1万年生きた不老不死の俺、死ぬ方法を探して旅してたら何故か英雄になってた

未来人A

文字の大きさ
上 下
37 / 47

三十七話目 新たな旅へ

しおりを挟む
 俺たちは母親ドラゴンのメレサの下まで案内された。

 バグダムドはだいぶメレサをぞんざいに扱っていたみたいで、牢獄まで案内された。

 奥の方にある一際大きな牢に翼の生えた人化したドラゴンの姿があった。

 身体中に傷があり、右腕がなくなっている。さらに全身に鎖で縛られている、身動きが取れないような状態になっている。

「お、お母さん?」

 バラシアが少し震えた声でそう言った。
 このドラゴンがバラシアの母親のメレサみたいだ。

「……あら、バラシアじゃない。久しぶりね。どうしたのこんなところで」

 なんか思ったより平気そうだな。
 痛みの感じるものにとって、この状況はかなり良くないものだと思うんだけど、そうでもないのか?

「お母さん!  今、出してあげます!」

 バラシアは魔法で牢の鍵を開け、さらに魔法でメレサにかけられている鎖を魔法で断ち切り、メレサを解放した。

 その後、怪我を魔法で治す。全身の怪我がすぐ治り、さらになくなっていた腕も復活した。体の欠損を治す回復魔法を使えるとはなかなかやるな。

「おー、手が治った。相変わらずバラシアの魔法はすごいわね」

 相変わらず飄々とした態度でメレサは言った。

「お、お母さん。あのー。ようやく牢から出られて、さらに娘に会えて、もっとこう反応はないのですか?」

「ドラゴンたるもの、いついかなる時も平常心でいる必要があるのよ」

「……あ、相変わらずですね」

 メレサは結構変わっているドラゴンだったようだ。

「ところで、こちらの人たちは?  えーと……そっちの子は……もしかしてマシャかい?」

「う……」

 マシャはなにやら顔を赤らめて挙動不審な態度になっている。

「前にあった時はかなり小さい頃だったけど。ずいぶん大きくなったね」

「お、お母さん……お母さん!」

 マシャは涙を流しなら、メレサに飛びついた。

 そのまま、わんわんと泣き続ける。メレサは少し困ったような表情でマシャの頭を撫でている。

 その様子を見ていると後ろから、

「なあ、ここは空気を読んで我々は一旦出た方がいいんじゃないか?」

 と小声でレミが言ってきた。

「何?  今から約束を果たしてもらうつもりだったのだが」

「そ、それはさすがにダメだろう。空気を読め!  色々つもる話もあるだろうから、それが終わってから聞けばいい」

 まあ、たしかに今話してくれと言っても、話してはくれなさそうだではある。
 仕方ない。ここはレミの言う通りにするか。

 俺たちはそのまま牢獄を出た。

 退出してからしばらく経過し、

「お待たせしました。気を利かせてくださりありがとうございます」

 そうバラシアが言ってきた。

「礼はいい。早速、俺にかかっている不老不死の呪いを解くための方法を教えろ」

「分かりました。教えましょう。呪いを解く方法を知っている可能性のある人物を紹介します」

「誰だ?」

「この国から近くにあるルートビアの塔におられる、青の賢者リース・ハルバート殿なら、呪いを解く方法を知っているかもしれません」

「あ、青の賢者だと?  もしかしてそれが手がかりか?」

「はい」

 バラシアはキョトンとし顔で頷いた。

「はいじゃねー!   青の賢者に聞きに行こうなんて発想は最初からあったつうの!  これじゃあ完全に働き損じゃねーか!」

「そ、そうですか。いや、でもリース殿は少し気難しいお方なので、初めての方が簡単に会話することは不可能なのです。私が紹介状を書けば話をできるかもしれません」

「……なるほど……働き損ではないようだな」

 バラシアはそのあと、城から紙を貰い書状を書いた。

「これを青の賢者に渡せば話を聞いてもらえるでしょう。青の賢者には昔かなり良くしてもらっておりました。私が嫌いではない数少ない人間の1人です」

 俺はバラシアから手紙を受け取った。

「あの改めてお礼を言います。母を助けてくれてありがとうございました。母を殺してさらに酷い目に合わせた人間は、好きになれませんが、ペレスさん……あなたのことは……その……えーと……」

 バラシアはそこまで言って口ごもった。

「俺のことがなんだ。はっきり言え」

「な、なんでもないです!  旅の安全を祈っております!」

 少し慌てながらバラシアはそう言った。

 俺たちはその後、城を出てバラシアと別れ、青の賢者に会いに行く旅を始めた。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...