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6-2.年末年始ハプニング②

お兄ちゃんの〝夢彼女〟じゃなかったぁぁぁ!

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***

 実篤さねあつがくるみを迎えに行って、家に連れて帰った頃には、家族が全員家にそろっていた。


「うっそぉ~! ホンマにくるみちゃんじゃん! お兄ちゃんの〝夢彼女〟じゃなかったぁぁぁ!」

 玄関扉を開けるなり、鏡花きょうかが失礼極まりない言葉を投げかけてくる。

 そんな鏡花の後ろ。玄関先には八雲やくもや両親まで出て来ていて、家族全員が揃い踏み。

「うっ」

 思わずその光景に圧倒されて、実篤は変な声が出てしまった。

 そんな実篤の横でくるみが「私が実篤さんの夢彼女……」とつぶやいて、まるでそれがツボにハマったみたいにクスクス笑う。

「くるみちゃぁ~ん」

 実篤がそんなくるみを、情けない声を出して見つめるのを見て、鏡花は内心(このふたり、案外うまくいってる?)と思ったけれど悔しいので口には出さずにおいた。


「あー、この子のこと、俺、覚えとる! 父さんの不動産屋の近くにあった、あんぱんの旨いパン屋のばあちゃんトコのお孫ちゃんじゃろ!」

 八雲のセリフに、その場にいた全員が「えっ⁉︎」と声を上げた。


***


「まぁ玄関先で立ち話もなんじゃけ、中入って食べながら話さん? ――お腹も空いたし」

 母・鈴子すずこに促されて、ハッとしたようにくるみが実篤さねあつの横に出てガバリと頭を下げる。

「あ、あのっ。ご挨拶が遅れまして! 、実篤さんとお付き合いさせて頂いちょります、木下きのしたくるみと申しますっ。え、えっと、鏡花きょうかちゃ……じゃのぉて……そのっ、きょ、鏡花さんの同級生ですっ」

 くるみの突然の挨拶に、鈴子がキョトンとして固まって……。

「ああ、くるみちゃん。そんなかしこまらんでもええんよ? うちはご覧の通り、そんな大した家じゃないけぇ。まぁ、とりあえず遠慮せんと上がって上がって」

 それを補うように父・連史郎れんしろう強面顔こわもてがおを思いっきり緩めて目尻に皺を作る。

 途端、今度はくるみが固まってしまった。

「じゃけ、父さん! その顔は怖いけんしたらいけんっていつもいついき言いよぉーるじゃ……」

 それを見た実篤が慌てて父親を牽制したのだけれど。
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