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お姉様、想い人が出来ました(仮)
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「いっぱい宝石を買われましたね、お嬢様。」
「一つあげましょうか、エリー。」
「い、いえ!とんでもないです!旦那様からのプレゼントを私が頂くなんて、旦那様に恨まれてしまいますっ!」
「そうよねぇ。それならこれをあげるわ。」
そう言ってエリーにあげたのは、私がお給料で買ったネックレス。
「いいんですかお嬢様!」
「いつもよくお世話してくれるもの。次のデートにでもつけていきなさい。」
「ありがとうございます!彼に自慢します!」
あの日、ギルバートにそれとなく装飾品を強請ったら、家に宝石商たちを呼んで手当たり次第にいい宝石を買ってくれた。
夫人もいらしたから、あれよあれよという間にあれもこれもと戸惑う素振りもなく0が何個も並ぶ金額の賞品を選んでしまわれた。
全く、モノを強請った私が馬鹿だったわ。
この大公家には使っても使っても消えることがないほどの財産があり、ギルバートも夫人も普段は浪費を全くされないから、お金は増える一方でしょう。
それにギルバートとときたら買ってくれた領地に新しい屋敷を建設すると言い出して、結果何十億のお金を貢がれてしまった。
それなのに全く問題にならない。
使用人たちも当たり前だといった様子で、呆れているのは私だけだった。
これでは散財でギルバートを呆れさせる作戦が、それより前に屋敷が贅沢品で埋まってしまうわ。
となれば、別の方法でギルバートの心を動かしたいわね。
おバカを演じると他に支障をきたすし、どうせなら好きな人が出来たという設定でギルバートをフッてみるとか?
でも相手を選ばないと、その相手に被害が行ってしまうわよね。
社交界には私が大公殿下の想い人だと知れ渡ってしまったし、平民だと余計に可哀想。
生活にも社交界でも被害に合わない私の仮の想い人を作るとしたら……
って、そんな人いないわよ。
***次の日
昼下がり、私は城内で王女殿下の侍女として教養を身につけるための授業を受けた後、ギルバートのいる訓練場に向かっていた。
すると、
「おや、また会いましたね。」
「あ……」
一人いたわ。
大公殿下の想い人である私の仮の想い人にするのにピッタリな相手だわ。
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