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6.厄介な家に嫁いでしまったようです
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レスト様に案内されるがまま、部屋に連れて行かれる。
「ごめんね。叔母さん連中はああいう噂が好きなもんで...。いい歳して恥ずかしいんだけどね」
「...いいんじゃないですか?誰だって噂話は好きなものですし」
「...怒ってるよね。ごめんね」
「いえいえ、公爵家に嫁ぐということはこういうことになることくらいは想像できましたから。それにレスト様が悪いわけではないでしょう」
「...その...一応これから僕の父と母に会ってもらう予定なんだけど...」と、歯に何か詰まったような言いづらさを感じる。
「分かっております。これがレスト様以外にとって望んだ結婚ではないことくらい。きっと、いろんな縁談を蹴って私との婚約を発表されるわけですから。反対されるのが怖いくらいならここに来てないです。ある程度の覚悟はしてますが、場合によってはこの話はなかったことにするだけですから」
「...いや、父は自由に結婚しないって言ってくれてるんだけど...母がすごく反対しててね。もちろん、僕が何とか説得するから...」
「...そうですか。分かりました。私もできる限り協力しながら、余計なことはしないようにしますので」
「...結婚を迫っておいてこんなことになってしまって...「もう謝罪は結構です。では、早速行きましょう。待たせたらまた印象が悪くなるかもしれませんし」
「...そうだね」
そうして、二人で手を繋いで王室と呼ばれる城の中心で一番高い位置にある部屋に向かう。
その間もすれ違う人たちの嘲笑と、小声の罵倒を浴びながらも到着するのだった。
到着すると、門番の方がノックして入室する。
二人で腕を組みながら玉座の前に来ると、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げた上で、背筋を伸ばしたまま挨拶をする。
これはカーテシーという貴族特有の挨拶だ。
すでに刺さるような視線を浴びていることをヒシヒシと感じる。
顔を上げずともその視線が誰が浴びせているものかは言うまでもなかった。
「...初めまして。リルス・エリナリーゼと申します」
「かしこまらなくていいよ?家族になるんだからね」と、優しい言葉をかけてくれるレスト様のお父様。
そのまま、ピッと背筋を伸ばして正面を見るとお母様とバッチリ目が合う。
あっ、これやばい。
「...私は反対です」と、一発目に反対を喰らう。
「なぜだい?」
「...レストにはもっとお似合いの...ふさわしい人が「それを言うなら僕と君はどうなるんだい?まさか忘れたわけじゃないだろう?君も昔は伯爵だったのだから。そして、こうして僕の母に反対されたこと」
「...だからこそです。伯爵が公爵の妻となることの大変さは私が一番知っております。あなたがそのことに心を痛めていたことも」
「けど、今こうして僕たちは幸せな日々を送っているじゃないか」
「...そうですけど...私は反対です」
「なら、レストと縁でも切るかい?」
「な!?そ、そんなことは!!」
「そろそろ何か言ったらどうだ?レスト」と、図ったようにお父さんがレストさまに振る。
「ごめんね。叔母さん連中はああいう噂が好きなもんで...。いい歳して恥ずかしいんだけどね」
「...いいんじゃないですか?誰だって噂話は好きなものですし」
「...怒ってるよね。ごめんね」
「いえいえ、公爵家に嫁ぐということはこういうことになることくらいは想像できましたから。それにレスト様が悪いわけではないでしょう」
「...その...一応これから僕の父と母に会ってもらう予定なんだけど...」と、歯に何か詰まったような言いづらさを感じる。
「分かっております。これがレスト様以外にとって望んだ結婚ではないことくらい。きっと、いろんな縁談を蹴って私との婚約を発表されるわけですから。反対されるのが怖いくらいならここに来てないです。ある程度の覚悟はしてますが、場合によってはこの話はなかったことにするだけですから」
「...いや、父は自由に結婚しないって言ってくれてるんだけど...母がすごく反対しててね。もちろん、僕が何とか説得するから...」
「...そうですか。分かりました。私もできる限り協力しながら、余計なことはしないようにしますので」
「...結婚を迫っておいてこんなことになってしまって...「もう謝罪は結構です。では、早速行きましょう。待たせたらまた印象が悪くなるかもしれませんし」
「...そうだね」
そうして、二人で手を繋いで王室と呼ばれる城の中心で一番高い位置にある部屋に向かう。
その間もすれ違う人たちの嘲笑と、小声の罵倒を浴びながらも到着するのだった。
到着すると、門番の方がノックして入室する。
二人で腕を組みながら玉座の前に来ると、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げた上で、背筋を伸ばしたまま挨拶をする。
これはカーテシーという貴族特有の挨拶だ。
すでに刺さるような視線を浴びていることをヒシヒシと感じる。
顔を上げずともその視線が誰が浴びせているものかは言うまでもなかった。
「...初めまして。リルス・エリナリーゼと申します」
「かしこまらなくていいよ?家族になるんだからね」と、優しい言葉をかけてくれるレスト様のお父様。
そのまま、ピッと背筋を伸ばして正面を見るとお母様とバッチリ目が合う。
あっ、これやばい。
「...私は反対です」と、一発目に反対を喰らう。
「なぜだい?」
「...レストにはもっとお似合いの...ふさわしい人が「それを言うなら僕と君はどうなるんだい?まさか忘れたわけじゃないだろう?君も昔は伯爵だったのだから。そして、こうして僕の母に反対されたこと」
「...だからこそです。伯爵が公爵の妻となることの大変さは私が一番知っております。あなたがそのことに心を痛めていたことも」
「けど、今こうして僕たちは幸せな日々を送っているじゃないか」
「...そうですけど...私は反対です」
「なら、レストと縁でも切るかい?」
「な!?そ、そんなことは!!」
「そろそろ何か言ったらどうだ?レスト」と、図ったようにお父さんがレストさまに振る。
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