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06.賭博教室
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まずは簡単なカード賭博から始めることにした。
カードの組み合わせによって役の強さを競うという、ごく普通の遊びだ。
参加者はヴァレン、客、見習いたち三人の合計五人。本当はもう一人、もともとヴァレン付きだった見習いのティムがいるのだが、今日は風邪気味のために休ませている。
五人で卓を囲み、それぞれに飴玉が同じ数ずつ配られている。
本当に金を賭ける必要もないので、チップは飴玉で代用することにした。色とりどりの包装紙が可愛らしい、小さな飴玉だ。
「最初は俺が親をやるけれど、次からは勝者が親になります。まずは場代として、チップをひとつずつ出してください」
ヴァレンが促すと、全員が飴玉をひとつずつ卓の中央に置いた。
「で、次に親はカードを配ります。このあたりは普通に」
素早くカードを混ぜ合わせ、ヴァレンはそれぞれに配っていく。
手元のカードを見た参加者たちが、微妙に表情を動かす。ヴァレンも自分のカードにさっと目をやった。
「みんな、自分の役がわかりましたねー。強い、弱い、いろいろあったと思います。じゃあ、今度は勝負に参加するかどうかを決めます。勝負する場合はチップを上乗せしていきますけれど、どこまで上乗せするかは親にかかっています。とりあえず、今回はひとつ上乗せで」
ヴァレンは飴玉をひとつ卓の中央に追加する。
「勝負に参加する場合は、チップを出していってください。勝者がこれらのチップを独り占めできます。弱い役で勝てないと思ったら、参加しないのも手です。その場合は降りる宣言をしてください」
客とブラムが飴玉を出し、アルンとコリンが降りた。
「じゃあ、一巡したので次。俺が親なので、さらに上乗せで。自信がなかったら、降りてくださいねー」
ヴァレンはさらに飴玉を置く。
不安そうになった客が降り、ブラムは飴玉を追加する。
「こんな感じで、親はどんどん上乗せしていけます。今回はこれで上乗せ終了ということにして、残った者で勝負です」
ヴァレンとブラムが手持ちのカードを開示する。ブラムのほうが強い役だった。
「はい、今回はブラム君の勝ちー。じゃあ、このチップは全部ブラム君のものになりまーす。で、次の親はブラム君」
ヴァレンは卓の中央に置かれた飴玉を取るよう、ブラムに促す。
「そんな……僕のほうが良い役だったのに……」
飴玉を手元に引き寄せるブラムを見ながら、客が呆然と呟く。客の前に開示されたカードは、確かにブラムよりも良い役だった。
「うん、役の強さだけで競うんじゃないんだ。駆け引きなんだよ。自分の手持ちのカードと相談して、周りの反応を確かめながら勝負するかどうかを決めていくんだ。さっさと降りた人のほうが良い役で、延々と粘っていた人たちが実ははったりで弱い役だったなんてよくあることさ。ある意味、度胸試しのようなものかもね」
「な、なるほど……」
やや面食らったように客が頷く。
「じゃあ、今度は親がブラム君で。カード配ってね」
カードの組み合わせによって役の強さを競うという、ごく普通の遊びだ。
参加者はヴァレン、客、見習いたち三人の合計五人。本当はもう一人、もともとヴァレン付きだった見習いのティムがいるのだが、今日は風邪気味のために休ませている。
五人で卓を囲み、それぞれに飴玉が同じ数ずつ配られている。
本当に金を賭ける必要もないので、チップは飴玉で代用することにした。色とりどりの包装紙が可愛らしい、小さな飴玉だ。
「最初は俺が親をやるけれど、次からは勝者が親になります。まずは場代として、チップをひとつずつ出してください」
ヴァレンが促すと、全員が飴玉をひとつずつ卓の中央に置いた。
「で、次に親はカードを配ります。このあたりは普通に」
素早くカードを混ぜ合わせ、ヴァレンはそれぞれに配っていく。
手元のカードを見た参加者たちが、微妙に表情を動かす。ヴァレンも自分のカードにさっと目をやった。
「みんな、自分の役がわかりましたねー。強い、弱い、いろいろあったと思います。じゃあ、今度は勝負に参加するかどうかを決めます。勝負する場合はチップを上乗せしていきますけれど、どこまで上乗せするかは親にかかっています。とりあえず、今回はひとつ上乗せで」
ヴァレンは飴玉をひとつ卓の中央に追加する。
「勝負に参加する場合は、チップを出していってください。勝者がこれらのチップを独り占めできます。弱い役で勝てないと思ったら、参加しないのも手です。その場合は降りる宣言をしてください」
客とブラムが飴玉を出し、アルンとコリンが降りた。
「じゃあ、一巡したので次。俺が親なので、さらに上乗せで。自信がなかったら、降りてくださいねー」
ヴァレンはさらに飴玉を置く。
不安そうになった客が降り、ブラムは飴玉を追加する。
「こんな感じで、親はどんどん上乗せしていけます。今回はこれで上乗せ終了ということにして、残った者で勝負です」
ヴァレンとブラムが手持ちのカードを開示する。ブラムのほうが強い役だった。
「はい、今回はブラム君の勝ちー。じゃあ、このチップは全部ブラム君のものになりまーす。で、次の親はブラム君」
ヴァレンは卓の中央に置かれた飴玉を取るよう、ブラムに促す。
「そんな……僕のほうが良い役だったのに……」
飴玉を手元に引き寄せるブラムを見ながら、客が呆然と呟く。客の前に開示されたカードは、確かにブラムよりも良い役だった。
「うん、役の強さだけで競うんじゃないんだ。駆け引きなんだよ。自分の手持ちのカードと相談して、周りの反応を確かめながら勝負するかどうかを決めていくんだ。さっさと降りた人のほうが良い役で、延々と粘っていた人たちが実ははったりで弱い役だったなんてよくあることさ。ある意味、度胸試しのようなものかもね」
「な、なるほど……」
やや面食らったように客が頷く。
「じゃあ、今度は親がブラム君で。カード配ってね」
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