ベアりんぐ文章精製群

ベアりんぐ

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出口

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 何かを求めるように、ただ文章を読み続けた。



何度も、なんども。



そこにあるはずの純粋無垢な刹那を。



 そんなことを考えながら純粋を望むという邪な感情をもって、読み続けた。

 最後の文章に手を伸ばす。

しかしそこには、ただ文章一筋。





"何者でもないあなたに"





 瞬間、胸の内に明るく広がる光を見る。そしてある、扉が開く。

そこには泣きに泣き、笑いに笑ったような、そんな人間という動物が持つ本来の姿の人がいた。



あゝ、美しき人よ。



 ここが出口なんだ、と。そう感じた。そして、その人の温もりも。

表現しようのない感情と共に、ふわふわと歩き出す。



昨日を伸ばして——。        《了》



 
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