【完結】私より優先している相手が仮病だと、いい加減に気がついたらどうですか?〜病弱を訴えている婚約者の義妹は超が付くほど健康ですよ〜

よどら文鳥

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14 シャロン視点(後編)

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「……聞き間違えかもしれないわね……もう一度言ってくれるかしら?」

「私、今は病気じゃないんです。病気のフリをしている時、義兄様が心配して側にいてくれるのが嬉しくて……」
「……じゃあ、あのお酒もシャロンちゃん、あなたが仕組んだというの……?」

「はい……アルコールが入ってしまえば健康診断がなくなって、今の生活が続けられると思って……」

 全てを話して、お母様の力を借りて罪をなるべく軽くしてもらうしか方法がない。

 お母様はしばらく黙ったままだ。当然か。こんな犯罪を犯しているような娘のカミングアウトを聞いてしまえば私のことを見る目だってきっと……。

「かわいそうにシャロンちゃん……こんなに思い詰めていたのね……」
「え!?」

「大丈夫よ……シャロンちゃんはお母さんが守わよ。このままじゃシャロンちゃん、捕まってしまうもの……私の大事な娘にそんなことさせないわ」
「お母様……」

 まさかの全面協力してくれるというの……? 話してよかった……私のお母様は世界一よ。

「それに、ハーベストのことが好きで、愛しているからやったことなのよね?」
「はい……それは誓って嘘ではありません」

「ならばお父様と使用人にだけは教えましょう」
「そ……そんな……」

 私の愛する人を公開してしまって恥ずかしい気持ちと、怒られてしまうんじゃないかという恐さが同時にのしかかってくる。むしろ自首しろと言われてしまうんじゃないだろうか。

「これはきっとチャンスよ。私としては、ゴチャゴチャうるさいゴミみたいな女とハーベストが結婚するよりも、シャロンちゃんと結ばれてくれた方がよっぽど良いわよ」

 それは私だって同じ気持ちだ。
 あんな女さえいなければ、病気のフリをする頻度も少なくて済んでいたのだから。

「良いこと? お父様と使用人には、ハーベストのことを愛していることだけは伏せておくのよ。もちろんハーベストには絶対に言わないように私からも言い聞かせるわ」
「では動機はどうしたら……」
「お父様の気を引きたかったで良いんじゃないかしら。シャロンちゃんのこと溺愛していたし。でもシャロンちゃんに変なことしてこないか心配ね……」

 それはそれで別に良いと思ってしまっていることは言えなかった。

「まずはここから出ましょう。さっきから変な虫も壁に止まったままだし気持ち悪いものね」

 お母様が指差す方向を向くと、指のサイズくらいの変な虫が壁に止まっていた。
 見たこともない変な虫だ……病院なのに、こんな害虫を進入させてしまって良いのかしら。

「気がつきませんでした……どうやって出るのですか?」
「さっきから警備もないし、人通りもいないでしょう? だから、こっそり出てしまいましょ! 後で文句言われても、診療まで待たせすぎで頭にきたとでも言っておけば」

「さすがお母様ですわ!」

 私たちは、警備が手薄なうちに脱出した。

 大急ぎで家に帰り、お父様と使用人には今回のこと、そして仮病だったことまで正直に話した。

 まずは大至急、調査期間に依頼していたお酒の件をキャンセルしてもらう。
 お父様にこっ酷く叱られてしまったが、なんとか味方につけた。

 これで、もしかしたら義兄様と念願の結婚が叶うかもしれない。

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