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第1章 転生したけど・・・

学園生活の始まり

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 入学式が進み、新入生の挨拶が始まった。

 壇上を見た次の瞬間僕は驚きのあまり固まってしまった。

 なぜなら、そこにいたのはこの数年一度も会っていなかったセフィウスだったのだから・・・












 幼い頃の面影を残しながらも成長したセフィウスが今目の前にいる。

 見間違えかそっくりの別人かもと思ったがその後の進行役による紹介で第一王子セフィウス・センティオス様だと紹介されていたから間違いない。

 それでも未だに信じられないし、新入生代表と言っているがそもそもセフィウスは僕より2つ年下だ。

 唖然としてセフィウスを見ていると壇上の彼と目が合った気がした。

 彼が微笑むと周囲にいた女子生徒たちが色めきだったのがわかった。

 

 僕は頭の中が?でいっぱいになった。








 その後の入学式の記憶はなく気がついたら会場を出ていて人の流れに沿って進んでいた。

 おそらく侍従を連れていない生徒たちは入寮手続きに行くのだろう。

 僕もさっきのことはしばらく忘れてまずは入寮手続きを終えて会場の外で待機しているであろうレオを探しに行かなくては。

 そうこうしていると周囲の女子生徒たちの会話にセフィウスの名前が聞こえてきた。

 盗み聞きするつもりではなかったが興奮しているらしい彼女たちの声量は大きく話の内容が嫌でも耳に入った。


「私たち幸運ですわね!セフィウス様と同じ学年だなんて!」

「でも、セフィウス様はまだ13歳ではなくて?」

「そうですけど、飛び級されたそうよ。」

「まあ、それでいて主席合格されるなんて素晴らしいですわね!」

 という会話をしていた。









「飛び級なんてあるんだね」

 僕はあの後すぐレオに見つけられて寮の自室で休んでいた。


「そうですよ。特に今年は第一王子殿下が入学されるので話題になっていましたよ。

 テオ様は外部の情報にはご興味がないので知らなかったようですが。」



 そうだったんだ・・・




 これまで屋敷に引きこもっていたし周りに関心も向けていなかったから何も知らなかった。




「それにしても僕がセフィウスと仲が良かったの皆んな知ってるから教えてくれても良かったのに・・・」

 と膨れていると侍従は驚いた顔で

「でも殿下とテオ様は数年前にケンカされた後は連絡を取られていなかったではありませんか。」



 これには僕の方が驚いた。

 そんなの初耳だしどうして誤解されていたのだろう・・・



 レオの誤解は解いたが僕はなぜそんなことになっているのか不思議に思った。





 次の日。

 真新しい制服に袖を通して早めにクラスの教室に向かう。

 テオがいるから迷うことはないだろうけど入学早々遅刻するわけには行かない。

 まだ人気の少ない廊下を歩いていると突然手を引かれた。

 テオが反応するが手を引いたものの姿を認めると警戒を緩めた。

 その人物に引っ張られるまま空き教室に入ると数年ぶりの懐かしい感覚が蘇ってきた。

 違うのはふわふわの金色の髪の毛を見下ろす形だったのが今は顔とか音が抱きしめた時に横に来るようになったことだ。



「セ・・・セフィウス?」


「うん! 久しぶり、テオ!昨日はどこにいたの?探したんだけど・・・」




 ずっと待ち望んでいた人物に会えて嬉しくて涙が溢れてくる。



「僕、同じテオと同じ学校にいけばずっと一緒にいられると思って頑張ったんだよ!」


 撫でて!というふうにセフィウスが少しかがむ。

 僕は彼の存在を確かめるようにそっとその頭に触れる。

 セフィウスは嬉しそうに笑うともう一度僕を抱きしめた。



 長かった寂しい時間は終わった。



















 学園のクラスは成績順なので主席のテオと成績上位で入学した僕は同じクラスだ。

 2人で一緒に教室へ向かう。

 途中すれ違う生徒や教師たちに驚いた顔で見られた。

 ただでさえセフィウスは第一王子でその容姿からも人目を引くのに、その隣にいる僕が黒髪黒目だからだろう。

 教室に入るとほとんどの生徒が着席していた。

 僕たちが空き教室でしていた再会の抱擁は少し長かったみたいだ。



 僕たちが教室に入ると数人の生徒がセフィウスの方に駆け寄ってきて挨拶をしてきた。

 このクラスの中でも上位貴族に位置する令息令嬢たちらしかった。




「おはよう。わざわざありがとう。でも君たちの家名は僕は別に聞いていないよね。」

 と言ったのは僕の天使セフィウスだった。



 一瞬教室内が凍りついた。

 僕もセフィウスの冷たい声を初めてきいて信じられない思いでいた。

 セフィウスはあっけにとられていた僕の手を引くと、後ろの窓際の二つ並んでいた空席に向かった。



「驚かせてごめんね。お父様に他の令息がしつこく言ってきた時はああ言えって言われてたんだ。」

 と言ったセフィウスはいつもの僕の知っているセフィウスだった。


 王家という肩書きがあると良くも悪くも色々な人がよってくるのだからそのための対応が身についているのだなと思った。

 ましてやこの学園は在学中は生徒たちは平等という規則がああるのだからいきなり王子扱いされるのも違うのだろうな。

 セフィウスに対等なお友達ができて楽しい学園生活が送れるといいのだけど。


「セフィウスのお友達ができたら僕に構わずその人たちのところに言っていいんだからね。」

 彼の交友関係を僕が邪魔してはいけないと思いそういうと、

「僕はテオ以外いらないから。」と言って少し悲しそうな顔をした。


 朝のことがあり、その日はセフィウスに明から様に声をかけてくるクラスメイトはいなかった。

 ただ、彼の隣にいる僕に刺すような視線が突き刺さっていた。

 なんで黒髪が・・・という声が聞こえてくる。


 この髪と目の色な上ずっと屋敷に引きこもっていた僕は友達はおろか知り合いがいない。

 に来ていた数人の令息たちだもクラス内には1人もいなかった。

 いたらいたで僕はあの時のことが若干トラウマになっているから嫌だけど。

 今後学園内で会うこともあるかもしれないのは憂鬱だ・・・



















 オリエンテーションが終わり僕はセフィウスに案内され彼の部屋に来ていた。

 王族である彼の部屋はことさら厳重な警備体制が敷かれていた。

 まず、学園の寮には王族専用の棟が用意されていて代々その血筋のものだけが使っているものなのだそうだ。

 他の生徒は立ち入りが禁止されているが僕はセフィウスの客人ということで通してもらえた。

 造り豪華さも調度品も寮とは段違いだ。

 部屋付きのメイドにお茶を入れてもらい一息ついていた僕たちはこの5年間自分たちがどうしていたのかを話し合った。



 その中で僕は気になっていたことをセフィウスに話した。


「どうやら僕の家族は僕が君と喧嘩して連絡を絶っていたと思っていたみたいなんだ。」

 するとセフィウスは

「うん。だって僕がそう言ったからね。」と言った。

 驚いて後ろに控えているレオの方を見ると彼はうんうんと頷いていた。




「どうしてそんなことしたの?」


「テオは王妃様のお茶会で酷い目に遭ったでしょう。あれは実は僕のせいなんだ。

 彼女は僕が嫌いだから僕と仲がいい人にも害を与えようとしてくる。

 だから、あの時点で僕はテオから離れようと決めたんだ。

 ついでに僕がテオと仲違いしたという噂も流して。」



「でも、勉強が忙しくなるからって言っていたよね?」



「ごめんね。嘘ついてた。

 忙しくなったのは本当だけれど、心配かけたくなくて。」






 セフィウスはそんな幼い頃から大変な思いをしていて僕のことも考えてくれていたなんて・・・

 王妃様がぼくを嫌うのは単に僕が黒魔法属性だからだと思っていたけど、セフィウスと仲がいいからというのもあったんだなぁ。

 でも、あの時向けられた悪意をセフィウスも受けていたのだと思うと背筋が凍る思いがした。



「セフィウス、王妃様に酷いことされたりしてない??」


 と聞くと彼はふふっと笑って

「テオは本当に人の心配ばかりだなぁ。ここは僕に怒るところだよ?

 テオを危険に晒した上に嘘までついていたんだから。」と言った。



「僕が怒ることなんて何もないよ。守ってくれてありがとう。

 でも、これからは僕にも協力させて。僕にもセフィウスを守らせて欲しい。」


 そのためにこれまで頑張ってきたんだ。

 僕はセフィウスと一緒にいるためならなんだってしたいし耐えられる。

 セフィウスが彼の意思で僕から離れていかない限り・・・




「テオ・・・

 今は安心していいよ。学園には王妃の手のものは入り込めないから。

 やっと堂々とテオと一緒にいられる。」



 僕の手を握ってテオが微笑む。

 僕も感動で胸が熱くなり、今にも泣きそうになっていると・・・


 セフィウスの後ろにいる彼の侍従が僕よりも先に涙を流し始めた。

 うん、うんと頷きながら拍手している・・・?


 僕があっけに取られて見つめているとセフィウスが

「テオ!寮には門限があるし僕が部屋まで送るよ。」

 と言って僕をぐいぐいと部屋から押し出した。


「いいよ。僕自分で帰るよ」


 と言ったがセフィウスに押し切られ部屋まで送られてしまった。





 





















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