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第七章 桜降る春に
七
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「まあ、桜子さん。とてもお美しいわ」
坂上氏の奥さんは、春子の世話だけでなく、着替えも手伝ってくれた。
「このような服を着るのは久しぶりで、なんだか気恥ずかしいですけれど」
「いいえ、大変よくお似合いですよ」
そのとき、ドアをノックする音が響いた。
「支度はできた?」
「はい。どうぞ、お入りになって」
天音は待ちかねていたように、返事とほぼ同時にドアを開けた。
入ってきた彼の服装は、裾の長い、漆黒のテールコート。
はじめて見る、正装姿の天音は、あまりにも華麗で美しく、桜子は思わず息をのんだ。
桜子がはじめて参加した中島家の舞踏会の日。
あの日、彼女は自分をエスコートする天音を頭に思い浮かべていたけれど、現実の彼は、その想像をはるかに超えていた。
「桜子、では行こうか」
「はい」
舞踏会はすでに始まっており、楽団がワルツを演奏していた。
天音は桜子の手を取り、早速ダンスの輪に加わった。
会場の人々が感嘆のため息をもらす。
天音の洗練された一挙手一投足に魅了されて。
あの日の想像通り。
でも、それが現実になるなんて、あの時は思っていなかったけれど。
曲が終わると、そこで一旦演奏が途切れた。
二人は喧騒から離れ、甲板に向かった。
海は暗く静かで、月光が水面を照らしている。
そして夜空を飾る満天の星。
あまりにも幻想的なその光景に桜子は目を奪われ、手すりにつかまってしばらく眺めていた。
「桜子……」
振り返ると、天音が両腕を広げて微笑んでいる。
桜子は彼の胸に飛び込んだ。
「こうして二人で過ごす夜がふたたび訪れるなんて、正直思っていなかったよ」
「ええ。本当に」
桜子は天音を見上げ、天音も彼女に微笑み返し……
そして二人は、月と星に彩られた空の下で、幾度も接吻を重ねた。
***
横浜を出港してから約一か月半。
ついに、目的地であるリバプール港が見えてきた。
下船を待つ桜子の横には、春子を肩車した天音がいる。
これから、この見知らぬ土地で、三人の新しい生活がはじまる。
言葉の通じない国での生活は今は想像もつかない。
当然、困難なことも多いのだろう。
でも、桜子には恐れる気持ちはみじんもない。
ただ未来への希望が湧き上がってくるのみだ。
なぜなら、天音と共に生きてゆけるのだから。
それ以外に、桜子の望むことはないのだから。
〈The Happy End〉
*お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _"m)
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佳那さん完結おめでとうございます😊🧡
ハラハラしたけど、ハッピーエンドで良かった🙏💕女性の強さを感じました😊✨素敵なお話ありがとうございます?(´▽`)💓💞
ミホさん🥰❤️
3回もご感想いただき、感謝感激です😊💕
なんとか完結までこぎつけたよー😆
思うように書けなくて苦労したけれど、いただいた感想が本当に励みになりました😭ありがと〜🙇♀️💕
逃避行……切ない~😭✨
成功して~😭✨
しかし緋色の布団はドキドキだね😍
ミホさん😍❤️
わー、感想ありがとう🥹💕
「緋色の布団」へのコメントも😘
だいぶストックがなくなってきて、ちょっと焦ってきてます😅
頑張るねー٩( ᐛ )و
2章終わりまで読ませてもらいました😭🙏
切ない!!でも甘い。…なにより美しい!!😭❤️
きゅんきゅんしながら追ってます🙏
目が離せない(´;ω;`)✨
菫さ〜ん😭💕
めちゃめちゃ嬉しい感想ありがとう🥹💕
続きをがんばるパワーチャージできました😍❤️がんばるね❣️