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5.他所行きの私

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 ◇

 ちなみにお父さんとじぃじも一緒に来てくれることになった。

 いやー、正直一人で行くのはめちゃくちゃ心細かったので助かる。
というか、この二人は私が暴走しないように監視役として来るということなのだろう。

 ふむ。全く娘離れできない親である!とか言ってみたり。

 そうして、ありったけのお菓子を食べながら馬車に揺られて数時間...シルビア家に到着するのであった。

 うちも貴族の中ではそこそこ大きい屋敷を持っていると思っていたが...流石は公爵...私の家など所詮、大きな物置に見えるほど巨大でかつ頑丈そうな城に到着するのだった。

 しかも門番も5人...。
それぞれ顔や体に傷があり、歴戦の猛者たちであることは容易に想像できた。

 私は馬車から降りて「...大変お待たせしました。リルス・エリナリーゼと申します...」と、上品にご挨拶をする。

 すると、頑固そうな男が無言で門を開けてくれる。

 そのまま、3人で城の門を潜ったのだが...城の中は外観で見るよりはるかに豪華であり、まさに御伽噺に出てくるようなそんな見た目に呆気にとられる。

 すごい。すごすぎる。
こういうのにあまり関心がない私でさえ、驚嘆し、言葉を失ってしまうほどに...すごい有様であった。

「...すっごいねぇ」と、思わず本音が取れてしまいお父様に咳払いをされる。

 そうして、城の中に入る扉までしばらく歩くと、入り口の前には50名ほどのメイドが左右に分かれており、さながらメイドトンネルといった様子に感銘を受けながらそこを通ると、「お待ちしておりました。リルス・エリナリーゼ様」と口を揃えてそういった。

 ...めっちゃ練習したんやろうなーなんて思いながら抜けていくと、城内はさらに豪華な内装となっていた。

 ひぇぇぇぇぇと、驚いているとそこにはシルビア家の親戚の方と思われる人々がずらりと勢揃いしていた。

 えええええぇ!今日って挨拶だけで済まない感じ!?と、やや顔を引き攣らせながら「ごきげんよう」と挨拶をしてそそくさとレスト様がいるところに向かう。

 早く私を守っておくれ。

 すると、行く手を阻むように一人の女が立ち塞がった。

「...こんな見窄らしい女がレスト様が選んだ女?はっ、あり得ない。どんなコネを使ったのかしら?それとも、とても夜がお上手とか?」というと、ヒソヒソと笑い声が聞こえ始める。

 うーわ、何この女子特有の嫌な感じー。
あーだから城に引きこもっていたかったのになー。と思いながらも「夜には自信がありますよ?」と、やや挑発して横を通り過ぎようとすると肩を掴まれる。

「ちょっと!何なのよあんた!」と、その瞬間その手を払いのけたのはあのレスト様であった。

「...っ!」

「私のプリンセスに何するんですか?」

「...」

 うわー、プリンセスとかいってんだけど...と、ここでもやや引き気味の私であった。
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