創者―ソウシャ―

AKISIRO

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第3話 海賊娘

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 深紅の赤い髪の毛、まるで血のようだ。
 その娘は朗らかに笑う。
 ロングヘアーでありながら、ツインテールに中途半端に結んでいる。
 軽装備なのか動きやすい服装をしている。
 赤色の軽装備なので全身が深紅に見える。

 腰には2本のナイフが身につけられており。
 彼女はずっと朗らかに笑っている。

「君達はどうやら生き残りのようだねだね」

「はい、俺はヴェイクです」
「ぼくはデナントスです」

「いまから私は1人でこの滅んだ大陸から旅に出ようと思っている。君達もこないかかな? 私は海賊団を作るのが夢なんだ」

「俺達はギルガサンド大陸に行きたい」

「奇遇だね、私もギルガザンド大陸に行くのさ、海神シェイクを殺しにね」

「どういう事だい?」

 俺が尋ねると、彼女がゆっくりと頷いた。

「私の名前はチェイミ、海神シェイクの娘さ」

★ 

 私は子供の頃から海賊になりたかった訳ではない。
 海神シェイク、それが父親の名前だという事は知っていた。
 母親は海神シェイクに見初められて子供を身ごもった。
 そうして私が生まれた。
 
 私には海の声が聞こえた。
 風の向きも聞こえた。
 そして海の生き物を感じる事が出来る。

 母親が病気にかかった。
 私は海神シェイクにせめて会いに来て欲しいと願った。
 手紙も出した。どこにいるか分からない海神シェイクに。

 そうして手紙が来た。
 どうやら偶然拾ってくれたようだ。
 私はかたっぱしから至る王国に渡したのだから。

 海神シェイクはギルガザンド大陸にいるようで、面倒くさいから来ないと言われた。

 意味が分からなかった。
 自分が愛した女が死にそうなのになぜ会いにこないのだろうか?

「母さん、父さんは大馬鹿者さ」

 私は次から次へと溢れる瞳から零れる大粒の塊を見ていた。
 母親は笑顔で死んでいった。
 それからずっと笑う事にした。

 母親を失い、どこぞの下僕として働かされて。

「きもいんだよずっと笑いやがって」

 と言いながらぶたれた。
 殴られた。

 それでも笑い続けた。
 母親は海神シェイクに忘れ去られても、ずっと笑っていたんだから。

「殺してやる」

 いつしか私は海神シェイクを殺すために旅に出る事にした。
 海賊船に乗った。
 
 今年で20歳になる。
 海の声が聞こえる力を使って、海賊船の力となった。
 そうしてその力を目当てに私を売ろうとしたので。

「殺してあげたは海賊達をね」

 私は朗らかに笑ってやった。
 目の前の2人の少年は驚かなかった。
 これまでの話を聞いて、少しは大きな瞳でもするのかと思ったのだけど。
 2人とも真摯に聞いていてくれていた。

「俺はチェイミがやった事に賛同も否定もしない、チェイミが辛い気持ちを抱いてした事だからだ」

「僕も同じようなものだ。ぼくは魔王だからね、ヴェイクは異世界人だ」

「へぇ、魔王と異世界人かぁ、とんでもない乗組員がきたもんだ」

「海神シェイクを殺せるか分からないけど協力させてくれ、きっと出会ったのも意味がある事なんだよ」

「それは嬉しいけど果てしない旅と果てしない犠牲になるかもしれないわよ」

 その場が静まり変えると。
 魔王のデナントスが言葉を切り出した。

「ぼくは既に犠牲を払っているから、何も失う物はないし、ヴェイクは力を使うと思い出が消えていくんだ。どうすれば良いか分からないけど、ヴェイクはきっと思い出を作れば良いんだよ」

「デナントスのいう通りかもしれない、それとチェイミは見たところナイフだけど武術凄そうだし、色々と教えてくれよ、そうすれば力を使う事がないから」

「それもそうか、私はこう見えても剣術、斧術、槍術、弓術なんでも出来るんさねさね」

 私の心の中に2人が入ってくる。
 2人は少年で5歳程年下に見えるけど。
 彼等を大切にしていきたいと思った。
 それが友達という概念ではなく仲間という概念だという事なのだと悟った時、体の心の臓器の奥がぐっと痛くなった。

「君達は最高の仲間だあああああああ」

 思わず私は涙を流して2人を抱きしめていた。

「む、胸が当たってるよ」

 ヴェイクが真っ赤になりながら笑ったけど。
 本当に人生で初めて仲間が出来た瞬間だったわけで。
 ちなみに出会ってから1時間もしてない訳だったのだけどもね。

 それから私達はギルガザンド大陸に向けて出港する為に動き出した。
 殺した海賊達は海の藻屑となり、今頃は魚の餌になっている事だろうと思う。
 少しだけ風が冷たく感じながら。

 帆をはり。
 錨を上げて。
 船は動き出した。

 食料の備蓄も完璧にある。
 とはいえ殆どが魚達なのだけどね。

 海はとても危険だ。
 海に落ちたら沈むが、泳ぐ方法を学んでいれば浮かび上がる事は出来る。
 
 海の生物も危険だ。
 巨大なリヴァイアサンに出会ったら終わりだと思って良いだろう。
 それでもギルガザンド大陸に渡る海の通り道ではよくリヴァイアサンの目撃情報はある。
 巨大なドラゴンのような姿で海ウナギのように泳ぐそうだ。

 その時、それが輝いた。
 光が眩しくなっていき。
 それが太陽ではない事を悟った。
 その光はそのままギルガザンド大陸の方に落下していった。

「隕石だね、流れ星なんだろうけど、本当に落ちたみたいだ」
「隕石? それはなんだね、ヴェイク」

「宇宙には星があるんだけど、大抵は大気圏で燃え尽きるんだ。大きな隕石は燃え尽きないでそのまま地上に落下するんだけど、その口調だと宇宙とかも知らないだろうね、そもそもここが惑星なのか地続きなのかさえ分からないし、異世界の造りは謎だよ」

「ヴェイクは博識だなぁ、ぼくはそんな知識はまったくと言ってないよ」

「そうかな? それでもデナントスは魔王だから魔族の事は詳しそうだけどね」

「そりゃーそうさ、魔族はな、無数にいるんだぜ、魔族の体内には魔石があって、人間はそれを燃料にして色々な事をしている。人間は魔族を滅ぼしたがっているがそんな事をしたら燃料がなくなって困るのは人間なんだけどね」

「それは知ってるよ私も」

「それで、ぼくは魔王として人間との共存を考えていて、寿命で死んでいった魔族達の死体から魔石を取り出して、交易の品にと考えていたんだけどね」

「そんな事も考えていたのね、そうだ、ギルガザンド大陸には魔王カッシュがいるそうよ」

「ああ、知ってるさ、魔王カッシュは昔友達だったからな、喧嘩別れしてしまったがね」

「へぇ、魔王カッシュはどんな人なんだい?」
 
 ヴェイクが私とデナントスに顔を交互に動かしながら訪ねてくる。 
 私は魔王カッシュについては何も知らない。
 ただ武力主義で王国と戦争ばかりしているそうだ。
 多くの命が失われていても魔王カッシュは戦争を止めない。

 海神シェイクはそれを傍観しているだけだ。

 デナントスが懐かしむように言葉を切り出したのはその時だった。
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