天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄

文字の大きさ
上 下
26 / 69
高校生編

第26話 天使と悪魔

しおりを挟む
『あんたのことなんか家族だと思ったことない』

 ◇7月30日 夏休み5日目

 俺は1人でお墓に来ていた。
今日は...母の命日だった。

 ちなみに真凜ちゃんは家の用事で実家の方に戻っていた。

 そうして、いつものように水でお墓をきれいにする。

 ここ数年、お墓参りに来ているのは俺だけだった。

「母さん。久しぶり。最近はすげー色々あってさ...。とりあえず報告なんだけど...俺結婚したんだ」と、左手の薬指を見せる。

「今度、紹介するね。すげーいい子なんだけど、結構やばい子でさ、俺結婚したことすら知らなくてさ...」と、ここ最近出来事をまるで目の前にお母さんがいるように語りかける。

「それでさ」と、話していると後ろから声をかけられる。

「やぁ。こんなところで会うなんて奇遇だね」

 振り返るとそこにいたのは奏さんと、ボディーガードのような人が1人。

「あっ...お久しぶりです」

「久しぶりだね。君もお墓参りかい?」

「えぇ、まぁ...。奏さんもですか?」

「うん。まぁね。お墓はもう少し奥の方なんだが、見知った顔があったからつい声をかけてしまったよ。ごめんね?」

「...いえ。俺は大丈夫ですけど」

「...そうか。お母さんだったかな?じゃあ、僕も挨拶しちゃおうかな」と、相変わらずかっこいい笑顔を浮かべながらそんなことを言った。

 すると、次の瞬間のことだった。

「...お兄ちゃん」という声がして思わず振り返る。



 そこに立っていたのは2人の妹だった。

「...お前ら...」と、俺は思わず目を逸らしその場から離れる。

「あれ?妹さんかい?って、どこに行くんだい?」

「...俺に妹なんていません。あいつらは...悪魔ですから」

 ◇

「って、聞いてる?」

「ん?なんだっけ?」

「だから、お父さんが会いたいって言っててさ...。明日来て欲しいんだけど...どうかな?」

「...あっ。うん。行くよ」

「...なんかあった?」

「いや、何でもない」

「...私には言いたくないこと?」

「ちがっ...。そうじゃないけど...」

「そっか。ごめん。こういうのうざいよね」と、笑う。

「いや...今日...妹と会ったんだ...。それだけ」

「そっか。妹さんか」

「...うん。それだけ」と、言う俺の手は震えていた。

「...大丈夫だよ。今は私がいるよ?」と、俺の手にそっと手を重ねる。

「...ありがとう」

 永遠に逃れられない。
家族とは、血縁とは、トラウマであり一生消えることのない呪いだ。

 ◇翌日

 ご両親への挨拶。
一応お母さんとはすでに2回ほどあっていて面識はあるが、お父さんとは一度も顔を合わせたことがない。
怖い人だったら...どうしよう...。

 その時間が迫るたびに心臓が痛む。
めっちゃ緊張してきた。

 さっきから何度も時計をチラチラと見ていた。

「...」

「緊張してる?」

「...そりゃ...ね」

「お父さんは優しいから大丈夫だよ?」

「...そう...なの?」と、ぎこちなく笑う。

 多分人生で1番緊張している気がする。

 そうして、あれこれ考えている間に真凜ちゃんのお母さんが迎えにきて、その車で家に向かうのだった。

「2人ともちゃんと受験勉強はしてる?」

「うん。それなりに」
「は、はい!が、頑張ってます!」

「...そう。毎日あんな奇行をしているわけではないのね。安心したわ」

 わ、忘れてたぁ!
そういや、家の中で水着になってホームシアターで海の映像を流して、ホームバカンスとかいう奇行を行っていたのを見られたのを思い出した。

「...あと、私の前ではそういうキャラでいいけど、お父さんの前で素のあなたで居てくれるとありがたいわ。多分、その方がお父さんもやりやすいだろうし」

「わ...分かりました」

 更に心臓が高鳴りながら、いよいよ家に到着するのだった。

 豪勢な一軒家であり、さらに緊張感が高まる。

 そうして、綺麗な中庭を通り家の中に入る。
家の中もまるでモデルハウスのようだった。

「...すごい家」

「あら、ありがとう」と、ニコッと笑うお母さん。

 すると、窓を念入りに拭いている頭がボサボサで緩い格好をしているメガネをかけた男の人がいた。

 え?もしかして使用人的な?
もしくは執事?

「...はぁ。あなた...今日は真凜の旦那さんが来るからちゃんとした格好をしてって言ったわよね?」

「え?あっ、え!?もう来たの!?あ、初めまして...父です...。えっと、碧くんだよね?こっちで話そうか」と、案内される。

「それじゃあ私たちはこっちで話してるから」と、真凜ちゃんとお母さんが居なくなってしまう。

 えぇ...。まさかのお父さんと2人きり...?

 こうして、2人きりの対談が今...始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

処理中です...