7 / 9
7 理事種族ストラスの意見
しおりを挟む「旧帝国時代からの科学長官〝賢明王〟ストラスもまた、同意見です。かつて現皇帝が、開発途上星域で数々の不審事件を発見した時、彼女の依頼でその分析を行ったのがストラスです。彼女は従来、政治的中立を以て知られ、〝帝国よりも科学に忠実な者〟と評された種族です。しかし同時に〝科学は全ての知的種族の幸福のためにある〟を信条とし、主として中枢種族が技術と権益を独占する旧帝国の組織風土に対して、密かに疑問を抱き続けていました」
ストラスは極寒の大型岩石惑星で、超流動・超電導などの極限物性により生まれた結晶生命体であり、緑色に輝きながら惑星全体を網状に覆う単一個体種族だ。彼女は外周種族と同様、中央星域の大多数を占める酸素・炭素系の個体群種族とは異質な種族だが、人格量子化技術の普及でその違いは意味を失いつつある。実は人格量子化技術自体も、外周種族との戦争で劣勢にあった旧帝国が、ストラスを生きた計算機兼実験台として開発し、辛勝を得たものなのだ。そうした経緯から彼女も、いかに戦争の苦難や悲劇を防ぐかを考え続けてきた種族である。
「彼女は、多くの途上文明が惑星政府を樹立し、自然環境の保全、社会環境の制御、人道的な資質向上や惑星外進出の能力を実証して、帝国との交流資格を得たにも関わらず、これを許可されなかったことを確認しました。彼女はまた、特に有望な文明に対しては腐敗と衆愚化への誘導、危険な軍事技術の供与や要人暗殺等の、意図的な干渉が外部から行われていたことを発見しました。加えて彼女は、これらの妨害・破壊工作が単なる犯罪組織・種族ではなく、他ならぬ帝国の中枢部で立案されたことを見抜きました。さらに、干渉から生じた凄惨な種族内・種族間闘争に生き残った〝優秀〟な戦闘種族は、いずれもその後に帝国の支援を受け、親衛軍・正規軍や有力種族の私兵軍に編入されていた事実を解明したのです」
「彼女は以後予想される事態に対処すべく、分析結果を現皇帝に通知すると共に、帝国が道を誤った時は協力して正す旨の盟約を結び、大戦時にはこれに従って新帝国の設立に参加しました。また彼女は、親衛軍と正規軍の穏健派司令官、すなわちバールゼブルと私の副司令官として、自らの副長官だったアミー及びヴォラクを派遣することに成功し、新帝国の勝利に多大なる貢献を果たしました」
「しかしその彼女も『新帝国の存立目的は、報復や制裁それ自体ではなく、全ての知的種族の繁栄と幸福である。ゆえに中枢種族の討滅よりも、科学的な分析と修復・矯正によって悲劇の反復を防止すべきである』という意見を述べています」
司令官の隣には、古風な眼鏡をかけた賢そうな少女の姿が映し出された。ここらへんの〝変換〟感覚は、面白い。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
