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第89話 復讐
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バルガスの封印魔法により全てのスキルが使えなくなっている。
クリスは迫るバルガスに為す術が無くなってしまった。
「使い魔召喚も使えない…」
当然ユーリを呼び出すことも出来ず、
最大の危機を迎えたクリス。
しかしこの局面を長年待ち続けた者がいる。
家族を喰い殺され復讐に命を捧げてきた人物、サリーである。
「サリー」
サリーは、急速にバルガスに向かっていく。
こんなに速く動くサリーを未だかつて見た事がない。
それだけ圧倒的なスピードで移動している。
「バルガス…
私はこの日を待ち望んでいた」
バルガスとクリスの距離はそう遠く離れていない。
しかし瞬く間に二人の間に割り込んでみせた。
「牙を研ぎ澄ませてきた。
この日のために…」
バルガスが封印魔法を放つ瞬間を狙っていた。
そしてクリスの近くで攻撃を繰り出す事で、万が一封印魔法を解除されてもクリスが覇王を発動できる。
サリーはこのタイミングを狙っていたのだ。
「私の槍術でお前を殺す」
サリーの持つ槍は固有スキルの付属する魔界特注品だ。
この10年間、ひたすら槍術を鍛え上げスキルが無くても戦えるまで昇華させた。
「槍を選んだのも間合いを制するため」
バルガスは迂闊にサリーに攻撃を仕掛けられないでいた。
覇王を手中に収めたと思っていたばかりに苛立ちを隠せない。
「クソが!」
バルガスは目の前のサリーを見て思い出す。
自分に歯向かった一族を見せしめを兼ねて目の前で食いちぎってやった。
そしてその光景を口に出す。
「そう言えば小さな娘もいたな…
名前はなんと言ったか…」
「き、貴様!」
サリーの妹である。
小さな妹を目の前で喰いちぎられたサリーは、今もその苦しみを忘れられないでいた。
そしてクリスの妹のリリスを見て自分の妹と重ね合わせていたのだ。
「ふはははは、
美味かったぞ、お前の母親も…」
サリーは気付けば瞳が涙で溢れている。
あの時、自分に力が無く目の前で何も出来ずに怯えていた。
そしてバルガスは家族全員を喰ってしまった。
「お、お前だけは…
お前だけは許さない…」
サリーは封印魔法の弱点を理解している。
決して全てが封印されているわけではない。
その手に持つ槍の固有スキルは封印されていないことも理解していた。
「お前の封印魔法は回復系スキルと、
武器の固有スキルは封印できない!」
サリーは魔界でのバルガスの戦いを調べ尽くした。
封印魔法を使い強者を喰っていたがその点に不可解な点があったのだ。
「ほう、だがそれを知って何ができる…」
サリーは瞳に涙を溜めながらも口元は笑みを浮かべる。
この日のために用意してきた切り札を使う。
「呪われた死者の槍だ!」
サリーの渾身の一撃がバルガスに迫り、
その攻撃がバルガスの右手を掠めた。
「な、何だと…」
まさかバルガスも女の槍術に遅れを取るとは思ってもいない。
しかし脅威なのはこれからだった。
「これでもうお前は再生できない
朽ち果てていくのみだ!」
サリーの目的は再生スキルを無効化することだった。
死者の槍の効果によって封印魔法を解除したとしても再生は叶わない。
「こ、殺してやる!」
クリスは衝撃を受けていた。
まさかスキルのない槍術で大柄の戦士を圧倒している。
並大抵の努力で到達できるレベルでないことはサリーを見て明らかだ。
しかし、その戦いに見惚れており、少しずつバルガスとクリスの距離が離れていることに気付かなかった。
「貴様も結局は喰われる、
そして無様に死ぬんだよ」
バルガスは槍を回避しながら少しずつクリスとの距離を離していた。
そしてその距離を確認したところで笑みを浮かべる。
「封印を解除する」
バルガスの言葉を聞いた瞬間にクリスは距離が離れていたことを理解した。
そして気づいた時には遅い。
バルガスの封印魔法は解除されてしまい、サリーにスキルが襲う。
「その無力さを悔やんで死ね」
その瞬間にサリーは笑みを浮かべた。
もう一つの魔導具を用意していたのだ。
それは魔力を一度だけ二倍にする魔力上昇の腕輪。
その腕輪を使うことで奴隷術を誰にでも行使できる。
「貴様を殺す!
そのために全てを捧げてきた!」
サリーの奴隷術のスキルが発動した。
奴隷術は魔力が相手よりも上であれば奴隷にできる。
この瞬間のために必死に奴隷術の研鑽を積んできた。
「バルガス、お前を奴隷にして殺す」
サリーの奴隷術がバルガスに迫る。
この日のために、この瞬間のために全てを捧げてきた。
ようやく報われる、復讐が果たされると思った瞬間に悲劇は起きてしまう。
「後一歩遅かったな」
バルガスは邪悪な笑みを浮かべている。
アリスの雷魔法の速度には叶わなかったが、地属性魔法に高速の魔法がある。
「じ、地面からの槍だと…」
瞬く間に土の槍が奴隷術よりも速く、
サリーの胸を貫いてしまった。
「もう少しなのに
後、少しなのに…
シュリちゃん、ごめんね…
ごめんね…」
泣きながら崩れ落ちていくサリー。
胸を貫かれトドメを刺されるのをクリスが見逃すはずがない。
覇王の一撃がバルガスへ向かう。
そして咄嗟のことで回避が遅れてしまいバルガスは弾き飛ばされていく。
「サリー!」
クリスは慌てて駆け寄り、魔力を込めて回復魔法をかけていく。
傷は深いため治療を続けなければならない。
「クリス、頼む…
バルガスを…倒してくれ」
「サリー!」
俺はこんな結末は許さない…
リリスと笑い合っていたのを見て、
サリーは何て綺麗な笑顔をするのだろうと思っていた。
決してバルガスに殺されるために生まれてきたわけじゃ無い…
「サリー、こんなのって無いよ…
お前だって…
幸せになる権利があるんだよ!」
クリスは必死に回復魔法をかける…
魔力が尽きようとも死なせるつもりは全くなかった。
そして必死の治療が功を奏したのか傷はふさがっていくが、何故かクリスの身体は子供に戻ってしまう。
「まさか…」
バルガスが回復して戻ってきたのだ。
そして封印魔法を発動してしまった…
「ふはははは、結局回復したところで
すぐに死ぬ…」
勝ち誇った笑みを浮かべながらも、
クリスへゆっくりと近づいてくる。
封印された状態では為す術が無い。
そして…
新たな来訪者に誰しもが驚き言葉を失ってしまう。
「もう、これ以上は止めて!
私が狙いなんでしょう?」
その人物は、覚悟を決めた表情でバルガスへ言葉を放っていく。
「何で、なんでここに来るんだよ…」
「……………」
「どうしてだよ!」
「マリア!!!」
サリーの決死の覚悟は虚しくバルガスへ届かなかった。
再度封印魔法によってクリス達はスキルを封印されてしまう。
そんな最中、クリスの前に最愛の婚約者であるマリアが現れた。
その表情は覚悟で満ち溢れている。
そして、ここから二人の物語は加速する。
クリスは迫るバルガスに為す術が無くなってしまった。
「使い魔召喚も使えない…」
当然ユーリを呼び出すことも出来ず、
最大の危機を迎えたクリス。
しかしこの局面を長年待ち続けた者がいる。
家族を喰い殺され復讐に命を捧げてきた人物、サリーである。
「サリー」
サリーは、急速にバルガスに向かっていく。
こんなに速く動くサリーを未だかつて見た事がない。
それだけ圧倒的なスピードで移動している。
「バルガス…
私はこの日を待ち望んでいた」
バルガスとクリスの距離はそう遠く離れていない。
しかし瞬く間に二人の間に割り込んでみせた。
「牙を研ぎ澄ませてきた。
この日のために…」
バルガスが封印魔法を放つ瞬間を狙っていた。
そしてクリスの近くで攻撃を繰り出す事で、万が一封印魔法を解除されてもクリスが覇王を発動できる。
サリーはこのタイミングを狙っていたのだ。
「私の槍術でお前を殺す」
サリーの持つ槍は固有スキルの付属する魔界特注品だ。
この10年間、ひたすら槍術を鍛え上げスキルが無くても戦えるまで昇華させた。
「槍を選んだのも間合いを制するため」
バルガスは迂闊にサリーに攻撃を仕掛けられないでいた。
覇王を手中に収めたと思っていたばかりに苛立ちを隠せない。
「クソが!」
バルガスは目の前のサリーを見て思い出す。
自分に歯向かった一族を見せしめを兼ねて目の前で食いちぎってやった。
そしてその光景を口に出す。
「そう言えば小さな娘もいたな…
名前はなんと言ったか…」
「き、貴様!」
サリーの妹である。
小さな妹を目の前で喰いちぎられたサリーは、今もその苦しみを忘れられないでいた。
そしてクリスの妹のリリスを見て自分の妹と重ね合わせていたのだ。
「ふはははは、
美味かったぞ、お前の母親も…」
サリーは気付けば瞳が涙で溢れている。
あの時、自分に力が無く目の前で何も出来ずに怯えていた。
そしてバルガスは家族全員を喰ってしまった。
「お、お前だけは…
お前だけは許さない…」
サリーは封印魔法の弱点を理解している。
決して全てが封印されているわけではない。
その手に持つ槍の固有スキルは封印されていないことも理解していた。
「お前の封印魔法は回復系スキルと、
武器の固有スキルは封印できない!」
サリーは魔界でのバルガスの戦いを調べ尽くした。
封印魔法を使い強者を喰っていたがその点に不可解な点があったのだ。
「ほう、だがそれを知って何ができる…」
サリーは瞳に涙を溜めながらも口元は笑みを浮かべる。
この日のために用意してきた切り札を使う。
「呪われた死者の槍だ!」
サリーの渾身の一撃がバルガスに迫り、
その攻撃がバルガスの右手を掠めた。
「な、何だと…」
まさかバルガスも女の槍術に遅れを取るとは思ってもいない。
しかし脅威なのはこれからだった。
「これでもうお前は再生できない
朽ち果てていくのみだ!」
サリーの目的は再生スキルを無効化することだった。
死者の槍の効果によって封印魔法を解除したとしても再生は叶わない。
「こ、殺してやる!」
クリスは衝撃を受けていた。
まさかスキルのない槍術で大柄の戦士を圧倒している。
並大抵の努力で到達できるレベルでないことはサリーを見て明らかだ。
しかし、その戦いに見惚れており、少しずつバルガスとクリスの距離が離れていることに気付かなかった。
「貴様も結局は喰われる、
そして無様に死ぬんだよ」
バルガスは槍を回避しながら少しずつクリスとの距離を離していた。
そしてその距離を確認したところで笑みを浮かべる。
「封印を解除する」
バルガスの言葉を聞いた瞬間にクリスは距離が離れていたことを理解した。
そして気づいた時には遅い。
バルガスの封印魔法は解除されてしまい、サリーにスキルが襲う。
「その無力さを悔やんで死ね」
その瞬間にサリーは笑みを浮かべた。
もう一つの魔導具を用意していたのだ。
それは魔力を一度だけ二倍にする魔力上昇の腕輪。
その腕輪を使うことで奴隷術を誰にでも行使できる。
「貴様を殺す!
そのために全てを捧げてきた!」
サリーの奴隷術のスキルが発動した。
奴隷術は魔力が相手よりも上であれば奴隷にできる。
この瞬間のために必死に奴隷術の研鑽を積んできた。
「バルガス、お前を奴隷にして殺す」
サリーの奴隷術がバルガスに迫る。
この日のために、この瞬間のために全てを捧げてきた。
ようやく報われる、復讐が果たされると思った瞬間に悲劇は起きてしまう。
「後一歩遅かったな」
バルガスは邪悪な笑みを浮かべている。
アリスの雷魔法の速度には叶わなかったが、地属性魔法に高速の魔法がある。
「じ、地面からの槍だと…」
瞬く間に土の槍が奴隷術よりも速く、
サリーの胸を貫いてしまった。
「もう少しなのに
後、少しなのに…
シュリちゃん、ごめんね…
ごめんね…」
泣きながら崩れ落ちていくサリー。
胸を貫かれトドメを刺されるのをクリスが見逃すはずがない。
覇王の一撃がバルガスへ向かう。
そして咄嗟のことで回避が遅れてしまいバルガスは弾き飛ばされていく。
「サリー!」
クリスは慌てて駆け寄り、魔力を込めて回復魔法をかけていく。
傷は深いため治療を続けなければならない。
「クリス、頼む…
バルガスを…倒してくれ」
「サリー!」
俺はこんな結末は許さない…
リリスと笑い合っていたのを見て、
サリーは何て綺麗な笑顔をするのだろうと思っていた。
決してバルガスに殺されるために生まれてきたわけじゃ無い…
「サリー、こんなのって無いよ…
お前だって…
幸せになる権利があるんだよ!」
クリスは必死に回復魔法をかける…
魔力が尽きようとも死なせるつもりは全くなかった。
そして必死の治療が功を奏したのか傷はふさがっていくが、何故かクリスの身体は子供に戻ってしまう。
「まさか…」
バルガスが回復して戻ってきたのだ。
そして封印魔法を発動してしまった…
「ふはははは、結局回復したところで
すぐに死ぬ…」
勝ち誇った笑みを浮かべながらも、
クリスへゆっくりと近づいてくる。
封印された状態では為す術が無い。
そして…
新たな来訪者に誰しもが驚き言葉を失ってしまう。
「もう、これ以上は止めて!
私が狙いなんでしょう?」
その人物は、覚悟を決めた表情でバルガスへ言葉を放っていく。
「何で、なんでここに来るんだよ…」
「……………」
「どうしてだよ!」
「マリア!!!」
サリーの決死の覚悟は虚しくバルガスへ届かなかった。
再度封印魔法によってクリス達はスキルを封印されてしまう。
そんな最中、クリスの前に最愛の婚約者であるマリアが現れた。
その表情は覚悟で満ち溢れている。
そして、ここから二人の物語は加速する。
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