性癖短編集

くろ

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おもてなし女

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平日の昼間から、僕は部屋の真ん中で椅子に座り、大口を開け天井を見上げていた。
昨日泊まった旅館の料理は最高だった。特に、ゆずの効いたナマコ酢は絶品で、いくらでも食べられそうだった。担当してくれた仲居さんの対応も丁寧で、配慮の行き届いた『最高のおもてなし』を提供してくれた。彼女は若く、小柄で、僕好みの美人だった。匂いや声も魅力的で、五感のうち実に三つが僕を魅了した。あと二つ、味覚と触覚は未知の領域で、それを追求したい心にも後押しされ、ダメ元でナンパせずにはいられなかった。
そうして、そのナンパは奇跡的に成功し、今、僕は彼女と二人っきりで、ラブホテルの一室の中に居て、乳首を責められている。
服は着用することを許されず、目隠しをされ、いつ始まるのか分からない恐怖の中で、突然それは始まった。恐らく今、両方の乳首に指の腹を当てがわれ、少しばかりの圧を掛けられている。そして、今まさに、その指は捏ね繰り回すように円の動きを始めた。摩擦の快ではなく、内部の神経を揉みほぐすような快だった。男なのに、情け無い声が漏れてしまう…
抵抗をしようにも、後ろ手に縛られ、両足も椅子の脚に縛り付けられていて、身動きが取れない。
大きく開いた口角から、涎が流れ伝う感覚がしたが、そんなものに構っている余裕は無かった。

「ジュルジュル………」

顎まで垂れ落ちそうになった涎が、生暖かいネットリとしたナマコのような感触に、音を立てて掬い上げられる。
ナマコは、熱い吐息に後押しされるように、そのまま頬をくすぐったく伝い、耳の縁を彷徨い始めた。その動きは段々と耳の中心部へと向かい、吐息の熱を絡めた粘着質なボリュームを接近させていく。耳の穴の内部に生暖かいヌメリが蠢きながら挿入を始めた。水中に潜ったみたいな音がして、全身がゾクゾクと身の毛のよだつような感覚に包まれていく。

下半身でそそり立つアイツは、空を掴まんとするかのように固く揺らめき、時折腹にその先端を触れさせ、濡れた感触を伝えてきた。

「ジュルジュル………」

また顎まで垂れ落ちそうになった涎が、生暖かいナマコに掬い上げられる。
今度は大きく開けられた口内へと、彼女の控えめな喘ぎと吐息を引き連れたナマコが流れ込んできた。脳内に真っ白な霧が掛かったような錯覚が生じ、唇が震える。

ナマコ同士が干渉し合い、粘着の感触を体内に響かせる。柑橘系の刺激に似ていた。それは唾液の分泌を促し、更なる分泌を求める貪りを誘発した。貪ればまた唾液は分泌され、それがまた貪りを誘発する。
少しでもアイツをしごいてくれさえすれば発射できるのに、彼女はそれを許してくれない。
圧を掛けていた指先が両方とも離れる。僕は期待した、その手が下半身に伸びてくれることを。
次の瞬間、脳の奥を驚かすような、くすぐったい刺激が両乳首を下から跳ね上げた。今度は、指先で掬い上げるような摩擦の刺激だった。
口内では粘膜同士が絡み合い、分泌された唾液が溢れ、下顎から胸の辺りまで伝っていった。狙ったかのように彼女の指先がその唾液を獲得すると、潤いを帯びた丸い刺激を身に纏い、今度はヌルヌルとした往復の摩擦を始めた。
舌の自由を奪われた口内から否応なしに「アヘ!アヘ!」という、自分でも恥ずかしくなってしまうような、死に間際に命乞いでもするみたいな鳴き声が漏れ出た。

指の動きが速まり、圧も強くなってきた。それは、外部を摩擦する刺激と、内部の神経を揉みほぐす刺激とを織り交ぜた、『最高のおもてなし』だった。椅子がギシギシと軋む。恥ずかしい鳴き声に逼迫感が増していく。

「ジュルジュル………」

口内のナマコが絡み合って吸い合う音が響き渡った。脳内の真っ白な霧が、更に色濃くなっていく。下半身で直立する肉の塊が、バネの動きで何度も腹を叩きつけようと跳ね上がり、先端から溢れ出す涎を太ももや下腹にばら撒いた。ヌメリを帯びた二本の指先が追い打ちを掛けるように”クチュクチュ”と音を立てて転がり続ける。

「アヘぁ!!!」

情けない鳴き声が、射精の快の中に恥辱のスパイスを絶妙に織り交ぜた。
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