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部活動
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学校に到着すると、掲示板に貼り出された部活の数々を見てある部活に目が止まった。
声楽部と書かれた部活をジッと見つめて、今日は部活に入ろうと思っていた。
どんなに嫌な事があっても歌だけが俺の生き甲斐なんだ。
初日の授業は普通に終わり、あの食堂みたいな騒動もなかった。、
ただ陰口だけは言われているが、俺は無視して立ち上がった。
学校の食堂も出禁になると嫌なので、購買でパンを買って人気のない空き教室で一人食べていた。
そして時間は過ぎていき放課後になった。
声楽部は音楽室で行われていると掲示板に貼られた紙に書かれていた。
食堂のあの様子じゃ、学校中に俺の名前が知れ渡っているんだろう。
声楽部の人に受け入れてもらえるか、それだけが不安だった。
音楽室から楽しげな合唱が聞こえて、コンコンと控えめにドアを叩いた。
「はーい」と明るい声が聞こえて、ドアが開かれて先生みたいな丸メガネの女性の先生が出てきた。
「あら?貴方は…」
「あ、あの…俺、この部活に入りたいんですが」
緊張しながらも言葉にすると、先生は優しげに微笑んで俺を音楽室に招いた。
音楽室には数人の生徒達がいて、俺を見るなり驚いていた。
怯える顔をしている生徒もいて、敵意がない相手に怯えられるのは悲しい。
すると、先生は「君、何でもいいから歌える?入門試験みたいなものだから」と言っていた。
入門試験なら歌わないとな、一つ二つ深呼吸した。
先生により音楽室にあるステージの上に立たされて、生徒達が俺の方に集中している。
人前で歌うのは初めてだが、歌手になるならここで予行練習をしよう。
瞳を閉じて、リラックスして口を開いた。
皆を歌で幸せにしたい、そして誰かの特別になりたいんだ。
誰かの大切な歌を歌いたい。
緊迫していた空気が少し和らいだ気がして、目蓋を開けた。
皆唖然とした顔で、俺を見つめていた。
前にいた人がホロリと涙を流した。
「えっ、あ…あの…」
「素晴らしいわ!!貴方には才能があるのね!!」
どうしたらいいか分からなかったが、突然先生に手を握られて興奮したような早口な言葉で言われた。
ハッと我に返った生徒達もパチパチと拍手をしていた。
初めて認められた、俺の歌を…嬉しい…
嫌な事ばかりだと思っていた学校で初めて自分の居場所を見つけた。
先生は俺が食堂で暴力事件を起こしたと思っていたらしく、優しい顔をしていたが内心怖かったのだと正直に教えてくれた。
無理もない、俺だって暴力事件だけを聞くと怯えてしまう。
「でも、貴方の素直で美しい歌声を聞いたら貴方にも事情があったのだと思い直されたわ」
合唱に俺も入れてもらえる事により、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
音楽室を出て、廊下を歩いている時に道を遮られた。
ニヤニヤと俺を見つめる6つの瞳に後退るが、肩を掴まれて引きずられた。
一方的な暴力を繰り返されて、カバンを取られた。
中身を全て床にぶちまけられて、あるものを拾われた。
あれは今日、声楽部でもらった歌詞カードだ。
「なんだこれ」
「やっ、やめっ…」
俺が慌ててるのをニヤニヤしながら見ていて、ビリビリと破られた。
俺の大切なものが、粉々になり窓を開けて外に捨てられた。
風に乗せて飛んでいき、もう何処にあるか分からなくなった。
絶望したような俺の顔に満足して、笑いながら歩いていった。
沈んだ気分で校舎を出て、学校の大きな門に近付いた。
門の外には黒子の姿を見つけて、ずっとそこにいるのかとため息を吐いた。
外の世界はこんなに広いのに俺の世界はとても狭い。
ふと、門の向こう側にカイウスが見えた…カイウスの傍には女の子がいた。
あれはマリー?…じゃあ、このシーンはゲームの序盤か?
声楽部と書かれた部活をジッと見つめて、今日は部活に入ろうと思っていた。
どんなに嫌な事があっても歌だけが俺の生き甲斐なんだ。
初日の授業は普通に終わり、あの食堂みたいな騒動もなかった。、
ただ陰口だけは言われているが、俺は無視して立ち上がった。
学校の食堂も出禁になると嫌なので、購買でパンを買って人気のない空き教室で一人食べていた。
そして時間は過ぎていき放課後になった。
声楽部は音楽室で行われていると掲示板に貼られた紙に書かれていた。
食堂のあの様子じゃ、学校中に俺の名前が知れ渡っているんだろう。
声楽部の人に受け入れてもらえるか、それだけが不安だった。
音楽室から楽しげな合唱が聞こえて、コンコンと控えめにドアを叩いた。
「はーい」と明るい声が聞こえて、ドアが開かれて先生みたいな丸メガネの女性の先生が出てきた。
「あら?貴方は…」
「あ、あの…俺、この部活に入りたいんですが」
緊張しながらも言葉にすると、先生は優しげに微笑んで俺を音楽室に招いた。
音楽室には数人の生徒達がいて、俺を見るなり驚いていた。
怯える顔をしている生徒もいて、敵意がない相手に怯えられるのは悲しい。
すると、先生は「君、何でもいいから歌える?入門試験みたいなものだから」と言っていた。
入門試験なら歌わないとな、一つ二つ深呼吸した。
先生により音楽室にあるステージの上に立たされて、生徒達が俺の方に集中している。
人前で歌うのは初めてだが、歌手になるならここで予行練習をしよう。
瞳を閉じて、リラックスして口を開いた。
皆を歌で幸せにしたい、そして誰かの特別になりたいんだ。
誰かの大切な歌を歌いたい。
緊迫していた空気が少し和らいだ気がして、目蓋を開けた。
皆唖然とした顔で、俺を見つめていた。
前にいた人がホロリと涙を流した。
「えっ、あ…あの…」
「素晴らしいわ!!貴方には才能があるのね!!」
どうしたらいいか分からなかったが、突然先生に手を握られて興奮したような早口な言葉で言われた。
ハッと我に返った生徒達もパチパチと拍手をしていた。
初めて認められた、俺の歌を…嬉しい…
嫌な事ばかりだと思っていた学校で初めて自分の居場所を見つけた。
先生は俺が食堂で暴力事件を起こしたと思っていたらしく、優しい顔をしていたが内心怖かったのだと正直に教えてくれた。
無理もない、俺だって暴力事件だけを聞くと怯えてしまう。
「でも、貴方の素直で美しい歌声を聞いたら貴方にも事情があったのだと思い直されたわ」
合唱に俺も入れてもらえる事により、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
音楽室を出て、廊下を歩いている時に道を遮られた。
ニヤニヤと俺を見つめる6つの瞳に後退るが、肩を掴まれて引きずられた。
一方的な暴力を繰り返されて、カバンを取られた。
中身を全て床にぶちまけられて、あるものを拾われた。
あれは今日、声楽部でもらった歌詞カードだ。
「なんだこれ」
「やっ、やめっ…」
俺が慌ててるのをニヤニヤしながら見ていて、ビリビリと破られた。
俺の大切なものが、粉々になり窓を開けて外に捨てられた。
風に乗せて飛んでいき、もう何処にあるか分からなくなった。
絶望したような俺の顔に満足して、笑いながら歩いていった。
沈んだ気分で校舎を出て、学校の大きな門に近付いた。
門の外には黒子の姿を見つけて、ずっとそこにいるのかとため息を吐いた。
外の世界はこんなに広いのに俺の世界はとても狭い。
ふと、門の向こう側にカイウスが見えた…カイウスの傍には女の子がいた。
あれはマリー?…じゃあ、このシーンはゲームの序盤か?
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