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それからの日々
とある朝
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「おはよ、トキ」
「あぁ…おはよう」
「じゃなくて!!」
あまりにも普通にソウがそうやって朝の挨拶を交わしてくるから、流されるようにして返事をするが我に返る。背中に生身の人間の体温を感じて、思わず赤面してしまう。忘れかけていたが、今はソウに抱きしめられてるのだ。
なんでもなさそうに目を擦るソウと現状の落差に頭がパンクしそうになる。
とりあえずソウの剥き出しの背中を引っ叩いて、ソウの覚醒を促した。
「いてっ。どうしたのトキ」
「どうもこうもないだろ!!お前、今の状況見てみろよ…!!」
「あぁ…二人とも裸なこと?ごめんね、昨日シャワーまではできたんだけど、服着せるまでの余力は残ってなくて…」
肩を落としながら頬を掻くソウに、また呆気に取られそうになるがなんとか踏みとどまる。
ソウに聞きたいのは、そういうものではない。
もっと、今の俺たちの関係を明確にするような…この行為に至った結末の答えを求めて、口を開いた時だった。
「お、お前…俺が好きだったのか?」
ポロリと出た言葉に、ミスったと直感で感じる。目の前のソウは、ただでさえぱっちりとでかい目を更に大きくしていた。
「あ…ごめ、やっぱなしで」
「なしになんかしないよ」
「え?」
俺の慌てての訂正の言葉を遮るようにして耳に飛び込んできた言葉に、今度は俺が目を丸くする。
そんな俺を見ながら、ソウは少しムッとしながら昨日の話をしだす。
「トキのこと、好きだよ!…っていうのは、昨日も言って今こうなってるんだけど…もしかして覚えてないの?」
珍しくこちらを責めるようなソウの視線に圧されて、首を横に振りそうになる。
それでも、俺はソウをあくまで友達だと思って接していたわけで…。
「お、覚えてな…」
「トキは俺と付き合うのは嫌?俺のこと、きらい?」
目前に、もはや暴力的なまでのソウの美麗な顔が迫ってくる。いつもの人懐っこそうな顔をシュンとさせて、こちらを覗き込んでくるソウに、言おうとしていた言葉を飲み込んでしまう。
その顔でそんなことを言うのは、ずるいんじゃないだろうか。本人が無自覚なのかどうなのかは知る由もないが、ちょろい俺は何も言えなくなってしまう。
「嫌…では、ない」
「やったー!!なら完璧じゃん!」
ニコニコと心底嬉しそうな笑みを浮かべるソウの横で謎の敗北感に襲われながらも、温かい気持ちが溢れていくのを感じる。
「これからもよろしくね、トキ!」
そうにっこり微笑むソウに、ぐぬぬと唸りながらも俺の中で何かが満たされていくのを感じていた。
「あぁ…おはよう」
「じゃなくて!!」
あまりにも普通にソウがそうやって朝の挨拶を交わしてくるから、流されるようにして返事をするが我に返る。背中に生身の人間の体温を感じて、思わず赤面してしまう。忘れかけていたが、今はソウに抱きしめられてるのだ。
なんでもなさそうに目を擦るソウと現状の落差に頭がパンクしそうになる。
とりあえずソウの剥き出しの背中を引っ叩いて、ソウの覚醒を促した。
「いてっ。どうしたのトキ」
「どうもこうもないだろ!!お前、今の状況見てみろよ…!!」
「あぁ…二人とも裸なこと?ごめんね、昨日シャワーまではできたんだけど、服着せるまでの余力は残ってなくて…」
肩を落としながら頬を掻くソウに、また呆気に取られそうになるがなんとか踏みとどまる。
ソウに聞きたいのは、そういうものではない。
もっと、今の俺たちの関係を明確にするような…この行為に至った結末の答えを求めて、口を開いた時だった。
「お、お前…俺が好きだったのか?」
ポロリと出た言葉に、ミスったと直感で感じる。目の前のソウは、ただでさえぱっちりとでかい目を更に大きくしていた。
「あ…ごめ、やっぱなしで」
「なしになんかしないよ」
「え?」
俺の慌てての訂正の言葉を遮るようにして耳に飛び込んできた言葉に、今度は俺が目を丸くする。
そんな俺を見ながら、ソウは少しムッとしながら昨日の話をしだす。
「トキのこと、好きだよ!…っていうのは、昨日も言って今こうなってるんだけど…もしかして覚えてないの?」
珍しくこちらを責めるようなソウの視線に圧されて、首を横に振りそうになる。
それでも、俺はソウをあくまで友達だと思って接していたわけで…。
「お、覚えてな…」
「トキは俺と付き合うのは嫌?俺のこと、きらい?」
目前に、もはや暴力的なまでのソウの美麗な顔が迫ってくる。いつもの人懐っこそうな顔をシュンとさせて、こちらを覗き込んでくるソウに、言おうとしていた言葉を飲み込んでしまう。
その顔でそんなことを言うのは、ずるいんじゃないだろうか。本人が無自覚なのかどうなのかは知る由もないが、ちょろい俺は何も言えなくなってしまう。
「嫌…では、ない」
「やったー!!なら完璧じゃん!」
ニコニコと心底嬉しそうな笑みを浮かべるソウの横で謎の敗北感に襲われながらも、温かい気持ちが溢れていくのを感じる。
「これからもよろしくね、トキ!」
そうにっこり微笑むソウに、ぐぬぬと唸りながらも俺の中で何かが満たされていくのを感じていた。
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