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三十八話目 道中

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 俺たちはルートビアの塔が近くにある街へと歩いていた。
 その道中、

「なあペレス殿、ルートビアの塔に行く前に、ベムサカスまで来てもらうことはできないだろうか?」

 レミがそう尋ねてきた。

「あー、なんか用があるとか言ってたけど、それか?  不老不死の呪いを解いてから行ってやるよ」

「と、解いてから?」

「それってダメだよ。だって解いたら、ペレスさん死んじゃうんじゃないの?」

「解いたらすぐ死ぬってわけでも、ねーんじゃないのか?  呪いが解けたら、あとは普通に肉体が老化して死ぬって感じじゃね?  まあ、呪いを解いたことないから、分からないけど」

「いやいや、解いた瞬間、白骨化して、死ぬ可能性もあると思うわ」

 アイシャがそう言ってきた。

「そうなる可能性もあるか。そうなれば自殺する手間が省けていいんだけどな」

「よくない!  そうなったら、アタシたち任務失敗になっちゃうよ!」

 アイシャが焦りながら言ってきた。
 そもそも俺を連れていかなければならない任務ってなんなんだ?  そういえばこいつら冒険者って言ってたけど、本当なんだろうか?  まあ、別にどうでもいいっちゃいいけど。

「ペレス殿、今回のルートビアの塔で青の賢者に会った後でいいので、ベムサカスまで来てくれないだろうか?」

 レミが再びお願いしてきた。

「分かったよ。一応約束だからな。青の賢者に会った後は、お前らの用事に付き合ってやろう」

「かたじけない」

 そして、しばらく歩いて、ルートビアの塔が近くにある、ロウウィンへと到着した。


 ○



 一方その頃、解放された母とバラシアは一緒にいた。

 そこで、バラシアはメレサに事情を色々説明した。
 ペレスのことや助けられた経緯、暴虐王を倒したこと、全て説明した。

「バラシア。あなたペレスさんと一緒に行きなさい」

 全て説明をした後、バラシアはメレサにそう言われた。

「え?  いや、私はお母さんと一緒にいたいですし」

「助けられたお礼に手紙を渡すだけではダメだわ。直接、青の賢者さんのところまで案内して紹介して差し上げた方が、話もしやすくなるでしょう」

「そ、それはそうですが」

「ルートビアの塔はすこし面倒な仕掛けがある塔でしたでしょう?  手助けにもなりますわ」

「しかし、久しぶりに一緒にあったのに、すぐ離れたくは……」

 バラシアがそういうと、メレサは少し呆れたような表情を浮かべ、

「バラシア。あなたもう三十歳は超えているわよね。ドラゴンとしてはまだまだひよっこもいいところの年ですが、母親に甘えるような年頃でもないわ」

「う……」

「それにあなたも、そのペレスさん?  という方とは一緒にいたいのでしょう?  彼の話をするとき少し嬉しそうだったじゃない」

「な、なな何を言っているのですかお母さんは!  そんなことはありません!」

「本当?」

「本当です!  ……まあ、確かに手紙を渡しただけでは、礼になるのか少し不安に思っていたので、ここはお母さんの言う通り行きます」

 バラシアがそう言うと、メレサは少し笑いながら、「行ってきなさい」と言った。

「何を笑っているんですか」

「笑ってないわ。気のせいよ」

 そういいながらメレサの顔は少しにやけていた。
 バラシアは少し顔を赤らめて、

「全くお母さんは……じゃあ行ってきます」

「気をつけてねバラシア」

「……はい」

 バラシアはそう返事をして、ペレスたちの下へ向かった。



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