グータラ伯爵令嬢の私がイケメン公爵の家に嫁ぐことになりました

田中又雄

文字の大きさ
上 下
6 / 7

6.厄介な家に嫁いでしまったようです

しおりを挟む
 レスト様に案内されるがまま、部屋に連れて行かれる。

「ごめんね。叔母さん連中はああいう噂が好きなもんで...。いい歳して恥ずかしいんだけどね」

「...いいんじゃないですか?誰だって噂話は好きなものですし」

「...怒ってるよね。ごめんね」

「いえいえ、公爵家に嫁ぐということはこういうことになることくらいは想像できましたから。それにレスト様が悪いわけではないでしょう」

「...その...一応これから僕の父と母に会ってもらう予定なんだけど...」と、歯に何か詰まったような言いづらさを感じる。

「分かっております。これがレスト様以外にとって望んだ結婚ではないことくらい。きっと、いろんな縁談を蹴って私との婚約を発表されるわけですから。反対されるのが怖いくらいならここに来てないです。ある程度の覚悟はしてますが、場合によってはこの話はなかったことにするだけですから」

「...いや、父は自由に結婚しないって言ってくれてるんだけど...母がすごく反対しててね。もちろん、僕が何とか説得するから...」

「...そうですか。分かりました。私もできる限り協力しながら、余計なことはしないようにしますので」

「...結婚を迫っておいてこんなことになってしまって...「もう謝罪は結構です。では、早速行きましょう。待たせたらまた印象が悪くなるかもしれませんし」

「...そうだね」

 そうして、二人で手を繋いで王室と呼ばれる城の中心で一番高い位置にある部屋に向かう。

 その間もすれ違う人たちの嘲笑と、小声の罵倒を浴びながらも到着するのだった。

 到着すると、門番の方がノックして入室する。

 二人で腕を組みながら玉座の前に来ると、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げた上で、背筋を伸ばしたまま挨拶をする。

 これはカーテシーという貴族特有の挨拶だ。

 すでに刺さるような視線を浴びていることをヒシヒシと感じる。

 顔を上げずともその視線が誰が浴びせているものかは言うまでもなかった。

「...初めまして。リルス・エリナリーゼと申します」

「かしこまらなくていいよ?家族になるんだからね」と、優しい言葉をかけてくれるレスト様のお父様。

 そのまま、ピッと背筋を伸ばして正面を見るとお母様とバッチリ目が合う。

 あっ、これやばい。

「...私は反対です」と、一発目に反対を喰らう。

「なぜだい?」

「...レストにはもっとお似合いの...ふさわしい人が「それを言うなら僕と君はどうなるんだい?まさか忘れたわけじゃないだろう?君も昔は伯爵だったのだから。そして、こうして僕の母に反対されたこと」

「...だからこそです。伯爵が公爵の妻となることの大変さは私が一番知っております。あなたがそのことに心を痛めていたことも」

「けど、今こうして僕たちは幸せな日々を送っているじゃないか」

「...そうですけど...私は反対です」

「なら、レストと縁でも切るかい?」

「な!?そ、そんなことは!!」

「そろそろ何か言ったらどうだ?レスト」と、図ったようにお父さんがレストさまに振る。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない

たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。 何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話

訳ありな家庭教師と公爵の執着

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝名門ブライアン公爵家の美貌の当主ギルバートに雇われることになった一人の家庭教師(ガヴァネス)リディア。きっちりと衣装を着こなし、隙のない身形の家庭教師リディアは素顔を隠し、秘密にしたい過去をも隠す。おまけに美貌の公爵ギルバートには目もくれず、五歳になる公爵令嬢エヴリンの家庭教師としての態度を崩さない。過去に悲惨なめに遭った今の家庭教師リディアは、愛など求めない。そんなリディアに公爵ギルバートの方が興味を抱き……。 ※設定などは独自の世界観でご都合主義。ハピエン🩷 さらりと読んで下さい。 ※稚拙ながらも投稿初日(2025.1.26)から、HOTランキングに入れて頂き、ありがとうございます🙂 最高で26位(2025.2.4)。

竜王の息子のお世話係なのですが、気付いたら正妻候補になっていました

七鳳
恋愛
竜王が治める王国で、落ちこぼれのエルフである主人公は、次代の竜王となる王子の乳母として仕えることになる。わがままで甘えん坊な彼に振り回されながらも、成長を見守る日々。しかし、王族の結婚制度が明かされるにつれ、彼女の立場は次第に変化していく。  「お前は俺のものだろ?」  次第に強まる独占欲、そして彼の真意に気づいたとき、主人公の運命は大きく動き出す。異種族の壁を超えたロマンスが紡ぐ、ほのぼのファンタジー! ※恋愛系、女主人公で書くのが初めてです。変な表現などがあったらコメント、感想で教えてください。 ※全60話程度で完結の予定です。 ※いいね&お気に入り登録励みになります!

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

処理中です...