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第一部
26 スカーレット
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ディナータイムが始まる。
小夜子は黒のサテンのドレスを着てピアノの演奏を始めた。
映画音楽のメドレーだった。
『タイタニック』から始まって最新らしいロマンティックな曲が流れる。
そろそろかなと直樹は、うっとりして聴き入っている緋紗を見つめた。
小夜子がラストの曲を演奏はじめると、緋紗がみるみるうちに赤面していく。――やっぱりな。小夜子さんもSだよな。
直樹はこっそり笑った。
ディナータイムも終わり緋紗は夢見心地で片付けている。
小夜子が着替えてやってき、直樹にニヤッと笑いかけたあと、頬を染めた緋紗に、「ご飯いっぱい食べた?」と、聞いた。
「はい。いっぱい食べました。あ、あのすごく演奏が素敵でした」
「ふふふ。ありがとう」
「そろそろいいよー。お疲れさん」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
直樹は、「平気?」 と、ぼんやりしている緋紗に声をかけた。
「はい。なんかうっとりしちゃって」
「わかるよ。小夜子さんの演奏はなんだか揺さぶられる感じがするよね」
「ええ。最後はドキッとしちゃいましたけど」
小夜子の選曲が意図的であることに気づいていないようなので直樹は笑ってその場を済ませた。
「もう人も引けてるしお風呂に入ろうか」
「あ、はい」
また二人だけの時間がやってきた。
暖炉は今日もぼんやりと火がついている。
それぐらいでここは十分で、しかも薪の火にあたるといつまでも身体が暖かい。
「遠赤効果ですかね。いつまでもあったかい」
「だね。ちょうどいいぬくもり加減だと思うよ」
パチパチ木が燃える音も小気味よかった。
「ひさは休みの日に何してる?」
「えーと。掃除したり本読んだりネトゲしたり……またーり過ごしてます。」
「へー。結構ゲーム好きなんだね。あの曲がわかるくらいだし」
「そうですね。最近はそうでもないですけどネトゲにハマった時期もあってやばかったですね。直樹さんもゲーム好きですか?」
「うん。好きだよ。僕も会社勤めしてる時に結構ハマったネトゲがあってね。今はたまにインしてるかな」
「なんてネトゲですか?」
「ナイトロードってやつだよ。もう七年くらい前からやってるね。」
「えー!私もそれやってるんです」
「そうなんだ。種族は?僕は獣人だよ」
「ああ……。私ヒューマンです」
「残念だね。一から一緒にやってみる?」
「うーん。もう週一の戦争でてるくらいで」
「僕もやりつくした感があるからなあ」
直樹とプレイできたら楽しいだろうなと思ったが、この関係はそういうところに重点が置かれた感じもないので気乗りはしない。
「じゃ戦争で待ってるよ。戦おうか」
「あ、面白そう」
緋紗は直樹と分かれて戦うと思うと少し興奮する。
「名前はなんていうんですか?一応教えといてください」
「ミストだよ」
「あ。見たことある気がします。やられたことがあるかも」
緋紗は狂暴そうな大きなバーサーカーを思い出して身震いした。
「んー。一応最高レベルだし装備も整えてはいたからね」
笑いながら直樹は言う。
「ひさの名前は?」
「スカーレットです」
「ああ、ひさの『ひ』は緋なのか」
「そうです。教えてなかったですかね。『さ』は糸へんに少ないの『紗』です」
「綺麗な名前だね」
嬉しそうに緋紗は笑った。
「そろそろ部屋に戻ろう」
暖炉も火が小さくなっている。
緋紗はまた胸が高鳴り始めた。
小夜子は黒のサテンのドレスを着てピアノの演奏を始めた。
映画音楽のメドレーだった。
『タイタニック』から始まって最新らしいロマンティックな曲が流れる。
そろそろかなと直樹は、うっとりして聴き入っている緋紗を見つめた。
小夜子がラストの曲を演奏はじめると、緋紗がみるみるうちに赤面していく。――やっぱりな。小夜子さんもSだよな。
直樹はこっそり笑った。
ディナータイムも終わり緋紗は夢見心地で片付けている。
小夜子が着替えてやってき、直樹にニヤッと笑いかけたあと、頬を染めた緋紗に、「ご飯いっぱい食べた?」と、聞いた。
「はい。いっぱい食べました。あ、あのすごく演奏が素敵でした」
「ふふふ。ありがとう」
「そろそろいいよー。お疲れさん」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
直樹は、「平気?」 と、ぼんやりしている緋紗に声をかけた。
「はい。なんかうっとりしちゃって」
「わかるよ。小夜子さんの演奏はなんだか揺さぶられる感じがするよね」
「ええ。最後はドキッとしちゃいましたけど」
小夜子の選曲が意図的であることに気づいていないようなので直樹は笑ってその場を済ませた。
「もう人も引けてるしお風呂に入ろうか」
「あ、はい」
また二人だけの時間がやってきた。
暖炉は今日もぼんやりと火がついている。
それぐらいでここは十分で、しかも薪の火にあたるといつまでも身体が暖かい。
「遠赤効果ですかね。いつまでもあったかい」
「だね。ちょうどいいぬくもり加減だと思うよ」
パチパチ木が燃える音も小気味よかった。
「ひさは休みの日に何してる?」
「えーと。掃除したり本読んだりネトゲしたり……またーり過ごしてます。」
「へー。結構ゲーム好きなんだね。あの曲がわかるくらいだし」
「そうですね。最近はそうでもないですけどネトゲにハマった時期もあってやばかったですね。直樹さんもゲーム好きですか?」
「うん。好きだよ。僕も会社勤めしてる時に結構ハマったネトゲがあってね。今はたまにインしてるかな」
「なんてネトゲですか?」
「ナイトロードってやつだよ。もう七年くらい前からやってるね。」
「えー!私もそれやってるんです」
「そうなんだ。種族は?僕は獣人だよ」
「ああ……。私ヒューマンです」
「残念だね。一から一緒にやってみる?」
「うーん。もう週一の戦争でてるくらいで」
「僕もやりつくした感があるからなあ」
直樹とプレイできたら楽しいだろうなと思ったが、この関係はそういうところに重点が置かれた感じもないので気乗りはしない。
「じゃ戦争で待ってるよ。戦おうか」
「あ、面白そう」
緋紗は直樹と分かれて戦うと思うと少し興奮する。
「名前はなんていうんですか?一応教えといてください」
「ミストだよ」
「あ。見たことある気がします。やられたことがあるかも」
緋紗は狂暴そうな大きなバーサーカーを思い出して身震いした。
「んー。一応最高レベルだし装備も整えてはいたからね」
笑いながら直樹は言う。
「ひさの名前は?」
「スカーレットです」
「ああ、ひさの『ひ』は緋なのか」
「そうです。教えてなかったですかね。『さ』は糸へんに少ないの『紗』です」
「綺麗な名前だね」
嬉しそうに緋紗は笑った。
「そろそろ部屋に戻ろう」
暖炉も火が小さくなっている。
緋紗はまた胸が高鳴り始めた。
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