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お姉様、襲撃はいきなり。

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「ごきげんよう、バッツドルク卿。」


稀代の魔法使い、イザーク・バッツドルク。


私の中に薔薇の宝石ローズエンジェルがあることを知っていそうな素振りを見せるこの男。



平民出身で家族のいない貴族。

政界や魔法界隈に顔が広く、何者にも物怖じしない性格だと第三王子殿下から聞いたわ。

彼なら大公殿下にも当然、物怖じしないのでしょうね。




「この先は訓練場ですね。」


「ええ。これからレッドモンド卿に稽古をつけてもらうところですわ。」


「婚約前の男女が訓練場で相見えるなんて、なかなか新鮮な光景でしょうね。」


「そうでしょうか。私はバッツドルク卿の洗練された魔法技を拝見する方が興味がそそられますわ。」


「それは光栄ですね。では、今度は私と訓練場に行きませんか?」


「ええ、是非。」



やはり、この男侮れないわ。

誰に見られるかも分からない訓練場に私を誘うなんて。





「君の魔力は実に興味深い。惹き付けられる何かがある。」


「それは光栄ですわ。」


私の力の正体に気付いているのかしら。

探ってみる意味も含めて、この人に近づいてみるのもいいわよね。





***

二時間後。


「ありがとうございました。」

「今日は無駄な動きが多かったな。」

「気を付けます。」



ギルバートとの稽古が終わり、片付けをする。



「リビア、今日よければ……」


ギルバートがなにかを言いかけたその時、


「大変です!!!また魔獣が現れました!!!!」



兵士が急いでやって来てそう叫んだ。



「殿下っ!」

「ああ、急がねば。リビアはここで待っていろ。」

「いえ、私も行きます!」

「しかし……」

「言い争っている時間はありません。行きましょう。」



大きな被害を出す前に次こそ敵の正体の手がかりを見つけないと。


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