上 下
56 / 57
番外編2・The Very Merry X'mas

11

しおりを挟む
彼はにやっと笑うと「あのときより、ちょっと重くなった?」なんて、のたまう。

 わたしはちょっと彼に恨めしそうな目を向けた。

「ジュリオさんがいけないんです。食べるところを見るのが好きとかいうから、ついつい食べ過ぎちゃって」

「ほら、また言った。ジュリオだって」
「ちょっとずつ、努力しま……するから」

 うーん、やっぱりしっくりこない。

「さて、一緒に風呂に入るか」
「えっ?」

「それとも、このままベッドに直行? 俺はそれでも構わないけど」

「そのふたつの選択肢しかないんで……ないの?」
「そう。二者択一」
「……じゃ、じゃあお風呂のほうで……」

 わたしは消え入りそうな声で答える。

 彼は満足そうに頷くと
「よし、そうこなくっちゃ。俺が隅々まで綺麗に洗ってあげるから」

「……」

 もう、お風呂に入る前からのぼせそうなんですけど。

***

 宣言通り、頭のてっぺんからつま先まで泡だらけにされ、ふわふわのタオルに包まれて、またまた抱き上げられて、そのままベッドへ。

 上からわたしを見下ろしながら、彼はぞくっとするほど色気を含んだ声で囁いた。

「今度は隅から隅まで愛してあげるよ」

 そう言って、指の背でわたしの頬を撫で上げる。
 そうされただけで、わたしはびくっと身を震わせてしまう。

 そんなわたしを、彼は愛おしげに見つめる。

「こんなに愛せる人に出逢えるなんて、思っていなかった」
しおりを挟む

処理中です...