ベアりんぐ文章精製群

愛のかたち

011「愛のかたち」

　次の文章を見る。

　愛のかたち、と言われた時どんな形を想像する？

　多くの場合、"ハート"を思い浮かべるだろう。俺もそうだ。

　だけど、本当はかたちなんて無くて、人間が太古の昔から積み上げていった感性から来る表形の延長に過ぎない。

　かたちがないと言われた時、他にどんなかたちを思い浮かべる？









　　　　　　　@









　ーーいつの間にか、好きだったーー

　私は気づいてしまった。本当に、知らぬうちに、自我の内にこんな気持ちが芽生えていたなんて。

　芽生えていた？違う。最初から大樹のように大きく根差したものだったのかも知れない。これが、運命というやつかも知れない。

　この、触れたらハラリと落ちてしまう葉の上の水滴のような。
　この、触れようと決意しても触れることのできない太陽の熱や煌めきのような。

　なんとも形容し難い、内か外からか溢れて押し寄せる感情の超新星。







　端的に言えば、胸のきらめき。







　でも、この宇宙の誕生のように押し寄せる気持ちを、いつまでも押さえておくことは出来ないだろう。

　だから私は、約束の命日に、甘美でほろ苦いチョコレートを渡すことに決めた。



　だが、私はここで一つ考えた。



　果たして、相手に私の気持ちの形を強要して良いのだろうか、と。





　だから、チョコレートはドロドロに溶けたものを渡すことにした。

　だって愛のかたちが決まっていて、少し冷たいチョコレートを渡したくない。

　熱く、熱く、熱く。灼熱でドロドロに溶けているチョコレートの方が、愛のかたちに囚われることなく、相手の毛先まで詰まるから。

　ーーああ、想像しただけでたまらないーー

　あなたに66.70Kgの、ドロドロアツアツに溶けたチョコレートが、私の愛のかたちとして余すことなく、あなたになるんだから。









ーー早く、来て欲しいなあぁ♪ーー












　　　　　　　@












　愛のかたちはそれぞれだ。人によって見方も考え方も変わる。

　そして気にするべきは周りではなく相手のことだ。

　彼女のように、かたちを変えてでも相手にわかって欲しい。自分のものになって欲しいという人はごまんといる。

　分かり合えるように。伝え合えるように。

　相手に押し付けることは、俺は良しに出来ない。


: 愛とは何か、純粋を求めし青年の手記