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地獄の中の救いの手
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翌朝、すっきり爽快な気分で目を覚まして腕を伸ばして背伸びした。
真夜中に自慰をしたからか、今日は爽やかな一日になりそうだ。
ベッドから起き上がり、コーヒーを一杯飲もうかと考えたがこの世界にはコーヒーはない。
豆茶はあるが、俺は屋敷にある事は知っていたが一度も飲んだ事がない。
飲ませてもくれなかった、この部屋の備え付け品の中には残念ながら豆茶を淹れる道具はない。
手で軽く寝癖を直しながらベッドから出て、カーテンを開いた。
豆茶のメニューは食堂にあったから朝食を食べる時に頼もう。
「おはよう」
俺はすぐさまカーテンをみっちりと閉めて、見なかった事に………出来るわけないだろ!!
なんでカイウスが俺を待っていたようにベランダにいたんだ!?
優雅にティータイムをしているみたいだが、建物で遮られたベランダじゃなくて広い庭の方がいいだろ。
カーテンの隙間から覗くと、まだカイウスがいて朝食を食べていた。
俺はカイウスを無視して、自分も朝食を食べようと制服に着替えてから食堂に向かった。
廊下を歩くと、まだ朝が早すぎで生徒がポツポツとしかいなかった。
食堂に到着して、席に着くとウェイターが注文を取りに来た。
朝食セットを頼み、テーブルで待っていた時俺の顔に被さるように影が重なった。
「おいお前、ローベルトなんだろ?」
「えっ…そうですけど」
「悪の貴族ローベルト!覚悟しろ!!」
突然、素行がよろしくなさそうな容姿の不良生徒三人が現れた。
初対面だったから戸惑っていたら、急に大きな声で叫んだと思ったらテーブルを蹴られた。
衝撃で俺と椅子を吹き飛ばして倒れて、大きな音を立てた。
ざわめいていた声が、一瞬でピタリと止んで俺達に集中していた。
何も出来ずに胸ぐらを掴まれて、頬をガツッと音を立てて殴られた。
俺を悪者にして、自分を正義の味方だと言い一方的な暴力を受けていた。
皆関わりたくないから見ているだけではない、俺を見て大笑いしていた。
ここも、屋敷と同じなのか……自由だって思ったのに呼吸が出来なくなる。
カイウスに泣いてるってまたバカにされる、嫌なのに感情が高鳴り涙が出る。
結局騒動を起こした原因として、俺だけが食堂を出禁になった。
お腹が空きながら自分の部屋に戻り、カーテンが少し開いていた。
もうカイウスはいないとは思うが、カーテンに手を伸ばして開けた。
「……まだいたんだ」
「ここは俺の家だからな」
確かにそうだな、と苦笑いをすると唇の横を切った傷がズキズキと痛くなった。
カイウスが豆茶を飲んでいて、お腹が空いている今の俺には羨ましくてしょうがない。
ゴクリと喉を鳴らすが、虚しくなるだけだからベランダに背を向けた。
するとカイウスが「ライム」と、初めて俺の名前を口にした。
驚いてカイウスを見ると、カイウスが手になにか持っていた。
それはパンと、野菜を細かく切って炒めたおかずが載っていた。
「まだ朝食食ってないなら食うか?」
「……っ、いいよ…カイウスのだろ?」
「いや、お前のだよ…自分のを作るついで」
そう言ったカイウスが器用に皿を持ちながらベランダを飛び越えてきた。
カイウスって料理作れたんだ、ゲームでもヒロインに振る舞ってはいなかったから知らなかった。
そのまま俺を通りすぎて、テーブルに皿を置いて俺を振り返った。
「豆茶は飲めるか?」と聞かれて、とっさに「飲める!」と返事した。
ちょっとだけカイウスの雰囲気が柔らかくなったと思ったら、俺とすれ違う時に頭をポンポンと撫でられた。
じわりとまた泣いてしまったが、カイウスはからかう事はせず豆茶を取りに自分の屋敷のベランダに戻った。
俺はカイウスに会うとずっと死亡フラグが立つと怯えていた。
でも、酷い態度の俺にもカイウスは優しく接してくれた。
もう少しだけ、カイウスに歩み寄ってみようかなと思った。
カイウスが豆茶を持って戻ってきて、俺の呼吸も楽になった。
「…いてて」
「転んで唇切ったのか?」
カイウスの指が少し触れただけで唇の端の切り傷がズキズキと痛んだ。
殴られたなんて言ったらカイウスが心配するだろう、正義の騎士だから…
これは俺の問題だ、誰にも迷惑掛けずに自力で解決したい。
転んで顔面から床に強打したとなるべく笑顔で言うと、手当てするとカイウスの部屋から救急箱を取ってきて手当てしてくれた。
最初包帯でぐるぐる巻きにされそうになったから絆創膏みたいなテープを付けた。
とりあえずそれで手当ては終わり、カイウスは俺を見つめた。
「そういえば俺の名前、知ってるんだな」
「えっ……ゆう、めい…だから」
ヤバい、ナチュラルにカイウスって言ってしまい冷や汗が流れた。
カイウスは「俺をカイウスって呼ぶ奴久しぶりに見た」と言っていた。
普段カイウスは「カイ様」と国民に呼ばれていて、家族にも「カイ」と呼ばれているからだ。
ゲームでそうだから俺だけ違った呼び方をするのは目立つから「…カイ様」と言い直した。
なにか嫌だったのか、カイウスでいいと言われてしまいカイウスの方が普段心の中で呼んでいるからそのままカイウスと呼ぶ事になった。
俺は学校に…カイウスは騎士団の仕事をしにそれぞれ向かった。
朝から嫌な事に遭遇したが、俺はこの学校でどうしてもやりたい事があった。
寮を出て、学校に行く途中でもヒソヒソと内緒話をしていた。
いちいち気にしていたら疲れてしまうから、堂々とする事にした。
真夜中に自慰をしたからか、今日は爽やかな一日になりそうだ。
ベッドから起き上がり、コーヒーを一杯飲もうかと考えたがこの世界にはコーヒーはない。
豆茶はあるが、俺は屋敷にある事は知っていたが一度も飲んだ事がない。
飲ませてもくれなかった、この部屋の備え付け品の中には残念ながら豆茶を淹れる道具はない。
手で軽く寝癖を直しながらベッドから出て、カーテンを開いた。
豆茶のメニューは食堂にあったから朝食を食べる時に頼もう。
「おはよう」
俺はすぐさまカーテンをみっちりと閉めて、見なかった事に………出来るわけないだろ!!
なんでカイウスが俺を待っていたようにベランダにいたんだ!?
優雅にティータイムをしているみたいだが、建物で遮られたベランダじゃなくて広い庭の方がいいだろ。
カーテンの隙間から覗くと、まだカイウスがいて朝食を食べていた。
俺はカイウスを無視して、自分も朝食を食べようと制服に着替えてから食堂に向かった。
廊下を歩くと、まだ朝が早すぎで生徒がポツポツとしかいなかった。
食堂に到着して、席に着くとウェイターが注文を取りに来た。
朝食セットを頼み、テーブルで待っていた時俺の顔に被さるように影が重なった。
「おいお前、ローベルトなんだろ?」
「えっ…そうですけど」
「悪の貴族ローベルト!覚悟しろ!!」
突然、素行がよろしくなさそうな容姿の不良生徒三人が現れた。
初対面だったから戸惑っていたら、急に大きな声で叫んだと思ったらテーブルを蹴られた。
衝撃で俺と椅子を吹き飛ばして倒れて、大きな音を立てた。
ざわめいていた声が、一瞬でピタリと止んで俺達に集中していた。
何も出来ずに胸ぐらを掴まれて、頬をガツッと音を立てて殴られた。
俺を悪者にして、自分を正義の味方だと言い一方的な暴力を受けていた。
皆関わりたくないから見ているだけではない、俺を見て大笑いしていた。
ここも、屋敷と同じなのか……自由だって思ったのに呼吸が出来なくなる。
カイウスに泣いてるってまたバカにされる、嫌なのに感情が高鳴り涙が出る。
結局騒動を起こした原因として、俺だけが食堂を出禁になった。
お腹が空きながら自分の部屋に戻り、カーテンが少し開いていた。
もうカイウスはいないとは思うが、カーテンに手を伸ばして開けた。
「……まだいたんだ」
「ここは俺の家だからな」
確かにそうだな、と苦笑いをすると唇の横を切った傷がズキズキと痛くなった。
カイウスが豆茶を飲んでいて、お腹が空いている今の俺には羨ましくてしょうがない。
ゴクリと喉を鳴らすが、虚しくなるだけだからベランダに背を向けた。
するとカイウスが「ライム」と、初めて俺の名前を口にした。
驚いてカイウスを見ると、カイウスが手になにか持っていた。
それはパンと、野菜を細かく切って炒めたおかずが載っていた。
「まだ朝食食ってないなら食うか?」
「……っ、いいよ…カイウスのだろ?」
「いや、お前のだよ…自分のを作るついで」
そう言ったカイウスが器用に皿を持ちながらベランダを飛び越えてきた。
カイウスって料理作れたんだ、ゲームでもヒロインに振る舞ってはいなかったから知らなかった。
そのまま俺を通りすぎて、テーブルに皿を置いて俺を振り返った。
「豆茶は飲めるか?」と聞かれて、とっさに「飲める!」と返事した。
ちょっとだけカイウスの雰囲気が柔らかくなったと思ったら、俺とすれ違う時に頭をポンポンと撫でられた。
じわりとまた泣いてしまったが、カイウスはからかう事はせず豆茶を取りに自分の屋敷のベランダに戻った。
俺はカイウスに会うとずっと死亡フラグが立つと怯えていた。
でも、酷い態度の俺にもカイウスは優しく接してくれた。
もう少しだけ、カイウスに歩み寄ってみようかなと思った。
カイウスが豆茶を持って戻ってきて、俺の呼吸も楽になった。
「…いてて」
「転んで唇切ったのか?」
カイウスの指が少し触れただけで唇の端の切り傷がズキズキと痛んだ。
殴られたなんて言ったらカイウスが心配するだろう、正義の騎士だから…
これは俺の問題だ、誰にも迷惑掛けずに自力で解決したい。
転んで顔面から床に強打したとなるべく笑顔で言うと、手当てするとカイウスの部屋から救急箱を取ってきて手当てしてくれた。
最初包帯でぐるぐる巻きにされそうになったから絆創膏みたいなテープを付けた。
とりあえずそれで手当ては終わり、カイウスは俺を見つめた。
「そういえば俺の名前、知ってるんだな」
「えっ……ゆう、めい…だから」
ヤバい、ナチュラルにカイウスって言ってしまい冷や汗が流れた。
カイウスは「俺をカイウスって呼ぶ奴久しぶりに見た」と言っていた。
普段カイウスは「カイ様」と国民に呼ばれていて、家族にも「カイ」と呼ばれているからだ。
ゲームでそうだから俺だけ違った呼び方をするのは目立つから「…カイ様」と言い直した。
なにか嫌だったのか、カイウスでいいと言われてしまいカイウスの方が普段心の中で呼んでいるからそのままカイウスと呼ぶ事になった。
俺は学校に…カイウスは騎士団の仕事をしにそれぞれ向かった。
朝から嫌な事に遭遇したが、俺はこの学校でどうしてもやりたい事があった。
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