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7.今夜は泊まって行け
ガマンの限界
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「あっ。れも……お昼ご飯とか買うお金がないれす」
「朝飯も弁当も俺が作ってやろう」
「ホントれすかっ!?」
「ああ……」
***
食事の話を出した途端、前のめりになった羽理を見て、大葉はあと一押しだ!と意気込んだ。
「俺の料理、結構うまいぞ?」
「卵焼きは……甘いにょにしれくれましゅか?」
「ああ、お安い御用だ。ついでに無一文は不安だろうから小遣いも付けてやろう」
実は大葉自身は、塩辛い卵焼きが好きなのだが、羽理が甘いのを入れて欲しいと言うのなら、いくらでもそちらに合わせてやろうじゃないかと思う。
「きゃー。至れり尽くせりなのれすっ。……んー、じゃあ、わらし、今日はこのままぶちょおのお家にお泊りしちゃいましゅ」
(よっしゃぁぁぁぁ!)
羽理の言葉に心の中で盛大に両腕を振り上げてガッツポーズをした大葉だったが、一生懸命頑張って顔に出すのだけはこらえた。
なのに――。
「ぶちょ? もう一つお願いがありゅのれす」
羽理が、自分の服をちょいちょいっと引っ張りながら、「こにょ服れはゆっくり休めしょうにありましぇん。迷惑ついでに、ぶちょぉの服、貸して欲しいのれす」と上目遣いで見上げてきたからたまらない。
(そんなの、OKに決まっているじゃないかっ!)
何ならどうやって彼シャツ(厳密にはまだ彼氏ではないがっ!)という男のロマンを達成しようかと脳内で模索していたくらいだ。
「も、もちろん、構わん……。ただ」
「たりゃ?」
「さすがにお前に合うサイズのズボンはないぞ?」
「ああ、しょれなら大丈夫れしゅ。わらし、いつも家れはダボダボのTシャチュにパンチュれすのれ」
ヘラリと笑った羽理を見て、大葉は「お前の危機管理能力はどうなってるんだ!」とプンスカしながらも、内心ウハウハだった。
「よし、じゃぁなるべく丈が長めのやつを見繕って来てやろう。――ちょっとここで待ってろな?」
未だゆらりゆらりと身体を揺らす羽理をソファに座らせてくるりと踵を返すと同時、今まで羽理から距離を取って遠巻きに主人のことを見守っていたキュウリがテトテトと後ろをついてきた。
「うっ……」
キュウリから純粋無垢な丸い瞳で見上げられて、大葉は(ウリちゃん、パパをそんな目で見詰めないで!)と疚しさと闘う羽目になる。
大葉はタンスの中をガサガサとかき回しながら、(パパは白を選んで色々透けて見えるのとか期待してたりしてないでちゅからね!?)と、足元のキュウリに心の中で懸命に言い訳しながら、しぶしぶ黒いTシャツを引っ張り出した。
少し残念だが、これで股間は大丈夫!のはずだ。
だが、自分が差し出した透けないTシャツに着替えてきた羽理を見た大葉は、思わず「あ……」とつぶやいてしまう。
何故なら……。
羽理に貸し与えたTシャツの腹には、ご飯の器を前にヨダレを垂らしている可愛い犬の絵のイラストとともに、『ガマンの限界』という文言が添えられていたからだ。
「にゃんかお腹に可愛い絵が描いてありましゅねぇー」
羽理が腹の辺りを引っ張って「えへへ」と笑うから、裾が引き上げられて太ももが盛大に見えてしまう。
そんな無自覚爆弾な羽理に吐息まじり。
(……そろそろ俺のマテも限界だぞ、荒木羽理……!)
大葉が羽理の生足に釘付けになりながら、そんなことを思ったのは言うまでもない。
「朝飯も弁当も俺が作ってやろう」
「ホントれすかっ!?」
「ああ……」
***
食事の話を出した途端、前のめりになった羽理を見て、大葉はあと一押しだ!と意気込んだ。
「俺の料理、結構うまいぞ?」
「卵焼きは……甘いにょにしれくれましゅか?」
「ああ、お安い御用だ。ついでに無一文は不安だろうから小遣いも付けてやろう」
実は大葉自身は、塩辛い卵焼きが好きなのだが、羽理が甘いのを入れて欲しいと言うのなら、いくらでもそちらに合わせてやろうじゃないかと思う。
「きゃー。至れり尽くせりなのれすっ。……んー、じゃあ、わらし、今日はこのままぶちょおのお家にお泊りしちゃいましゅ」
(よっしゃぁぁぁぁ!)
羽理の言葉に心の中で盛大に両腕を振り上げてガッツポーズをした大葉だったが、一生懸命頑張って顔に出すのだけはこらえた。
なのに――。
「ぶちょ? もう一つお願いがありゅのれす」
羽理が、自分の服をちょいちょいっと引っ張りながら、「こにょ服れはゆっくり休めしょうにありましぇん。迷惑ついでに、ぶちょぉの服、貸して欲しいのれす」と上目遣いで見上げてきたからたまらない。
(そんなの、OKに決まっているじゃないかっ!)
何ならどうやって彼シャツ(厳密にはまだ彼氏ではないがっ!)という男のロマンを達成しようかと脳内で模索していたくらいだ。
「も、もちろん、構わん……。ただ」
「たりゃ?」
「さすがにお前に合うサイズのズボンはないぞ?」
「ああ、しょれなら大丈夫れしゅ。わらし、いつも家れはダボダボのTシャチュにパンチュれすのれ」
ヘラリと笑った羽理を見て、大葉は「お前の危機管理能力はどうなってるんだ!」とプンスカしながらも、内心ウハウハだった。
「よし、じゃぁなるべく丈が長めのやつを見繕って来てやろう。――ちょっとここで待ってろな?」
未だゆらりゆらりと身体を揺らす羽理をソファに座らせてくるりと踵を返すと同時、今まで羽理から距離を取って遠巻きに主人のことを見守っていたキュウリがテトテトと後ろをついてきた。
「うっ……」
キュウリから純粋無垢な丸い瞳で見上げられて、大葉は(ウリちゃん、パパをそんな目で見詰めないで!)と疚しさと闘う羽目になる。
大葉はタンスの中をガサガサとかき回しながら、(パパは白を選んで色々透けて見えるのとか期待してたりしてないでちゅからね!?)と、足元のキュウリに心の中で懸命に言い訳しながら、しぶしぶ黒いTシャツを引っ張り出した。
少し残念だが、これで股間は大丈夫!のはずだ。
だが、自分が差し出した透けないTシャツに着替えてきた羽理を見た大葉は、思わず「あ……」とつぶやいてしまう。
何故なら……。
羽理に貸し与えたTシャツの腹には、ご飯の器を前にヨダレを垂らしている可愛い犬の絵のイラストとともに、『ガマンの限界』という文言が添えられていたからだ。
「にゃんかお腹に可愛い絵が描いてありましゅねぇー」
羽理が腹の辺りを引っ張って「えへへ」と笑うから、裾が引き上げられて太ももが盛大に見えてしまう。
そんな無自覚爆弾な羽理に吐息まじり。
(……そろそろ俺のマテも限界だぞ、荒木羽理……!)
大葉が羽理の生足に釘付けになりながら、そんなことを思ったのは言うまでもない。
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