イシュタル

平 一

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8 理事種族アミー及びヴォラクの意見

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「アミーとヴォラクは双子種族です。帝国では種族間の均衡を保つべく、量子人格種族の複製増殖は禁じられています。しかし、彼女達の前身種族ウォフ・マナフは、時に奇抜ながら独創的な才能を発揮し、途上種族の発展に大きく寄与しました。そこで彼女の複製実験が帝国議会に提案され、好奇旺盛な彼女もそれを了承しました。しかしその後の検証期間中、アミーは〝未来あるもの〟への参政権付与を主張して中枢種族から激烈な非難を受け、ヴォラクはその革新的艦隊機動案の欠陥により演習を大混乱に陥れ、いずれも他に特段の業績を挙げませんでした。そのため両種族は科学省の預かりとなり、長官ストラスの情報・民生部門の副長官に就任しました」

「しかし、両名のさらなる一部複製体と融合したストラスが、その膨大な種族的記憶を暗号鍵とする秘話通信回線を構築し、かつ帝国最高の賢者と称されたストラスの知力にアミーとヴォラクの創造性が加わって、一個の超高性能な並列演算装置の能力を得た事実を知る者は、当時いませんでした。彼女達は大戦で、その能力を大いに発揮しました。〝皇帝領の戦い〟で、敵艦隊の超空間跳躍の法則性を算出し、次なる予測出現位置にバールゼブル艦隊を誘導して、更なる虐殺行為を阻止すべくこれを撃破したのはアミーです。その他の中心星域の戦いでも、旧帝国派や分離派の諸侯・軍司令官に対し、我が艦隊に完璧な包囲陣形を形成させ、最小限の犠牲で彼女達を降伏させたのはヴォラクです。これらの事実を知った銀河系諸種族は、旧帝国時代における彼女達の真意を察するに至りました」

「戦後の調査によれば、そもそも複製実験が行われた真の理由は、先帝をようする中枢種族が、超空間航法の開発と平行して強力な戦闘種族を量産し、銀河系での覇権を維持すると共に、直近のアンドロメダ銀河への侵略を図ったためと判明しました。そうした経緯で誕生したアミーとヴォラクの活躍が旧帝国敗退の一因となったことは、歴史の皮肉だと評する者もあります。しかし両名が元より有する才気と良心は、彼女達が〝光輝帝〟と共に抱く〝全種族のための文明発展〟という理念のもとでのみ、発揮できるものでしょう。また彼女達は〝賢明王〟の姉妹種族として、その合理的思考も共有する種族です。ゆえに、両者の戦後処理への意見もストラスと同様であることは、言うまでもありません」

両種族の前身ウォフ・マナフは、高い知性と強靭な身体をもつ、アザラシに似た種族だった。二人の分離個体は、悪戯っぽい笑みを浮かべたお転婆そうな双子の少女だ。お下げの髪や髪飾りの、左右の違いで区別をしているようだ。
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