上 下
254 / 398
第十章

第223話 『一周目』の終わり

しおりを挟む

 村はずれにある森との境界に、異邦人達が拠点として確保した、建築中の構造物があった。
 進捗状態としては、外壁部分はほぼ完成しており、後はその広い敷地の中に建物を建てていくだけなのであるが、そこがまだほとんど未着手の状態である。

 未だ村の拡張工事もまだまだ人手が足りていないという現況だ。
 建築業者に依頼を出したとしても、実際に施工が開始されるのはいつになるか分からない。

 しかし、張り巡らされた外壁の内側。ほぼ中央部には、ひとつの建物が完成していた。
 それは悪魔事件が起こる前に基礎工事を済ませてあった、異邦人達が共用で使う、集会場として建築された建物だ。

 その建物の内部、幾つかの部屋が存在する中で、一番広いのが会議室だ。
 室内には大きな机と何脚もの椅子が配置されていて、他にもいくつか家具が設置されている。
 椅子は机の大きさに合わせてか余分に用意されており、左右に十脚ずつ。そして上座の部分に二脚配置されていた。

 その椅子に座っているのは十人・・の男女たち。
 悪魔事件の結果、長井と石田が欠けてしまった異邦人達と、話があるという事で招かれていた、ツヴァイ頼人の合わせて十人だった。

 異邦人の中でただひとり、信也だけがこの場に姿が見えない。
 彼は今、『男寮』でひとり休息中であった。
 事件後、北条の手によって信也の「状態異常:魅了」は解除されはしたのだが、一番長いあいだ継続的に長井の"魅了の魔眼"を受け続けていた信也は、すぐに元通りになる事はなかった。

 突然大声で喚き散らしたり、驚くほど生気のない顔で一日中沈んだ顔をしていたり、一日中寝たまま起きなかったりと、復調には程遠い状態が続いていた。
 北条も一度だけでなく、何度も魅了解除――に見せかけた【リリースチャーム】を使用していたし、メアリーも"回復魔法"の【平穏】を使って取り乱したような信也を落ち着かせるなどしていた。


 その後、悪魔を討伐してから七日が過ぎ、少しは信也の症状も落ち着いてきたのだが、今日の会議に参加させるにはまだ厳しい状況と言わざるを得ない。

 本来なら、全員揃った所での話し合いをする予定であった。
 そのため信也の回復を待ちつつ、その間に北条が基礎工事の終わっていたこの建物の工事を続けていたのだ。

 ダンジョン探索もなく、裏で長井への対策をする必要もなくなった北条は、全力で建築に取り掛かる。
 そして驚くべき速さで建物を建築していき、つい昨日、ようやくひとまずの完成を迎えていた。
 一番大事な基礎工事が既に終わっていたとはいえ、ほぼ一人で建てたにしては余りに早い施工期間だ。

 こうして建物は無事完成し、「中央館」と名付けられる事になる。


 だが会議室に集まった面々には、新築祝いをするといった雰囲気はない。
 いつもはうるさい位の龍之介も、今日は妙に静かに席についている。
 どこか厳粛な雰囲気が漂う中、最初に口を開いたのは陽子であった。

「それじゃあ……会議を始めるわよ。まずは和泉さんの状態だけど、残念ながらまだ調子が戻っていないので、今は『男寮』で休息中よ。近くにはマンジュウが待機してるから、何かあったら芽衣ちゃん、教えてね」

「は~い」

「うん、それでまずは議題をどうするか、だけど。北条さん、何か意見はあるの?」

 そう問いかける陽子には、特にこれといった感情の揺らぎは感じられない。
 いつもとそう変わらない声で陽子が尋ねると、北条は少し考えた後に答えだした。

「ではぁ、まずは今回の悪魔事件について片付けておこうかぁ」

 北条がそう言うと、みんなビクッとした反応を見せる。
 確かに石田と長井は、他のメンバーからは煙たがられていた相手ではあるが、実際敵として相対するとなると、「嫌な相手だからどーでもいい」という訳にもいかない。
 特に、石田の本性を目の前にした陽子や咲良などは、パーティ―が違うとはいえ、今まで身近にそのような人がいた事に、強いショックを覚えていた。

 龍之介も己の力の及ばない事に忸怩たる思いを抱き、一時的に魅了され、北条が攫われる一因となってしまったメアリーも、未だに罪の意識が拭い切れないでいる。

 しかしだからこそ、この問題を避けて通ることはできない。

 それぞれの胸中に蟠る思いはあれど、みなそれぞれ前を向こうとしている事は共通していた。
 陽子が全員を見渡してみると、各人の目には強い意志が宿っているように見える。
 それを確認した陽子は、話を続ける。

「そうね……。それじゃあまずは今回の件の概要だけど、以前に粗方北条さんから説明があったけど、それだけじゃないのよね?」

 前々から何か裏がある事を知っていた陽子は、全員揃ったこの場で北条へと問いただす。

「あぁ。そうだなぁ、ではまずはきっかけ・・・・から話すとするかぁ」

 そう言って北条は、あの時語らなかった真実を語り始めるのだった。
 それは《ジャガー村》に『ムスカの熱き血潮』の面々がやってきて、ツヴァイ頼人と出会った頃にまでさかのぼる。


▽△▽


「……ツヴァイさんに事件の事を知らされた?」

「ああ、そうだぁ。あれからツヴァイ頼人と一緒に裏で調査を開始してな。といってもパーティーも別だから、基本はバラバラで行動していたけどなぁ。それで実際に俺の目でも長井が何やら企んでいる事を確認して、それから――」

「ちょっと待って。どうしてツヴァイさんが事件の事を知っていたの? その、石田の奴とは何かあったのかもしれないけど、それとあの女の魅了とは別よね?」

 石田との対決の時、ツヴァイ頼人が口にした事は未だに陽子の記憶に残っている。
 そしてそのセリフから、ツヴァイ頼人と石田の間に何らかの関係性があるという事も。

 だが、それと今回の件は別物だ。
 話によれば、長井が"魅了の魔眼"を使って、密かに和泉や村の人を洗脳していた事。更には悪魔とも結託して、何かよからぬことを企んでるといった話も、全てツヴァイ頼人が北条に持ち込んだのだという。

 陽子の言葉に、あの場にいなかった者達は少し怪訝な顔を浮かべる。
 山小屋の中にいた者達は、「後で詳しい話はするから」というツヴァイ頼人の言葉を受け、事件が終わった後も、外で人形達と戦っていた龍之介らに、ツヴァイ頼人の事を話していなかったのである。


「一から、話そうか」


 話が掴めないでいる陽子らを前に、ようやくツヴァイ頼人の重い口が開かれる。
 彼自身、打ち明けるかどうか迷っていた、自分の正体に関する話。
 しかし既に、長井の件があったので北条には洗いざらいぶちまけてしまった後だ。
 そして何だかんだと戦いの現場まで同行し、今の・・彼女たちとも深くかかわってしまっていた。
 もう今更あとには引けないと、ツヴァイ頼人は滔々と自身の事を語り出した。

「まず、ツヴァイという俺の名前だが、これは本名じゃないんだ。俺の本当の名は『毛利頼人』という」

「え、それって……」

 慶介を初めとしたあの場にいなかった五人は、ツヴァイ頼人の告白に驚きの声を上げる。

「つまり、だ。あのダンジョンの第三層にある部屋。あそこには最初十三人の人間が送り込まれた。ということになる」

「…………」 「ほえぇぇー」

 言葉の意味を頭でかみ砕こうとしてるのか、押し黙ってしまった一同の中で、ひとり由里香が間の抜けたような声を漏らす。

「そして俺たち十三人・・・は、何だかんだと揉めたりしつつも、ダンジョンを脱出することに成功。その後は近くにある《ジャガー村》を訪ねる事になる」

「ああ? どういうこった? 十三人って……」

 少し遅れて龍之介が気になった事をぶつけてくるが、ツヴァイ頼人は手でそれを止めて、続きを話し始めた。
 そのツヴァイ頼人の様子に、他の人もとりあえず話を全部聞いてみようと、耳を再び傾ける。

「それから少しして、俺たちは《鉱山都市グリーク》へと向かい、転職だの冒険者登録だのを済ませていく。だが、俺たちはキリが悪く、メンバーは十三人。まあ、なんとも不吉な数字だよな」

 こういった地球ならではのジンクスなどがポンと出てきた事で、ますますツヴァイ頼人が同じ日本人なのだという実感が陽子達に湧き上がる。

「そこで北条さんが一人街に残って、残りの十二人でふたつのパーティーを組むことになったんだ」

「あ、あの?」

 そこで申し訳なさそうに手を上げながら、咲良が話に割り込む。

「その、十三人いたとかそういう話はとりあえずいいんですけど……。どうして北条さんだけが街に残る事になったんですか?」

「それは、北条さんが転職で就いた職業が『調理士』だったからだよ。ダンジョン探索には不向きだろうって事で、自ら遠慮したんだ」

「ちょうり……し?」

 みんなの視線が北条の下へと集中する。

 確かに北条と同じパーティーの間では、彼の作る料理が美味しいというのは周知の事であった。
 しかしダンジョン探索に不向きだなどと、今の印象とはまるっきり正反対であり、想像もつかないことだった。

 ただツヴァイ頼人の話がこの先どうなるのかが分からない以上、ここであれこれ言っても仕方がない。
 また陽子、咲良、龍之介などは、そういった作品をよく見たり聞いたりもしている。彼女らは、それぞれツヴァイ頼人の話の裏事情を想像しながら、話の続きを聞き始める。

「話を続けていいかな? まあ、それで北条さんとはそこで分かれて、俺たちは《ジャガー村》へと戻ったんだ。北条さんも、定食屋で働きでもしながら、戦闘訓練や魔法の練習をしてみるって言っててね。それが終わったら合流しようって話になってたんだ」

 引き続きみんなの中の「北条像」が崩れるようなツヴァイ頼人の発言に、陽子らは梅干しを食べた後のような顔をしながら話を聞いている。

「でも……それが悪かったんだろうね。それからしばらくの間、俺たちはダンジョンへと潜り続けた。そうだな……、今の君たちよりもう少しレベルは高かったかな? 時期も夏が過ぎて、だんだん寒くなってきた頃だったから、今より後の話になる」

 斯様に、陽子ら異邦人の知らない、自分たちが関わる話を語っていくツヴァイ頼人
 だがそれまでのツヴァイ頼人の滔々とした語り口が、この辺りから段々と鈍くなっていく。

「そして、北条さんが『ムスカの熱き血潮』のメンバーと一緒に、《ジャガー村》にやってきた時には、かなり事態は進行していたんだ。俺たちの知らない内に、ね」

「それって、もしかして……?」

「そう。これは後で知った事だけど、すでに長井はその魔の手をあちこちに伸ばしていたんだ。今から数か月も先の話だ。今回の事件の時よりも、もっと雁字搦めに、いくら暴れてもほどけない程に、手が回されていた」

 そうして慶介の方へと視線を向けるツヴァイ頼人

「今回は、和泉さんだけで済んでいるけど、前回は慶介くんもすっかり魅了にかかってしまっていた。そして、同じパーティーだった細川さんと、よ……里見さんも、や、奴らの手に、落ちていたッ……」

 最後の方のツヴァイ頼人の声は、必死に感情を抑えているようだったのだが、抑えきれない気持ちの欠片から、聞くものに痛いほど感情が伝わってくる。
 自らの手で石田に止めを刺し、長く捕らわれていた思いに区切りをつけたつもりだったツヴァイ頼人
 だが、あれから余り日も経ってない今、そう簡単に割り切れる訳もなかったようだ。

「そして、あの最悪の日。今でも夢に見てしまう、悪夢そのものだったあの日。……今回とは違い、事件の舞台は《ジャガー村》ではなく、《鉱山都市グリーク》で起こった」

 それは、単純に規模の大きさの違いを陽子らが認識するのに、分かりやすいものだった。
 今回は村規模であり、しかも実際の戦闘が起こったのは村はずれの森の中だ。
 だが、その時は街全体を巻き込むような、大きな事態にまで発展したらしい。

 それから、《鉱山都市グリーク》に訪れた悲劇の様子を、淡々と語っていくツヴァイ頼人
 まるで壊れたラジオのように、ツヴァイ頼人は一定のトーンで話し続ける。
 それがかえって聞くものに妙なリアリティーを感じさせた。

 そして、最後にツヴァイ頼人はこう締めくくった。


「悪魔と対峙する北条さんに加勢しようとした俺は、あいつの持ってる鎌で体を切り裂かれてしまい……命を落としたんだ」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す

大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。 その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。 地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。 失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。 「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」 そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。 この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~

一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。 彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。 全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。 「──イオを勧誘しにきたんだ」 ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。 ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。 そして心機一転。 「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」 今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。 これは、そんな英雄譚。

処理中です...