依頼板に目を向ける、そこには一枚の紙だけが貼られていた。
その内容は、

『傭兵募集! ガールダーが早朝軍事境界線に位置する我が国のハルジオン砦を強襲してきました!よって傭兵として戦争に参加してくれる冒険者の方を募集します。
報酬は一日当たり十万コスモ➕歩合制。
従軍中は食事・武器支給
※移動及び戦闘はワイバーンを使用、よって高所恐怖症の方は不可。
希望者はカウンターで手続きし南方港迄!
キャンセル不可!』
        依頼主・ユーリ王国防衛本部

「コレは稼げるの~ マーク君」
気づいたら横にガロン爺さんが!
「ダメダメコレは死ぬ! 戦争なんか三百六十度プロの兵に狙われるだろう、パス! パス!」
「それがのう~ もう申し込んでおいたわ、マーク君とワシのコンビで」
「えっーーー!」
「大丈夫じゃよ、何も一人で千の敵を相手にするわじゃないし、仲間も周りにおるし」
『イカてる』
「取り消す」
「キャンセル不可じゃ、逃げたら一生お尋ね者だぞよ、マロンがさぞ、悲しむのう~」
(このジジイは本当に、さー)
「まあ、そう気を落とすな戦場に行った事がある男はやはり男として箔が付くし良い経験じゃよ、男になれマーク君!」
(前にもそれは言わなかったか)
「爺さんこそ、大丈夫なのか? 何かさっきから他人事な感じだけどさ!」
「ワシは若い頃は散々戦場は駆け抜け白刃をくぐって来たわ、たまにイメージトレーニングもしとる」
「……」
とりあえず爺さんとは一旦別れ、ゲッソリして家に帰ったらマロンがアパートの前で花壇弄りをしていた。
俺を見て、
「お帰りなさいマークさん、良い仕事ありましたか?」
「……」
「どうかされましたか? 顔が沈んでますよ」
「マロンともお別れだ」
《ガッシャーン》
マロンは植木鉢を落とした。
「え! なんですかそれ、私に飽きちゃったんですか!」
俺は訳を話した。
「そうですか……理不尽に捨てられるかと思いました、それでその傭兵登録はキャンセルできないと言う事ですか」
「君の爺さん、さー なんか俺に恨みあるの?」
「特には無いと思いますけど、ああ言う人なんです、勝手に物事進めちゃうですよ~」
「今度は洒落にならないよ、殺し合いしてる所に行くんだよ~」
「……わかりました、私も付いて行きます、マークさんの背は私が守りますよ、とにかく手柄を上げるより、生き残る事に専念しましょ」
俺はマロンを、戦場に連れて行く事に抵抗を感じたけど、それ以上に恐怖が勝り、彼女を連れて行くことにした。
爺さんは過去の経験から当てには、ならない事は身を持って知っている。
「今度はマロンもローブの中に何か胸当くらいは着込んで行った方がいいぞ」
「はい、用意しますね」

* * * * *
 
 自分は用意と言っても、いつもと身に付ける物は変わらない、特にやる事は無い。から少しマロンの着替えを見ていたら、マロンは俺の方を向き、
「エッチですね、何をサラッと見学してるんですか」
「いや! ちゃんと胸当てを付けてくれるかなと思ってさ、マロンは余り鎧とか好きな方じゃないみたいだから」
「大丈夫ですよ、今回はちゃんと付けますよ」
「ならいいけどさ」
俺がマロンのストリップ見てても意味は、ないので外で待つ事にした。
少ししてマロンが出て来た。
その姿はツバの長い装飾が簡素な鉄兜と胸当てを身に付け、その上からいつもの白いローブを被っていた。一番印象的だったの獣の口元を真似たデザインの鉄マスクをしていた事だった。
「そのマスク怖いね」
「顔を守るタメです、デザインはこんな物しか無かったです、敵を威嚇する目的とあるんじゃないでしょうか、行く前に少し槍を振らして下さい、身体をほぐしたいので」
と言い、獲物のコブラ三又の槍を、感覚を取り戻そうとしてるのか、玄関前で振り回したり、素早く残像が残る連続突きを繰り出したり、その顔は何か……目がギラギラして楽しそうだった……(みんな、お祭り好きで野蛮だね)
マロンは遂に鼻歌まで口遊み出した♩!
マロンの本性を見た……やる気満々だ、ヤッパリ爺さんの孫だよ、ヤベェよ……俺はそんなマロンに少し戸惑いながら一緒に傭兵集合場所である港へと向かった……45へ続く。
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