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すれ違い 3
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「ヴァレン兄さんがおかしい」
片付けの最中、ブラムがきっぱりとした口調で宣言する。
アルンとコリンも頷くが、もともとヴァレン付きだったティムだけがきょとんとした顔をしていた。
「ティム君、ヴァレン兄さんは前からあんな感じだった?」
「え? えっと……あんな感じっていうのは……」
アルンの問いかけに、ティムはしどろもどろになる。
「賭博王にして酒豪王のヴァレン兄さんは、前からあんなにおとなしかった? 飲み比べとか、賭博に明け暮れていたっていうことはなかった?」
「あ……あの……確かに、前は飲み比べでお客を潰したり、賭博で何かを巻き上げたりっていうことはありました……」
ティムの答えに、アルンは考え込む。
アルンたち三人がヴァレン付きになってから、ヴァレンが飲み比べや賭博をするようなところは見たことがない。
ここのところ、すっかりまともそうだ。
「それなら……って、ティム君? 顔が赤いよ?」
「ちょっとごめんね……あ、熱があるかも。休んだほうがいいよ」
アルンが指摘すると、コリンがティムの額に手を伸ばした。熱を確かめたコリンは、アルンとブラムにも同意を求めるように振り向く。
「そうだね。早めに寝たほうがいい。片付けは僕たちに任せて、もう休んだほうがいいよ」
「うん、俺たちに任せて休みなよ」
「え……あ、その……ありがとうございます」
アルンとブラムが促すと、ティムはちょこんと頭を下げて、言われたとおり、部屋に戻っていった。
後には、元ミゼアス付きの見習いたち三人だけが残された。
片付けの最中、ブラムがきっぱりとした口調で宣言する。
アルンとコリンも頷くが、もともとヴァレン付きだったティムだけがきょとんとした顔をしていた。
「ティム君、ヴァレン兄さんは前からあんな感じだった?」
「え? えっと……あんな感じっていうのは……」
アルンの問いかけに、ティムはしどろもどろになる。
「賭博王にして酒豪王のヴァレン兄さんは、前からあんなにおとなしかった? 飲み比べとか、賭博に明け暮れていたっていうことはなかった?」
「あ……あの……確かに、前は飲み比べでお客を潰したり、賭博で何かを巻き上げたりっていうことはありました……」
ティムの答えに、アルンは考え込む。
アルンたち三人がヴァレン付きになってから、ヴァレンが飲み比べや賭博をするようなところは見たことがない。
ここのところ、すっかりまともそうだ。
「それなら……って、ティム君? 顔が赤いよ?」
「ちょっとごめんね……あ、熱があるかも。休んだほうがいいよ」
アルンが指摘すると、コリンがティムの額に手を伸ばした。熱を確かめたコリンは、アルンとブラムにも同意を求めるように振り向く。
「そうだね。早めに寝たほうがいい。片付けは僕たちに任せて、もう休んだほうがいいよ」
「うん、俺たちに任せて休みなよ」
「え……あ、その……ありがとうございます」
アルンとブラムが促すと、ティムはちょこんと頭を下げて、言われたとおり、部屋に戻っていった。
後には、元ミゼアス付きの見習いたち三人だけが残された。
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