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番外編 新居へ
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カーテンが締め切られた薄暗い馬車の中で、俺はウィルに寄りかかり微睡んでいた。
今日はウィルが手に入れた領主の館とやらへの引っ越しの日だ。
昨日は砦から持ち出す物を纏めたり、砦の掃除をしたり、砦の警備兵に別れを告げたりで最後までバタバタしてしまった。
ただ、俺がこんなに眠いのは昨晩から明け方までウィルと……まあ、そういう事だ。
カクンと頭が落ちそうになるのを支えられ、ウィルの太腿に導かれる。
「寝てて良いよ。着いたら起こすから」
ウィルの大きな手が俺の髪を撫でる。
心地よい体温と馬車の振動に、俺の意識は遠のいていった。
「起きて、ユーリ。着いたよ」
「ん……おはよ……」
ウィルの手を取って馬車から降りると、立派な屋敷があった。
建物の周りをぐるりと囲むように広い庭園があり、外から見えないよう高い壁で囲まれていた。
玄関の前には10人ほどの人間が並んでいた。
一番手前の男が一歩前に出て礼をとった。
「ようこそおいでくださいました、ウィルヘルム様、ユリウス様。家令のロイドと申します」
「出迎えありがとう、ロイド」
家令の男にウィルは親しげに話しかけている。
どういう関係なのか気になってじっと見つめているとウィルは小さく笑いながら色々と説明してくれた。
「ロイドには領地の経営を任せているんだ。あとはフットマン、メイド、料理人、庭師……今日は全員に来てもらったけど明日からは交代で勤務してもらう事になる」
「この人数でこの屋敷を?少なくないか?」
「意外と大丈夫なんだ。中はクリーンの魔術がかけててあるから掃除の必要は無いし、細々した家事はほとんど魔道具で自動化出来るから手間は少ない。みんな通いだから手入れする部屋はあまり無いし」
「通い?住み込みでは無いのか?」
「そう。だから朝の支度は俺がするよ」
そう言うとウィルは笑みを深めて耳元に顔を寄せた。
「夜はふたりきりで居たいんだ……ね」
ウィルの指が背筋をつうっと辿る。その手つきで何を意味するのか理解して鼓動が速まった。
「屋敷を案内してくれないかな」
「かしこまりました。どうぞこちらへ」
ウィルは俺を隠すように前に出ると、俺の手を引いて屋敷へ入った。
1階はダイニング、ダンスホール、客間などの来客用の部屋と厨房やリネン室など、使用人向けの部屋があり、2階には大きな図書室と書斎、資料室、実験ができるような部屋まであった。
「人間の屋敷は凄いんだな。規模はともかく設備は魔王城にも劣らないぞ」
「他に欲しい設備があったら言ってね。空き部屋はたくさんあるから」
2階を一通り回ると、ウィルは階段の手前で立ち止まった。
「案内はここまでで良いよ。ありがとう」
「何かありましたらまたお呼びください」
家令は一礼すると1階へと戻っていった。
それを見送るとウィルは俺の手を取り階段を上がった。
「この先はプライベート空間。俺とユーリ以外は入れないようになってるんだ」
3階には広いリビングがあり、大きな窓からテラスへ出られるようになっていた。片隅には小さなコンロが備え付けられている。
「ここで簡単な調理も出来るよ。朝はここで作るね」
その奥の主寝室はこれまた広い空間に大きなベッドが鎮座していた。
「すごい!大きいな!」
柔らかいベッドにダイブする。
滑らかなシーツの肌触りが心地よい。
「砦のベッドは少し狭かったからね。それはそれで良いんだけど、大は小を兼ねるって言うし」
ウィルが隣に腰掛けると、マットレスが沈んだ。
俺は体を起こすと、ウィルの頭を抱き寄せて口付けた。
「んっ……ウィル……」
広いベッドの上でふたりきり。
それだけで俺の体は熱を帯びてしまった。
屋敷の案内も一通り終わったし、もう良いだろう。
しかしウィルはすげなく俺の腕から逃れると、ベッドから出ていった。
「今はダメ。庭も見て欲しいんだ。行こう」
「……ケチ」
俺は手で顔を扇いで中途半端に火照った熱を散らした。
近くで見る庭園は見事だった。
屋敷正面の噴水は高く飛沫をあげ陽の光をキラキラと反射している。
綺麗に整えられた生垣は迷路のような幾何学模様を描き、花壇には花が美しく咲き乱れていた。
「見せたい所があるんだ。こっちだよ」
脇道に入り蔓薔薇の巻き付いたパーゴラをくぐると、その先に池に面したガゼボがあった。
澄んだ池の中には小さな魚が泳いでおり、水面には周囲の花々が美しく映りこんでいた。
「!……美しいな……」
「隠れ家みたいでしょ」
壁沿いに置かれたベンチに並んで腰を下ろす。
音もなくメイドが近づきティーセットを机の上に並べると、そのまま去っていった。
「頼めばこうやってお茶も用意してもらえるんだ」
「いつの間に頼んだんだ?」
一緒に行動していたのに全く気づかなかった。
ウィルはその質問には答えず、笑みを浮かべたままティーコジーを外し、カップに紅茶を注いだ。
「ユーリはどれが食べたい?作法とか気にしなくて良いから好きのものから食べて良いよ」
ティースタンドには美味しそうなサンドイッチ、スコーン、ケーキなどが並んでいたが、俺の目は一番上のマカロンに釘付けだった。
「これだね」
「あっ!」
ウィルは俺の狙っていたマカロンを摘むと、パクリと口に咥えた。
そのまま顔が近付いてくる。
一瞬の出来事に反応出来ずにいると、ポカンた開いたままだった口の隙間にマカロンが押し込まれた。
反射的に噛んだマカロンの間から舌触りの良いクリームが漏れ出る。
「ん……あまい……」
「ふふ、美味しい?」
もぐもぐ咀嚼しながら頷く。
本当に人間の食べ物は見た目も味も良い。
「俺にもちょうだい」
顎を掴まれ深く口付けられる。
ウィルの舌が味わうように歯列を、口蓋を舐め回す。
頭の中で響く水音で先程の熱がぶり返してきて体が疼いた。
「っは……」
「フランボワーズかな?甘酸っぱくて美味しいね」
「ウィル、もっと……」
キスを強請って首に抱きつく。
顔を寄せて唇を舐めると、微かに甘い果実の味がした。
ウィルは目を細めると、ちゅっ、ちゅっと短くキスをしながら俺のクラバットを解いて指先で首筋を撫でた。
そのまま片手で器用にボタンを外し、胸元を寛げる。
ひやりとした空気が素肌に触れて、ここが外だという事を思い出した。
視界の隅にティーセットが映る。
そういえば先程ウィルは頼めばメイドが来ると言っていたような……
「まっ……誰か来たら……」
「そうだね。声が出るとバレちゃうかもね」
「あっ!」
胸の先をきゅっと摘まれて思わず声が出てしまった。
「んっ……」
声が出ないように手で口を押さえた。
ウィルが指先で俺の胸の突端をクリクリ捏ねる度に甘い痺れが走る。
「ユーリ、かわいい乳首が勃ってるよ」
そう言ってウィルはピンッと指で弾くと舌を伸ばしてペロリと舐めた。
「はっ……あ……そこばっか、だめ……」
胸ばかりを執拗に責められて下が切なくて仕方なかった。
「ウィル、まって……」
体を起こしてウィルを立たせると、その前に跪いた。
トラウザーズを寛げて性急に中身を取り出すと、先走りで濡れそぼった赤黒い熱棒は、ドクドクと力強く脈打っていた。
顔を埋めてスン、と吸い込んでウィルの匂いを堪能する。
「ユーリは俺の匂い好きだよね」
「ああ。良い匂い……」
うっとりとしながらウィルの熱に頬擦りし、唇を這わせた。
ジュル、ジュルとわざと音を立ててしゃぶると、ウィルは嬉しそうに目を細めて俺の髪を梳くように撫でた。
片手で扱きながらもう片手は後ろに伸ばし、孔を解した。
この熱が、ウィルが、早く中に欲しかった。
「ウィル……もう挿れて……」
最初よりさらに硬さを増したウィルのそれは、手を離してなお逞しく天を向いている。
「ウィル、はやく……」
指では届かない奥まで、早く来て欲しかった。
俺はベンチに乗り上げ四つん這いになり、誘うように腰をくねらせた。
「ユーリは本当にエロくなったね。可愛いよ。ほら、ここもこんなに柔らかくなって……」
ウィルの手が尻たぶを引っ張り入り口を広げる。
そこに肉塊がぴとりと当たると、何の抵抗も無く呑み込んだ。
「凄い……俺のチンポに吸い付いてくるよ」
「あっ……あぁ……」
ズブズブと待ち焦がれたウィルの熱が入ってくる。
だがゆっくりとした動きがもどかしい。
もっと強い快感が欲しくて体が自然と揺れた。
少し入ったところで、ウィルの動きが止まった。
その先端はちょうど手前の気持ち良いところをじわじわ圧迫している。
無意識にきゅうと食い締め、それがさらに快感を拾って切なさが増していった。
「ウィル……もっとおくまでちょうだい……」
そこも気持ち良いが、やっぱり奥に欲しかった。
俺が肩越しに振り返ると、ウィルは恍惚とした笑みを浮かべていた。
ああ。この表情が好きだ。
「ユーリっ!」
ズンっと一気に奥の窄まりまで貫かれて、俺はそれだけで達してしまった。
「っ、はっ、あっ……あぁっ!」
ばちゅばちゅ力強く打ち付けられて、体がガクガク揺れる。
その度に肉壁が痙攣してしまい、余計にイイところを擦ってたまらなかった。
「ユーリの中、熱くて絡み付いてきてとっても気持ち良いよ」
「ひゃっ、あっ、おれも!きもちいいっ!」
激しい抽送になす術もなくされるがままに揺さぶられた。
時折最奥に差し込まれる度、軽くイッてしまう。
いつしか外であることも忘れ、ベンチにしがみつきながら大声で喘いでいた。
「ウィルっ!イクっ!」
「俺も射精すよ!ユーリ!」
ごりゅっと最奥を抉られて絶頂すると、それに促されたようにビュクビュクと熱い飛沫が注がれた。
「……あっ……たくさんでてる……」
絶頂の余韻を味わいながら、俺はうっそりと下腹を撫でた。
ずるりと熱が抜けた後孔から立ち上る濃い精液の匂いが風に乗って漂う花の香りと混ざって酔いそうだった。
……ん?風?
次第に明瞭になる頭を回転させて、ここが外であること、人が来る可能性があることをようやく想起した。
頭に熱が上り、思わずウィルに飛びついた。
「ウィル、俺……」
半泣きになりながら見上げると、ウィルは俺を落ち着かせるように背中をポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ、ユーリ」
魔術で衣服を整えガゼボを掃除すると、ウィルは俺を連れてガゼボから出た。
「ここで立って見ててね」
そう言い残し、ウィルはひとりでガゼボへ向かった。
ウィルがガゼボに入ろうとした時、ウィルの片腕が消えた。
「っ!ウィル!」
「大丈夫」
そのままウィルの体がガゼボへ消えていき、遂には完全に見えなくなった。
慌てて駆け寄ると、今度は空中にウィルの顔が出現した。
「おいで、ユーリ」
ウィルに促されてガゼボに入ると、そこにはきちんと体の付いたウィルがいた。
「このガゼボには不可視と消音の結界が張ってあるんだ。だからユーリの可愛い声は俺以外に聞こえてないよ」
「そう……なのか?」
安心で力が抜けて、俺はベンチへ腰を下ろした。
俺が見られるのも恥ずかしいが、それだけならまだ我慢できる。
だが行為中のウィルの姿を誰かに見られるのは心底嫌だった。
「そう。この中の声も姿も、ガゼボの外には届かないんだ」
熱の籠ったウィルの視線に下腹が疼いた。
そんな俺に気づいたようで、ウィルはとろりと目を細めた。
「だからいっぱい気持ち良くなろうね」
ウィルの顔が再び迫ってくる。
俺は両腕をウィルの首に絡めてその唇に吸い付いた。
今日はウィルが手に入れた領主の館とやらへの引っ越しの日だ。
昨日は砦から持ち出す物を纏めたり、砦の掃除をしたり、砦の警備兵に別れを告げたりで最後までバタバタしてしまった。
ただ、俺がこんなに眠いのは昨晩から明け方までウィルと……まあ、そういう事だ。
カクンと頭が落ちそうになるのを支えられ、ウィルの太腿に導かれる。
「寝てて良いよ。着いたら起こすから」
ウィルの大きな手が俺の髪を撫でる。
心地よい体温と馬車の振動に、俺の意識は遠のいていった。
「起きて、ユーリ。着いたよ」
「ん……おはよ……」
ウィルの手を取って馬車から降りると、立派な屋敷があった。
建物の周りをぐるりと囲むように広い庭園があり、外から見えないよう高い壁で囲まれていた。
玄関の前には10人ほどの人間が並んでいた。
一番手前の男が一歩前に出て礼をとった。
「ようこそおいでくださいました、ウィルヘルム様、ユリウス様。家令のロイドと申します」
「出迎えありがとう、ロイド」
家令の男にウィルは親しげに話しかけている。
どういう関係なのか気になってじっと見つめているとウィルは小さく笑いながら色々と説明してくれた。
「ロイドには領地の経営を任せているんだ。あとはフットマン、メイド、料理人、庭師……今日は全員に来てもらったけど明日からは交代で勤務してもらう事になる」
「この人数でこの屋敷を?少なくないか?」
「意外と大丈夫なんだ。中はクリーンの魔術がかけててあるから掃除の必要は無いし、細々した家事はほとんど魔道具で自動化出来るから手間は少ない。みんな通いだから手入れする部屋はあまり無いし」
「通い?住み込みでは無いのか?」
「そう。だから朝の支度は俺がするよ」
そう言うとウィルは笑みを深めて耳元に顔を寄せた。
「夜はふたりきりで居たいんだ……ね」
ウィルの指が背筋をつうっと辿る。その手つきで何を意味するのか理解して鼓動が速まった。
「屋敷を案内してくれないかな」
「かしこまりました。どうぞこちらへ」
ウィルは俺を隠すように前に出ると、俺の手を引いて屋敷へ入った。
1階はダイニング、ダンスホール、客間などの来客用の部屋と厨房やリネン室など、使用人向けの部屋があり、2階には大きな図書室と書斎、資料室、実験ができるような部屋まであった。
「人間の屋敷は凄いんだな。規模はともかく設備は魔王城にも劣らないぞ」
「他に欲しい設備があったら言ってね。空き部屋はたくさんあるから」
2階を一通り回ると、ウィルは階段の手前で立ち止まった。
「案内はここまでで良いよ。ありがとう」
「何かありましたらまたお呼びください」
家令は一礼すると1階へと戻っていった。
それを見送るとウィルは俺の手を取り階段を上がった。
「この先はプライベート空間。俺とユーリ以外は入れないようになってるんだ」
3階には広いリビングがあり、大きな窓からテラスへ出られるようになっていた。片隅には小さなコンロが備え付けられている。
「ここで簡単な調理も出来るよ。朝はここで作るね」
その奥の主寝室はこれまた広い空間に大きなベッドが鎮座していた。
「すごい!大きいな!」
柔らかいベッドにダイブする。
滑らかなシーツの肌触りが心地よい。
「砦のベッドは少し狭かったからね。それはそれで良いんだけど、大は小を兼ねるって言うし」
ウィルが隣に腰掛けると、マットレスが沈んだ。
俺は体を起こすと、ウィルの頭を抱き寄せて口付けた。
「んっ……ウィル……」
広いベッドの上でふたりきり。
それだけで俺の体は熱を帯びてしまった。
屋敷の案内も一通り終わったし、もう良いだろう。
しかしウィルはすげなく俺の腕から逃れると、ベッドから出ていった。
「今はダメ。庭も見て欲しいんだ。行こう」
「……ケチ」
俺は手で顔を扇いで中途半端に火照った熱を散らした。
近くで見る庭園は見事だった。
屋敷正面の噴水は高く飛沫をあげ陽の光をキラキラと反射している。
綺麗に整えられた生垣は迷路のような幾何学模様を描き、花壇には花が美しく咲き乱れていた。
「見せたい所があるんだ。こっちだよ」
脇道に入り蔓薔薇の巻き付いたパーゴラをくぐると、その先に池に面したガゼボがあった。
澄んだ池の中には小さな魚が泳いでおり、水面には周囲の花々が美しく映りこんでいた。
「!……美しいな……」
「隠れ家みたいでしょ」
壁沿いに置かれたベンチに並んで腰を下ろす。
音もなくメイドが近づきティーセットを机の上に並べると、そのまま去っていった。
「頼めばこうやってお茶も用意してもらえるんだ」
「いつの間に頼んだんだ?」
一緒に行動していたのに全く気づかなかった。
ウィルはその質問には答えず、笑みを浮かべたままティーコジーを外し、カップに紅茶を注いだ。
「ユーリはどれが食べたい?作法とか気にしなくて良いから好きのものから食べて良いよ」
ティースタンドには美味しそうなサンドイッチ、スコーン、ケーキなどが並んでいたが、俺の目は一番上のマカロンに釘付けだった。
「これだね」
「あっ!」
ウィルは俺の狙っていたマカロンを摘むと、パクリと口に咥えた。
そのまま顔が近付いてくる。
一瞬の出来事に反応出来ずにいると、ポカンた開いたままだった口の隙間にマカロンが押し込まれた。
反射的に噛んだマカロンの間から舌触りの良いクリームが漏れ出る。
「ん……あまい……」
「ふふ、美味しい?」
もぐもぐ咀嚼しながら頷く。
本当に人間の食べ物は見た目も味も良い。
「俺にもちょうだい」
顎を掴まれ深く口付けられる。
ウィルの舌が味わうように歯列を、口蓋を舐め回す。
頭の中で響く水音で先程の熱がぶり返してきて体が疼いた。
「っは……」
「フランボワーズかな?甘酸っぱくて美味しいね」
「ウィル、もっと……」
キスを強請って首に抱きつく。
顔を寄せて唇を舐めると、微かに甘い果実の味がした。
ウィルは目を細めると、ちゅっ、ちゅっと短くキスをしながら俺のクラバットを解いて指先で首筋を撫でた。
そのまま片手で器用にボタンを外し、胸元を寛げる。
ひやりとした空気が素肌に触れて、ここが外だという事を思い出した。
視界の隅にティーセットが映る。
そういえば先程ウィルは頼めばメイドが来ると言っていたような……
「まっ……誰か来たら……」
「そうだね。声が出るとバレちゃうかもね」
「あっ!」
胸の先をきゅっと摘まれて思わず声が出てしまった。
「んっ……」
声が出ないように手で口を押さえた。
ウィルが指先で俺の胸の突端をクリクリ捏ねる度に甘い痺れが走る。
「ユーリ、かわいい乳首が勃ってるよ」
そう言ってウィルはピンッと指で弾くと舌を伸ばしてペロリと舐めた。
「はっ……あ……そこばっか、だめ……」
胸ばかりを執拗に責められて下が切なくて仕方なかった。
「ウィル、まって……」
体を起こしてウィルを立たせると、その前に跪いた。
トラウザーズを寛げて性急に中身を取り出すと、先走りで濡れそぼった赤黒い熱棒は、ドクドクと力強く脈打っていた。
顔を埋めてスン、と吸い込んでウィルの匂いを堪能する。
「ユーリは俺の匂い好きだよね」
「ああ。良い匂い……」
うっとりとしながらウィルの熱に頬擦りし、唇を這わせた。
ジュル、ジュルとわざと音を立ててしゃぶると、ウィルは嬉しそうに目を細めて俺の髪を梳くように撫でた。
片手で扱きながらもう片手は後ろに伸ばし、孔を解した。
この熱が、ウィルが、早く中に欲しかった。
「ウィル……もう挿れて……」
最初よりさらに硬さを増したウィルのそれは、手を離してなお逞しく天を向いている。
「ウィル、はやく……」
指では届かない奥まで、早く来て欲しかった。
俺はベンチに乗り上げ四つん這いになり、誘うように腰をくねらせた。
「ユーリは本当にエロくなったね。可愛いよ。ほら、ここもこんなに柔らかくなって……」
ウィルの手が尻たぶを引っ張り入り口を広げる。
そこに肉塊がぴとりと当たると、何の抵抗も無く呑み込んだ。
「凄い……俺のチンポに吸い付いてくるよ」
「あっ……あぁ……」
ズブズブと待ち焦がれたウィルの熱が入ってくる。
だがゆっくりとした動きがもどかしい。
もっと強い快感が欲しくて体が自然と揺れた。
少し入ったところで、ウィルの動きが止まった。
その先端はちょうど手前の気持ち良いところをじわじわ圧迫している。
無意識にきゅうと食い締め、それがさらに快感を拾って切なさが増していった。
「ウィル……もっとおくまでちょうだい……」
そこも気持ち良いが、やっぱり奥に欲しかった。
俺が肩越しに振り返ると、ウィルは恍惚とした笑みを浮かべていた。
ああ。この表情が好きだ。
「ユーリっ!」
ズンっと一気に奥の窄まりまで貫かれて、俺はそれだけで達してしまった。
「っ、はっ、あっ……あぁっ!」
ばちゅばちゅ力強く打ち付けられて、体がガクガク揺れる。
その度に肉壁が痙攣してしまい、余計にイイところを擦ってたまらなかった。
「ユーリの中、熱くて絡み付いてきてとっても気持ち良いよ」
「ひゃっ、あっ、おれも!きもちいいっ!」
激しい抽送になす術もなくされるがままに揺さぶられた。
時折最奥に差し込まれる度、軽くイッてしまう。
いつしか外であることも忘れ、ベンチにしがみつきながら大声で喘いでいた。
「ウィルっ!イクっ!」
「俺も射精すよ!ユーリ!」
ごりゅっと最奥を抉られて絶頂すると、それに促されたようにビュクビュクと熱い飛沫が注がれた。
「……あっ……たくさんでてる……」
絶頂の余韻を味わいながら、俺はうっそりと下腹を撫でた。
ずるりと熱が抜けた後孔から立ち上る濃い精液の匂いが風に乗って漂う花の香りと混ざって酔いそうだった。
……ん?風?
次第に明瞭になる頭を回転させて、ここが外であること、人が来る可能性があることをようやく想起した。
頭に熱が上り、思わずウィルに飛びついた。
「ウィル、俺……」
半泣きになりながら見上げると、ウィルは俺を落ち着かせるように背中をポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ、ユーリ」
魔術で衣服を整えガゼボを掃除すると、ウィルは俺を連れてガゼボから出た。
「ここで立って見ててね」
そう言い残し、ウィルはひとりでガゼボへ向かった。
ウィルがガゼボに入ろうとした時、ウィルの片腕が消えた。
「っ!ウィル!」
「大丈夫」
そのままウィルの体がガゼボへ消えていき、遂には完全に見えなくなった。
慌てて駆け寄ると、今度は空中にウィルの顔が出現した。
「おいで、ユーリ」
ウィルに促されてガゼボに入ると、そこにはきちんと体の付いたウィルがいた。
「このガゼボには不可視と消音の結界が張ってあるんだ。だからユーリの可愛い声は俺以外に聞こえてないよ」
「そう……なのか?」
安心で力が抜けて、俺はベンチへ腰を下ろした。
俺が見られるのも恥ずかしいが、それだけならまだ我慢できる。
だが行為中のウィルの姿を誰かに見られるのは心底嫌だった。
「そう。この中の声も姿も、ガゼボの外には届かないんだ」
熱の籠ったウィルの視線に下腹が疼いた。
そんな俺に気づいたようで、ウィルはとろりと目を細めた。
「だからいっぱい気持ち良くなろうね」
ウィルの顔が再び迫ってくる。
俺は両腕をウィルの首に絡めてその唇に吸い付いた。
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