「秘密の毒林檎」

C.B

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 マスコミは警察病院が完全に封鎖されていたため、閉められた門から先には入れなかったが、事件は遠目からリアルタイムに報道され、上空には数台のヘリも飛んでいた。そんな中、一人の白衣を着た黒ぶち眼鏡の男が、事件現場の病棟の裏口から足早に出て来ていた。

秘密毒64
 男は辺りを気にしながら、塀伝いの庭の藪をかき分けフェンスの壊れた箇所から外へ抜けると、路地に止めてあった車に滑るように乗り込んだ。
「上手くいった? 出すわよ」
 運転席の女が言うと、車はすぐさま発進した。
「うまくいってるはず!」
 パンパンと手を叩き、神頼みした男。
後部座席から携帯パソコンを取り、胸ポケットから出した小さなメモリディスクを差し込んだ。
「うっしゃー」
 パソコンに立ち上がった画質の悪い映像を、ドライバーに向けると、
「音は?」
 女はチラッと見て言った。
ヴォリュームを上げると、音も良くなかったが、しっかり録音されていた。
「ふぅ~ 危ない橋渡った甲斐があったな…」
 映像は鞠絵たちの部屋で起こった一部始終を映し出していた。
男は、特殊機動部隊が出払った部屋のパソコンから、データを盗み出してしいたのだ。
「金一封出たら山分けだからね? 覚えといてね~」
「もっと、良いご褒美もねあるよん」
「またぁー? どっちにとってのご褒美なのか分かったもんじゃないけどね~ ウフ。データ送ったらどっかでする~?」
「勘違いしてるよ? ほら、美容と健康のご褒美。最近流行ってんだろ。これ喰うの」
 男は転がっていた無花果を一つ持ち出していて、その先を使い女の胸を撫で上げた。
「あぁん♪ 運転中~ な、何よこれ! バカーッ」
 無花果は女の膝に落とされていた…。
「データ送信完了! そして、連絡っと。ホテルならいつもの所でいいよ。シャンパンも頼むか? ふふふふ」
「はーぃ♪」
「あ。もしもし、デスクですか? 野田です。大スクープです!専用サーバーのメーラー見てもらえますか? はい。待ちます。待ちますよー(ホテルに入るまでは~♪)」
 男は挿話口を押さえて女に言った。
「タヌキハゲおどろくぞー うわっははっは」
『今見てる。 こりゃすごぃ… 早速お前を首にしてやる!』
「えぇーーー 興奮しすぎて違うこと言ってませんか? それ、あの部屋の一部始終ですよ! すぐ流さないとスクープがぁー 金一封がぁー!」
『アホかぁーこんな間近で撮影できる局がどこにあるってんだ! これは、警察のデータベースから直に引っこ抜いたに違いない! 完全な違法行為だー! お前は今日限り首ぃー…その上で話しがある…この件は内密にしといてやる。どするぅ?』
「あぅううう あううううう あぁあああーー!」
『あん? 野田どしたー? それ全部記事にしろ、そしたら退職金代わりに買ってやる、下請けに職用意してやってもいいぞー
おぃこら返事しろ!』
 携帯は後部座席に放り投げられ、デスクの声がしていた。
「あぶない! 前見ろぉー」

秘密毒65
 今にも対向車線に乗り出しそうだった車に慌てた野田は、ハンドルをつかんでいた。
「何やってんだ! 百合美」
「あぁあああああ~ やめてやめて!」
 女は居るはずの無い第三者に、背後から目隠しされ、
「クフッ みーつけった。次はお前の番♪」
 囁かれていた!
「そのコンビニで止めろ! おい! まだ死にたくねぇー」
キキキキィー
 車は言われた場所で無事に止まり、かじられた無花果が足元に転がっているのが見えた。
「無花果喰って事故りそうになったんかー?! カンベンしてくれよー」
「うふ♪」
「ぇ? おぃ まだ早いって、嫌いじゃないけど、人が見てるってこら あっ♪」
「頂戴。ほしーの、これがほしぃーのぉ~」
 百合美は後部座席に移り、野田の座席を倒すと無理やり”シックスナイン”の形を強要していくと、素早く男の”あれ”を取り出し、パンツの上からベロベロ舐めていった。
「早く中にぶちこんでー 我慢できない! あぁあああ」
 女は既に、謎の男に後ろから突きまくられ、
「もっとおかしくなれ、公衆の面前で淫乱なメス猫になれ。みんながやりたがっていても出来ない、快楽の化身になれ! ぐふふふふふ」
 身体をぐねぐね揺らしていた。



 千代は、連行されていく犯人と思われる人物たちが、それぞれ、ジャンパーをかけられているのをすぐそこで見ていたが、その中のボロボロのストッキング姿の女性を見て、驚いた。
「なぜ?!」
 近寄ろうとしたが、警官たちに遠巻きに静止され叫んでいた。
「先生! 京香せんせい! いったい何が! 何が起こったんですかー」
「千代ちゃん? アオリンゴに… あの部屋に気をつけて!」
「え? なんですか、もう一回!」
 低空飛行したヘリの音でで聞き取れず、京香たちはパトカーではなく、特殊機動部隊の乗って来た真っ黒い装甲車まがいのミニバスに乗せられていった。
『アオリンゴ? あの部屋? 部屋へ行けば分かるの?』
 千代は踵を返し、駆け出そうとして…こけてしまい、まだ持っていた無花果を潰してしまった…。
「ベッチョリー きーもちわるぃ~ でも、医療現場勤務の私には、こんなもの屁でもないわー 美味しそう!」
 潰れた無花果を摘み上げ、ペロペロ舐めてしまった! そして千代も、現れた何者かに驚き、舐め上げる車中の由里美の舌と、同期してるような動きで唇を舐め上げ、あの部屋へ行くよりも早く”秘密の果実”の味を身体で知ってしまっていた…。

秘密毒66
「んー 調子に乗って現場まで来てしまったけれど。帰ってすぐは寝れそうに無いなぁ・・・」
 遅れてトイレに入ってきた古田が言った。
「・・・俺も、何がなんだかさっぱりです・・・きっと薬物ですよ。あいつらの血でも調べたらハッキリするでしょう」
「おぉー 元気いいねぇ~ 無理矢理下向きにして。大変そうだ」
「うわっちょっ!何覗いてるんですかー!」
 先に用を足していた稲葉のあれを見た古田が言った。
「こーいう事件のあとだ。私も元気よすぎて苦労した覚えがあるねぇ。若いって素晴らしい♪
今となっちゃ、薬に頼らないと元気になろうがないし、薬も試してみたけど、しょっちゅうやったんじゃ身がもたないって医者に言われてねぇ・・・男としての役割が無くなったかと思った時は人生真っ暗になったよ・・・。
君は”それ”で奥さんとか鳴かしてんだろう?羨ましいねぇ~けっこうけっこう。ぶはははは」
 古田は話し切ると、やっと用を足し始めた・・・。
「俺まだ独身です!」
 そう言いながらひょいっと、首をかしげる稲葉は、
「うわっでかっ!」
「ヒーヒー言わせてるの古田さんでしょー? 自信無くしちゃいますよ・・・」
 お返しだとばかりに、古田の”あれ”を覗き返していた。

秘密毒66-1
「何言ってんだ。私のはもうびくともしない・・・ 最後にえっちしたのいつだったっけか・・・ んぁ!」
 そそり立っていた。
『えぇえええええええ!!』
 古田のでかい一物は、真上に小水を撒き散らしていた。
「わわわわー なにやってんすか! ボケじーさんかあんたは! きったねーなぁもう まさか、あんたもさっきの警官と同じにおかしくなったんじゃないでしょうね!」
「違う違う!スマン。スイマセーン!わはははは」
 稲葉はとっさに離れ、手洗い場にへばり付いていた・・・。
「と、とにかくですね!古田さんが、病院出るまで私が警護しますから、アホなことはしないで下さいよ」
「わ!わっかりました! でも、一回だけ叫ばせてくれ~♪」
「ダメです」
「はぃ・・・」
 立たなくなってから久しい自分のあれが、昔のままのように痛いほど硬くなってるのを身体で感じ、
『ウォ~~ン ワァオーーン!かーちゃーん!』
 古田の”男”が目を覚まし、心の中で狂喜していた。
「おい稲葉! あの部屋へもう一回だけ連れて行ってくれ頼む!」
「こら! おっさーん!」
 トイレを出て行こうとした稲葉は、古田の洗ってない手で肩をつかまれていた・・・。

*秘密毒67

『ねぇ鞠絵ちゃん気づいてた?』
 麗子が小声で囁いた。
『なにが?』
『あの隊員たちずっと、前かがみなのよ・・・』
『それがどうかしたの?』
『病室出る時からずっと、・・・勃起させてる』
『アハ~ でも、こーいう人たちって常に危ない仕事と向かい合ってるから、そういうこともあるんじゃない?』
『あんなことがあったばかりだからさ・・・ 変になった警官っだって気絶してるから大人しいだけで、今もおかしくなったままなんじゃ・・・』
『怖いこと言わないでよ。いったい病室で何があったの? なんで、逮捕されてるの? 訳が分からないよぉ』
 物々しい装備の特殊機動隊員たちに、重犯罪者並みに厳重に連行されている四人は、最後に発狂したような五人目の警官とは離された席で、固まって座らせられていた。
『何が起こったのか私も知りたい・・・』
 力無くうなだれる京香がぼそりと呟くのを見た鞠絵に、
『本当に寝てたのね・・・』
 麗子が言った。
『ごめんなさい・・・』



 さっきまで居た病室の入り口には、キープアウトの黄色いテープが幾重にも貼られていたが、警官に言って剥がさせ、中へ入った。
「何か気になったことでもあるんです?」
「これだこれ」
「何する気ですか?」
 古田は、鞠絵が使ったスリッパを探していたらしく、ブンブン振り回しはじめ、
「・・・とどのつまり、常識じゃ何も分からないってこと」
 自分の頭を叩いてしまった!
「イテッ! 普通に痛いだけか・・・ふーむ」
「いい加減にしてください!あなたはもう現役じゃないんです!あんたと一緒にいると、こっちの首が危うい」

秘密毒67-1
「ちょっと私を叩いてみてくれない?」
「なっ・・・(こいつ、いかれてる) おぃ誰か呼んでこの方を自宅まで送り届けてくれ! いいかー厳重にあくまで丁重にだー」
「はい。了解しました」
 見張り役の警官に指示し、隙を見せた稲葉に、
「お前は若すぎてなーんも分かってないんだ・・・これは奇跡なんだ!」
 スリッパを振り下ろした!
「ふっ 甘いわー! おっさーん」
 さっと避けられてしまった・・・。
「ギャッ」
「まだおっ立ってるな? 私のもビンビンなんだよ! 幾らなんでもおかしすぎだろー」
「きさまー! ぁだめ。嘘。ぁやめて あぁああ」
 が、一枚上手の古田は、稲葉の股間を力一杯つかんでいて、スリッパで彼の頭を叩いた。



『あのね、それとね・・・ とても、聞きたい事があるの。でも、どう聞いていいのか分からない・・・』
 急にうつむいて話し始めた麗子だった。
『どしたの?あなたらしくないわ』
『いつから?』
『え?』
『・・・果物のこと』
『・・・・・・・・・』
 鞠絵の顔色が変わり、過去に起こった情景をまざまざと思い出してしまっていた・・・。
『やっぱり・・・』
『・・・うん。誰にも相談できなかった・・・』
 今度は鞠絵が口ごもり、
『全部話して、私はあなたの味方』
 麗子が彼女の膝に置いた手を強く握った。
『大丈夫。俺も味方です。
俺も、見てしまったんです・・・。
信じられない光景が目の前に現れたんです、謎の人物によって・・・
これだけ言えば信じてもらえますか?』
「聞かせて、全部」
 麗子は静かな口調で話した。
後ろの席に座っていた木村も、身を乗り出し鞠絵を見ていた。
「私語は謹んでもらいましょうか?」
 特殊機動部隊の藤原に睨まれ、三人はそれ以上話せなくなってしまい、鞠絵は麗子の手を強く握り返していた。

*秘密毒68

「その~あの~ですね。言いづらいんですけどぉ…表で堂々とですね…え、えええエチィなことしてる車が止まってるんですぅ~”あれ”です!そうです…男女の営みを平然と公衆の面前で!商売の邪魔になるって注意しても止めないんです!はい。すぐ来てください!」
 もう一回中を覗きたかったようなそ振りの店員だったが、真っ赤な顔のまま携帯を閉じた。
「おぃ!なんで110番なんかすんだよ!こんなのめったに拝めないぞー。しっかしたまんねぇーな~ヒョヒョヒョー♪ おわっ!さっきのニュースで流れてない映像が流れてる! おぃ福沢こっち来て見てみろって!」
「おまわりさーん。早く来てー」
 通報したバイトは道路沿いに駆け出したが、深夜組のもう一人のバイトは、真っ最中の行為を車の窓という窓から体制を変え喰らいついて見ていた…。
パパーン!
 その時、クラクションがふいに鳴り響き、覗いてるバイトに尻餅を突かせると、今の今までギシギシ揺れていた車が急に止まってしまった…。
「もっかいして! 疼くの。あそこがギュンギュンしまくってーたまらないの~お願い!」
 起き上がろうとしたバイトが尻を押さえながら顔を上げると、声の主と目が合い固まってしまった。
「ぁ…」
「お願い!」
 おもむろに開かれたドアから、後ず去ろうとするバイトを無理やり引きずり込み、
「おっ 来た来たやっと来てくれた。パトカー来ましたよ先輩! あれどこいった?」
 またすぐに車は揺れ始めていった…。

*秘密毒68-1

「何もかも知ってます…。あたしも、京香先生と同じになりたい…あたしは、京香先生を愛してます…でも、この気持ちは、拒否されてしまうに決まってる…だから…あの人と同じことして…いつかあの人と一緒に…」
 千代の倒錯した思いは歪みはじめ、そのはけ口を京香の愛人の元へと向かわせていた…。
「ふぅ~。何を言い出すかと思ったら。そーいうことか…全て知ってるなら話しは早い…と、言いたい所だが今は事件中で少々やばい…。私の持ち物になりたいならそこで立ったまま証明して見せなさい…分かるね?」
 豪華な家具が並んだ院長室のデスクで関係者やら、ひっきりなしにかかる報道陣かららの電話の対応に追われていた院長だったが、電話機のコードを引き抜き、プラプラ揺らし始めた…。
「早くしろ!」
『あぁ…』
 返事もしないまま身体を書棚にもたれさせ、突き出した股に手を滑らせていった…が、
「んぁああ」
『くふふふふふふふ』
 その手は謎の女につかまれ、そこへ導かれていたのだ…。千代の可愛い顔を長い舌で舐め上げる女は哂い、囁き続けていた…。
『…叶わぬ愛を望む可愛そうなメス… ならば、同化しろ。慕う京香様と同じになれ! ほーら、あいつのあれが、憧れのあの人を狂わせているんだ…。
羨ましいんだろう? ほんとはお前がそうしたいのだろう? くふっ』
「あぁああああああ~」
 目を固く閉じ悶えていた千代が薄目を開くと、院長は自分のあれをチャックから出し、ゆっくりしごいているのが見えていた…。

*秘密毒69

「大原さん警備室の監視カメラ見て来ましたが、彼らの言う怪しげな人物はどこにも!見当たりませんでしたよ… 一応、データはコピーを貰ってきました」
 稲葉はそう言うと、データディスクを後部座席に放り投げた。
「嘘ってことか…あれ?古田のおっさんはどうした?」
「丁重にお帰り願いました。はい…」
「そうか。こっちも、加賀谷さん誘拐未遂事件の犯人たちは、どうやら包囲網かいくぐりやがったらしいって連絡が入ったとこだ…。ところで、おっさんなんか言ってなかったか?」
「特に何も…あ、でも、ちょっと言いづらいんですが」
「どした?」
「かなり言いづらいんですよ…この話しはここだけにしといて貰えませんか?」
「ん?」
 背の高い稲葉は、乗って来た車で無線連絡を聞いていた大原に、身を屈めて話した。
「鬼?猿!犬!雉!で、鞠絵ちゃんが鬼かもしれないってそう言ったのか? そりゃ逆だろう? ももだろう…桃太郎ーーー!なーちゃってな~ギャッハッハッハ」
「…(ここにも、親父がいやがった!)まったく奇跡だって言いながら人の頭叩くわ、挙句の果てに私のあれ潰されかけました…。それはともかくですね!去り際の鬼発言には参りましたよ、馬鹿馬鹿しい!そんなのがこの世にいる訳が無い…ったく…」

秘密毒69-1
「ばーか。鬼は居るんだぜ?」
「えぇ? まさか、大原さんまで…」
「まぁ、嘘つきたちをこらしめて、誰がほんとの鬼なのか見極めに行くとするか。行くぞ!」
「あぁ。そーいう意味の鬼か。納得」
 稲葉が助手席に乗リ込むと、車は病院を後にした。



 自宅に戻らされた古田は帰って来てそうそう、そこを妻に見せつけたが、尻を蹴られつんのめっていた。
「馬鹿はやめなさーーぃ!」
「いや、違うんだかーちゃん。人の話しを黙って聞けって!」
「そんなとこ出して何やってるんですかーはしたない!あなたは仮にも元刑事!恥を知りなさーい!」
「さっきは、さっきまで昔みたいに元気だったんだー 見せたかっただけなんだ! おぃこら、さっきの勢いはどこいった?」
 いつの間にか縮こまっているあそこに、声をかける古田だった…。
「いい加減にしてください! パトカーで送られて来たと思って心配させたと思ったら、今度はハレンチ行為ですかー! 警視総監賞が泣いてますよ!」
 古田の書斎には、至る所に賞状やトロフィーが飾られ、それらは全て現役時代の思い出となってしまっていたが、それらの栄誉たちの前で、さっきまで元気だったあれが、ふにゃふにゃになってしまたのを嘆き、元に戻そうと必死で揺らしていたのだ…。

秘密毒70
「そ、そんなこと言うお前だって、声上ずってないか~♪ ほんとは久々に。最近の流行ってる言葉…なんだっけ?そうだ!萌え~なんじゃ?」
「な? 何をおっしゃってるの…勝手に燃え尽きてください!」
 奥さんは頭から湯気を出し、肩を怒らせ出て行ってしまった…。
『くぅー 男ってアホだよなぁ…この歳で元気になっても、愛しい人に拒否されたんじゃ虚しいだけ… 風俗行ってもなぁ… ハァ…』
 そう思いながら、毎日健康のために食べてる林檎を一つ齧り始めた。
すると、そこへ奥さんがしかめっ面したまま戻って来た。
「あら? もう食べてるんですか…用意してたのに。フンッ!」
「あー怒りながらも私を気遣ってくれる優しいお前が好きだよ~ 愛してるよかーちゃーんんん ん? なんで、わし、林檎持ってるんだ?」
 小皿に盛られ、兔の形に切られた林檎たち。手に持ってる林檎。
リビングへ戻ろうとしてる妻の背中を見ると、ふいにあそこがそそり立ってしまった。
「うわぁー こりゃあ あの部屋から失敬して来た林檎じゃーん! ウギャー ペッペッペ」
 そして、古田の前にも謎の人物が現れた。
「いつまでも、いつまでも。あなたは現役ですよぉ~私はいつまでも、あなたの女… さぁこっちへ来て。抱いてください」
 そいつは、赤ら顔の古田を手招きしている…。
「ぐぅううう ばかな。お前が居る筈無い! 鬼だ!ほんとに鬼が出た!…たまらん、身体が凄く熱い、こんなの嘘だ…ハァハァハァー」

秘密毒70-1
 幻覚か、白昼夢でも見てるのかと、あり得ない事を目(ま)の当たりにした古田は”鬼”かもしれないと口走り、齧った林檎を見つめ震えだした。
「そうか、これ食べたせいなのか! ウギャー」
「あなたぁ~はやくぅ~」
 現れたのは女だった。そいつは、戻って行く妻にまとわり付き、襟を大きくはだけさせ自分の乳房をぺロリと舐め上げた。
「おまえー妻から離れろ!」
 そいつは、初夜の時のまんま。妻の若かりし頃の姿をし微笑んでいる。湧き上がる欲情を押さえこもうとすればするほど、高鳴る鼓動に、うず高く積み上がった古いスクラップブックを次々に読み、邪念を消そうとしたが、顔を手で覆うと、
「だめだ。くらくらしてきた…はぁーあああああ まさか、俺はそろそろ死ぬのか?! まさか、死神!?」
 どす黒い鼻血が出てるのに気づいた。
「来て~あ・な・た~♪」
「うぉーー!」
 古田は、資料の山をなぎ払い、蹴散らすと妻の元へ駆け出していた! 部屋中に舞うスクラップブックやメモたちは、壁にぶち当たり落ちていった。
それは、古田が現役時代に関わった事件の捜査資料や、若い頃からコツコツ集めていた事件記事。その中の一冊から新聞の切り抜きがめくれ、黄色く変色した古い事件の見出しが見えていた。
【加害者を救った愛の林檎事件】
 小さな三面記事だったが、赤ペンで四角く囲まれていた。

秘密毒71
 追う古田は手を伸ばしたまま、ギョッとして顔を引きつらせた!
パソコンの中にある、仮想現実世界のキャラクター同士がいとも簡単に重なり合うのは、そういう仕様なのだと思えば、そーいうものなのだから。気にすることも無い…。だが、人が人と混じり合うという現象が、目の前の妻に起こりはじめていたのだ! 古田の足はすくみ、その様子を呆然として見つめていた…。鬼はふうっと浮き上がり妻の頭の上に顔を出し、無邪気に笑って見せた。
「うふ♪」
 あどけなさの残る少女は、あの時のままの笑顔で夫を見つめ、
宙に浮いたまま、彼の目線の高さで腰を落としていた。
人の中に人が入り込んでいると言うあり得ない姿で、伏目がちに呟いた…。
「…あなただけの果実。あなたに、もがれる為に生まれてきたの…」
 そこは、綺麗なピンク色で、艶っぽく潤んでいた…。
女は妻の身体に重なったままM字開脚の腰を突き出し、あそこに指をあてがい開いたのだ!
「たまらないよ…お前ぇ…」
 その姿に、古田はまた歩き始めた…。近づく気配に妻が振り向くと、生気のない赤ら顔にぼーっとした瞳。何かに取り憑かれたとしか思えない旦那様が居た。
「な! なんですのーあなた!」
「あなた…あなた…あなた…恥ずかしいよぉ…」
 妻と妻の声が重なっていく…。
「綺麗だよ…もう少し近くで見るよ?いいね?」
「あ~ん 恥ずかしいのに、もっと近くで見て欲しいのぉ~」
「ちょっと! キャッ あなた!ダメ!」
「ダメ~見ちゃだめぇ~イャーーーッ」
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