57 / 136
夢は森の香り 1
しおりを挟む
のどかな陽気に誘われて、ミゼアスは木立の並ぶ通りをぶらぶらと散歩していた。
時間は昼過ぎ、見習いたちが学校から帰ってくるまでにはまだ間がある。帰りにお土産でも買っていこうかと思いながら、ミゼアスは一人で散策を楽しむ。
しかし、途中のベンチに見覚えのある姿が座っているのが見えた。
「ごきげんよう、ミゼアス。良い天気ですね」
「やあ……何、しているんだい?」
にこやかな笑顔を浮かべ挨拶してくるエアイールに、ミゼアスは訝しげな視線を送る。
「今日は天気も良いので、あなたがここに来るかと思いまして」
エアイールは穏やかな笑顔を崩さない。
「……待ち伏せしていたのかい。何か用?」
「待ち伏せとは人聞きの悪い。あなたに贈り物があるのですよ」
そう言ってエアイールは一本の小瓶を取り出した。手のひらに収まる大きさの、薄紅色をした硝子の瓶だ。中には液体が入っている。
「何だい、これ?」
「わたくしが調合した香油です」
「性交用?」
「はい」
ふーんと呟き、ミゼアスは小瓶を受け取って目の前で揺らす。香油とはいうが、あまり粘りはないようだ。瓶の中で液体がさらさらと動いた。
「きみがこの手のものを作るのが得意なのは知っている。媚薬入り?」
「はい。それなりに自信作です」
「へえ……ありがたくもらっておくよ。客かヴァレンあたりで試してみる」
「……どうしてヴァレンが出てくるのですか」
軽く眉をひそめるエアイール。
「ん? この間、お行儀の悪いことをしたお仕置きがまだだから。媚薬責めっていうのも面白そうかと思って。やっぱり基本は媚薬投与後に放置かと思うんだけれど、どう?」
「ああ……そういうことですか。そうですね。放置がよいかとわたくしも思います」
「だろう?」
「よろしければ、わたくしもお手伝いを」
「うーん……きみ、きっついだろうしなぁ……。今回でそれはさすがにかわいそうかな。ヴァレンがもっととんでもないことをやらかしたら、そのときは頼むよ」
「そうですか……では、ヴァレンが早くとんでもないことをやらかすよう、祈っております」
「祈らなくていいよ、そんなこと」
時間は昼過ぎ、見習いたちが学校から帰ってくるまでにはまだ間がある。帰りにお土産でも買っていこうかと思いながら、ミゼアスは一人で散策を楽しむ。
しかし、途中のベンチに見覚えのある姿が座っているのが見えた。
「ごきげんよう、ミゼアス。良い天気ですね」
「やあ……何、しているんだい?」
にこやかな笑顔を浮かべ挨拶してくるエアイールに、ミゼアスは訝しげな視線を送る。
「今日は天気も良いので、あなたがここに来るかと思いまして」
エアイールは穏やかな笑顔を崩さない。
「……待ち伏せしていたのかい。何か用?」
「待ち伏せとは人聞きの悪い。あなたに贈り物があるのですよ」
そう言ってエアイールは一本の小瓶を取り出した。手のひらに収まる大きさの、薄紅色をした硝子の瓶だ。中には液体が入っている。
「何だい、これ?」
「わたくしが調合した香油です」
「性交用?」
「はい」
ふーんと呟き、ミゼアスは小瓶を受け取って目の前で揺らす。香油とはいうが、あまり粘りはないようだ。瓶の中で液体がさらさらと動いた。
「きみがこの手のものを作るのが得意なのは知っている。媚薬入り?」
「はい。それなりに自信作です」
「へえ……ありがたくもらっておくよ。客かヴァレンあたりで試してみる」
「……どうしてヴァレンが出てくるのですか」
軽く眉をひそめるエアイール。
「ん? この間、お行儀の悪いことをしたお仕置きがまだだから。媚薬責めっていうのも面白そうかと思って。やっぱり基本は媚薬投与後に放置かと思うんだけれど、どう?」
「ああ……そういうことですか。そうですね。放置がよいかとわたくしも思います」
「だろう?」
「よろしければ、わたくしもお手伝いを」
「うーん……きみ、きっついだろうしなぁ……。今回でそれはさすがにかわいそうかな。ヴァレンがもっととんでもないことをやらかしたら、そのときは頼むよ」
「そうですか……では、ヴァレンが早くとんでもないことをやらかすよう、祈っております」
「祈らなくていいよ、そんなこと」
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる