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■特典②『花々里の瓶詰め』
ただいま1
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「――っ、……花々里、花々里っ」
ペチペチと頬を叩かれて、私は薄らとまぶたを開ける。
紗がかかったようにハッキリしない意識の底、むせ返るような甘ったるい花蜜の香りに満たされている。
それが居心地悪くて新鮮な空気が欲しくて堪らないのに、何故か吸い込めなくて……。
息が、出来ない。……苦しい。
「……っ――!?」
そのことに気付いた私は、懸命に酸素を求めてケホケホと激しく咽せた。
そんな私の背中を、頼綱が優しく撫で上げてくれて。
それに誘引されたように、喉の奥から熱いものが込み上げてきて、咳と一緒にコポリと外へ吐き出された……気がした。
途端、あんなに苦しかった呼吸が嘘みたいに楽になる。
すぐ口元に手を当てたけれど、私、本当に何かを吐き出してしまったわけではないみたい。
床にも口元にも何の残滓も感じられなくて。
ただ、口の中に甘い香りだけが残っていた。
***
「――花々里、お帰り」
言われて、私はやっと焦点を結ぶことができるようになった目で、頼綱を見上げる。
「頼……綱、ただいま」
少し声がかすれていたのもあって、聞こえたかな?って不安になったけれど、頼綱はちゃんと聞こえたよ、って言うみたいに私の頭を撫でてくれて。
そのことに心底ホッとする。
「――ところでね、花々里。その格好のままだと……一応俺も男だし、ちょっと色々しんどいかな?って思うんだけど。……風呂に入って着替えてこないかね?」
言われて、私は自分を見下ろす。そうして思いっきり悲鳴を上げて縮こまった。
だ、だ、だ、だってっ! し、し、し、下着っ! 透けまくってるっ!
「は、はいっ! そうしますっ!」
場所は先ほど施術?を行ったバスルームの中。
言って、頼綱を恐る恐る見上げたら頼綱が「出て待ってるからね」と私をそっと立たせてくれてから、バスルームを出て行くの。
私、その時になって初めて、頼綱のズボンも私のせいであちこち濡れてしまっていることに気がついて。
「あのっ! ごめん、なさいっ!」
立ち去る頼綱の背中に向けて思わず謝ったら、「それはどのことに対しての謝罪かな?」と聞かれて「え?」と思う。
ペチペチと頬を叩かれて、私は薄らとまぶたを開ける。
紗がかかったようにハッキリしない意識の底、むせ返るような甘ったるい花蜜の香りに満たされている。
それが居心地悪くて新鮮な空気が欲しくて堪らないのに、何故か吸い込めなくて……。
息が、出来ない。……苦しい。
「……っ――!?」
そのことに気付いた私は、懸命に酸素を求めてケホケホと激しく咽せた。
そんな私の背中を、頼綱が優しく撫で上げてくれて。
それに誘引されたように、喉の奥から熱いものが込み上げてきて、咳と一緒にコポリと外へ吐き出された……気がした。
途端、あんなに苦しかった呼吸が嘘みたいに楽になる。
すぐ口元に手を当てたけれど、私、本当に何かを吐き出してしまったわけではないみたい。
床にも口元にも何の残滓も感じられなくて。
ただ、口の中に甘い香りだけが残っていた。
***
「――花々里、お帰り」
言われて、私はやっと焦点を結ぶことができるようになった目で、頼綱を見上げる。
「頼……綱、ただいま」
少し声がかすれていたのもあって、聞こえたかな?って不安になったけれど、頼綱はちゃんと聞こえたよ、って言うみたいに私の頭を撫でてくれて。
そのことに心底ホッとする。
「――ところでね、花々里。その格好のままだと……一応俺も男だし、ちょっと色々しんどいかな?って思うんだけど。……風呂に入って着替えてこないかね?」
言われて、私は自分を見下ろす。そうして思いっきり悲鳴を上げて縮こまった。
だ、だ、だ、だってっ! し、し、し、下着っ! 透けまくってるっ!
「は、はいっ! そうしますっ!」
場所は先ほど施術?を行ったバスルームの中。
言って、頼綱を恐る恐る見上げたら頼綱が「出て待ってるからね」と私をそっと立たせてくれてから、バスルームを出て行くの。
私、その時になって初めて、頼綱のズボンも私のせいであちこち濡れてしまっていることに気がついて。
「あのっ! ごめん、なさいっ!」
立ち去る頼綱の背中に向けて思わず謝ったら、「それはどのことに対しての謝罪かな?」と聞かれて「え?」と思う。
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